学振を「出さない」という選択肢は「ない」という冷酷な現実……博士課程に進むあなたへボルボックス博士(学振「フルコンプ」)のメッセージ
こんにちは。浜地です。海外でボルボックスを研究しているポスドクです。
学振、出そうかどうか迷ってるんですよね
こんな書き込みをXなどで見ることがあります(大学近くの喫茶店で耳にしたこともあります)。
通るかわからないし、書き方もわからないし、研究で忙しいし……
気持ちはわかります。
わかりますが、言わせてください。
え? 迷うことなくないですか?
私は学振特別研究員に全て採用(フルコンプ)されました。
ここでいう「フルコンプ」とは、DC1・PD・海外学振・RPDという主要区分での採択経験を指します。
なお、SPDはPDの中から選ばれる特別枠で申請はPDと同一なのでカウントせず、CPDや海外特別研究員RRAについては、公募時点で出願資格がなかったため申請していません。
これに加え、科研費では研究スタート支援と基盤Cの採択経験があります。
つまりこのnoteで書く内容は、一度だけ当たったひとではなく、評価軸の異なる複数の制度で繰り返し通用した方法論・経験を持つ人間の意見です。
学振の申請書は「余計な仕事」ではない
ちょっと考えてみてほしいのですが、博士課程に進むというあなたは、これから博士課程で何をしますか。
博士論文を書きます。それが博士課程を成功裏に終えるということだからです。
博士論文を書くということは、研究を成功裏に遂行するということです。
研究を成功させるためには何が必要ですか。
計画です。
これから2〜3年で何をどういう順番でやるのか?
どこまで明らかにするのか?
それは学術的にどういう意味があるのか?
そういうことを自分の頭で整理して言語化する必要があります。
というか絶対に聞かれます。
指導教員に聞かれます。
他の先生に聞かれます。
他の先輩に聞かれます。
同期に聞かれます。
それ、学振の申請書そのものじゃないですか。
学振の申請書を書くという作業は、博士課程の研究計画を立てるという作業とほぼ完全に重なります。
どのみちやらなければならないことを、所定の書式に落とし込むだけです。
しかも、うまくいけば3年間(DC1)で総計900万円以上の給料と研究費がついてくる。
書かない理由がどこにあるのか、逆に教えてほしい。
偉そうに聞こえたらごめんなさい。
でも言わせてください。
あなたが仮に博士号を取ったとして、その先に待ち受けているのは何でしょうか。
就職活動と予算獲得活動です。
就職活動は果てが見えなく思えます(私自身現在進行系で大学教員公募に応募している身です)。
でもそれはいつか何かの職を選て終わるかも知れない。
しかし予算獲得だけは終わりません。
これはもう終わりません。
ずっと書き続けることになることが確実です。
学振を獲得する申請書を書くスキルは、その中でも基礎になるものです。
「通らないかもしれない」は書かない理由にならない
通らないかもしれない。そうかもしれません。
採用率はDC1で2割前後です。
でも、仮に不採用だったとしても、あなたの手元には自分の研究計画を徹底的に言語化、つまりアイデアを具体化したドキュメントが残ります。
それは博士課程の羅針盤になります。
指導教員との議論のたたき台にもなります。
次年度DC2に再挑戦するときのベースにもなります。
PDもあります。
書いて損することは何もない。
書かないことで失うものは大きい。
「書き方がわからない」もやらない理由にはならない
研究計画のほうは指導教員と相談できるとして、多くの人がつまずくのは自己評価・自己分析の欄でしょう。
「研究に関する自身の強み」
「目指す研究者像」
M1やM2でそんな大それたこと書けないよ、という気持ちはよくわかります。
でもあの欄の正体は、要するにエントリーシートです。
自分はこういう動機で研究していて、こういう取り組みをしてきて、だからこの研究をやり遂げます、という決意表明を書く欄です。
就活のESを書いたことがある人なら、構造としては同じです。
とはいえ「研究者向けのエントリーシート」の実物を見たことがある人はほとんどいないでしょう。抽象的なアドバイスだけでは手が動かないのも当然です。
そこで、筆者が2006年に出願して2007年度にDC1に採用された自己評価欄の現物を公開しています。
【学振DC1/DC2/PDの獲得を応援】2007年学振DC1に採用された自己評価欄を公開
有料(100円)のパートでは、実際に採用された自己評価の全文と、その一文一文がどういう意図で書かれているかの解説を載せています。
現在の申請書では「研究遂行力の自己分析」にあたります。
2007年版と現行フォーマットの対応関係も本質を捉えて整理してあるので、いまの様式で書く人も参考になると思います。
あなたの博士課程は、この申請書から始まる
繰り返します。学振の申請書は、あなたの博士論文の設計図の第一稿です。
出しても通らないかもしれない。
でも書くこと自体が、これからの3年間を成功させるための最初の一歩になります。
通ったら最高、通らなくても無駄にはならない。
やらないだけが純粋な損です。
出願は例年4〜5月。まだ間に合います。
まずは、学内〆切を確認すること。
そして、指導教員に連絡すること。
書こうかな、じゃないんです。書いてください。
【学振DC1/DC2/PDの獲得を応援】2007年学振DC1に採用された自己評価欄を公開
「出す」と決めたら、次は何を書くかです。
書き方のテクニックより先に、テーマそのものの設計が命綱になります。
DC1からRPDまでフルコンプした経験から導いた「テーマ設計の3原則」を別記事にまとめました。
応援しています。
