魔貫光殺砲が好き ~ドラゴンボール論~
気円斬が好きだ。
かめはめ波とかどどん波とか、「気」を飛ばして攻撃する流れに「斬撃」という要素を導入し、どれほど強い相手でも両断してしまえばおしまいという一撃必殺感。下剋上感。クリリンが使う技ってところもいい。
気円斬を初めて実戦投入したあの時、ベジータが余計な助言をしてなければクリリン、ナッパに勝てたんじゃね?って何度読み返しても思う。あそこでナッパを一刀両断してたら悟空到着前にベジータに皆殺しにされて終了だったと思うけど。
後にあのフリーザの尻尾すら切断し、挙句の果てにフリーザ自身が気円斬をパクるのもすごい。だけど超サイヤ人になった悟空が、フリーザによる追尾型の気円斬を見てめちゃくちゃフリーザを見損なうのは読むたびにちょっと引っ掛かるんだが。
そんなわけで気円斬が好きなのだが、それ以上に魔貫光殺砲が好きだ。
気円斬が、あれワンチャンいけたんじゃね?っていうあり得たかもしれない可能性について想いをはせる技だとすれば、魔貫光殺砲は初披露するラディッツ戦でその本懐を果たしまくっている点が凄い。魔貫光殺砲には余計な可能性などなく、ただ確かな実績だけがある。悟空ですら全く歯が立たなかったラディッツに(悟空もセットで)トドメを刺し切ったという実績が。

ラディッツ戦は主人公である孫悟空が最初から最後まで全然敵わないという点においてドラゴンボール史上においても異例で、ラディッツにまともにダメージを与えられたのはブチ切れた幼少期の悟飯とピッコロしかいない。だからこそこの戦いの勝敗を決定づけた魔貫光殺砲はたった一戦での使用でも特別な輝きを放っている。
ラディッツ戦の前の悟空と天下一武闘会の決勝で戦った時、終盤の切り札としてピッコロが使った技は全方位に向けて衝撃波を放つ放射型の技だった。しかしこれは悟空に真っ向から防ぎきられ、手痛い反撃を喰らっていた。

魔貫光殺砲にはその戦いからの反省と改良が明らかに見て取れる。どうしても攻撃力が拡散してしまう全方位攻撃よりも一点集中で殺傷能力を高めたほうが一対一の戦いにおいては効果的であろうという。放つまでにやたら時間がかかるのも試作中の技っぽさがあって良い。
直線的な攻撃に回転を加えることで貫通力を増す技と言えば『あしたのジョー』のホセ・メンドーサが得意とするコークスクリューブローってのがあって、魔貫光殺砲もコークスクリューブローの亜種なんじゃないかと思っているのだが、とにかく貫通力重視の技って魅力的だよね。回転こそ加えてないけど『るろうに剣心』の斎藤一の「牙突」もみんな好きだよね。俺も大好き。
この戦い以降、魔貫光殺砲という名前は原作では一度も出てこない。なんかそれっぽい技は後のナッパ戦でも使っているが魔貫光殺砲という名前は使われない。そしてこの時はラディッツ戦のような長すぎる溜め時間はなく、瞬時に放っている。きっと相当な修行を積んだに違いない。きっちり自分の技を磨き上げるあたりピッコロは流石だ。

螺旋状の気の形状が魔貫光殺砲っぽい
魔貫光殺砲。それは、かつて主人公に敗れたとしても、そこから反省し努力すれば主人公でも敵わない新たなる敵に対して打ち勝つことが出来るという希望の象徴である。名前はやたら物騒だが、魔貫光殺砲を見るたび地道な努力や工夫や改良が大事であるということをしみじみと実感する。だから私は魔貫光殺砲が好きだ。
↓『はじめの一歩』の千堂戦についての文章です。途中で伊達英二の繰り出すコークスクリューブローについても言及してます。
