地元紙、恐るべし(後編) 〜地元紙の破壊力、想像以上〜
その記事は、一面の半分を割いて大きく出ていた。
オーナーと年配の男性がにこやかに笑っている写真が微笑ましい。
私は、胸を高鳴らせながら記事を読み進めた。
あった!
私の名前だ!
"近所に住む◯◯(本名)さん(年齢)は、
『癒しのサロンがなくなるのは
さみしい』
と語っていた。"
・・・ん?
え?
はい??
私のコメント、これだけ???
私は記事を隅から隅まで読んだ。
けど、やっぱりこれだけ。
取材のとき、私、20分は語ったよね!?
アフタヌーンティーの美味しさを彦摩呂並みに伝え、スコーンの焼き加減とか、店内の音楽とか、ソファーの座り心地、壁紙の色合いまで。
いや、サロンに漂う“空気感”まで熱弁したじゃないの!!
それでこの一文!?
記者さんよぉ、私の熱量をどう受け止めた!?
しっかり相槌打ってくれてたよね?
いったい、何を聞いとったんじゃい!!
ふぅ。
私のあの時の熱量、完全に空振り。
返してくれ、あの時の私の熱量を。
冗談だけど。
でも、こういう時に落ち込んだりしないのが私のいいところ!(自分で言う)
済んだことなど、もうどうでもいい。
年齢も出てたけど、あんな小さな一文なら、誰も見やしないでしょ!
そう思って、さっぱり切り替えて出勤した。
そして、その日の午後。
私はデスクでせんべいをポリポリやっていた。
(おやつタイムを勝手に設定。割と自由な職場だった。)
すると別担当の部長が近づいてきた。
せんべいを飲み込む暇もなく話しかけてくる。
『今日の新聞に名前が載ってたようなんだけど』
『あ、はいはい。そうなんです。よく通ってたお店だったんで、取材されて―』
と言いかけたところで、部長が言った。
『やっぱりあなただったんだ。あ、そうか。
あ、違うのかな?って。あの・・・そう、結構、あの・・・歳がいってたから』
・・・
なんじゃい!!!💢
歳の話かい!!
『あ、はい。そうなんです。
そんな歳なんです・・・』と苦笑いで答えた。
ていうか部長。
私と同じフロアで7年は顔合わせてますよね?
一体、いくつだと思ってたんですか。
20代?
それなら逆に嬉しいけど。
いや、ちょっとムカつく。
まあいい。
気を取り直して、その後、用事があり別部署に行った。
すると、そこでも別のオジサン(失礼)が、
『今日の新聞に名前出てたね!』
『はい、私です〜』
え・・・?みんな見てんの?
地元紙、どんだけ隅から隅まで読まれてんの?
ーー
家に帰ったら、母が電話を受けていた。
どうやら母の知人かららしい。
『娘さん、新聞に名前が出てたね〜!』
と、言われたって。
・・・うそでしょ。
見てんじゃん、みんな!!!😳
名前だって、珍しくもないのに。
なのに、たった一行で気づかれるって、どんな影響力だよ。
会社では、年齢だってバレたし。
ーー
すごいな、地元紙。
でも、今度新聞に載るときは、表彰がいいな。
"紫綬褒章"あたりが希望だわ🤣
・・・でも現実は、せいぜい
"ご近所の珍事件"とかだろう。
ま、それもまた一興。
・・・
地元紙、恐るべし。
【完】
★ご近所の珍事件になりかけた話はこちら↓
いいなと思ったら応援しよう!
面白かったよ!元気が出たよ!と思われたら、ぜひ応援をお願いします!いただいたチップは活動費として大切に使わせていただきます❤︎