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#29 建築CGビジュアライザーが戸惑う「納まり・取り合い」の建築現場用語

はじめに

前回の記事では、ビジュアライザーが建築CG制作の中で頻繁に出会う 「寸法・基準」まわりの建築用語を整理しました。

通り、芯々、内法、有効寸法、、、
図面や打ち合わせの中では当たり前のように使われているけれど、実は「なんとなく理解したつもり」で進んでしまいやすい言葉たちです。

一方で、内観・インテリアビジュアルの制作の際に戸惑いやすくなるのが ディテールの話 です。

「ここ、納まりが分かるように見せてほしいです」
「この取り合い、逃げている感じで表現してください」
「面一の関係は、パース上でも揃って見えるようにしてください」

言葉は聞いたことがある。
意味も大まかにはわかる。
けれど、どのニュアンスで使われているのかどこまで読み取るべきなのかは、経験がないと判断しづらい。

そこでこの記事では、シリーズ第二弾として「納まり・取り合い」に関する建築用語を取り上げます。

実際の建築現場に立つ機会が多くなくても、打ち合わせや図面のやり取りの中で確実に出てくる言葉ばかりを、意味とよくある使われ方に絞って整理していきます。

専門的に語れるようになることが目的ではありません。
設計側の意図を読み取りやすくなり、「話が止まらない」ための土台をつくることが目的です。

寸法・基準の次に来る一段深いフェーズとして、ぜひこの「納まり・取り合い編」も、続けて読んでもらえたらと思います。

では、早速順番に見ていきましょう。


シリーズ第一弾「寸法・基準」はこちら


面一(つらいち・めんいち)

異なる部材や仕上げの表面を同一平面上で揃える納まり。
意匠的にすっきり見せたい場合や、ラインを強調したい場面で使われる。

面一は「見た目」だけでなく、下地厚・仕上げ厚・施工誤差まで含めて成立する。
建築CGでは簡単に揃えられるが、実際には2材の表面を同一面に仕上げることは難しく、小さな面をとって逃げていることが多い。

使われ方のフレーズ

「ここは面一で納めたいです」
「この部分、ちゃんと面一ですか?」
「面一前提のディテールです」

よく似ている用語:ゾロ


面内/面中(めんうち/めんなか)

基準となる面に対して、

・面内:内側に入る
・面中:中心に来る

という位置関係を示す言葉。
寸法よりも「どの面を基準にしているか」を共有するために使われる。

使われ方のフレーズ

「これは面中で納まってます」
「ここは面内でお願いします」
「敷居は面内納まりです」


揃(ゾロ)

複数の部材やラインが同一ライン上で揃っている状態を指す現場用語。
面一の意味に近いが、よりラフな会話表現として使われることが多い。

図面上の厳密な指定というより、ビジュアル制作においては「揃えたい」というニュアンス。

使われ方のフレーズ

「このライン、ゾロでいきます」
「そこ、全部ゾロですよね?」
「ゾロになってるか確認してください」


見附(みつけ)

窓枠や建具枠、柱などの正面から見たときに実際に見える幅・太さを指す言葉。
同じ寸法でも、位置や周囲との関係で太く・細く見えるため、意匠調整の重要ワード。

よく似た意味の用語で「見え掛かり(みえがかり)」がある。
使い分けは、正面から見た時を「見附(みつけ)」、斜めや下から見た時を「見え掛かり(みえがかり)」としている。

使われ方のフレーズ

「見附を大きくとりたいです」
「見附バランス見てください」
「もう少し見附を抑えたいです」


見込み(みこみ)

正面から(見附を)見た時にみえてくる、側面の奥行きのこと。
立体感や重なりの印象に大きく影響する。

見附とセットで使われ、「正面」「側面」の見え方を切り分けるための言葉。

使われ方のフレーズ

「この部材、見込み深いですね」
「見込みが小さすぎます」
「ここ、見込み抑えられますか?」


散り(チリ)

部材同士の間に生じる小さな段差・隙間・ズレを指す言葉。
部材の伸縮性と施工誤差を吸収させる目的と共に、納まりを美しく見せるためでもあり、機能面と意匠面において重要な要素。

建築CGでチリを省略しすぎると、のっぺりとした平面的な表現に見えやすいため、フォトリアルな作品では表現必須。

使われ方のフレーズ

「ここ、チリ取ってます」
「チリの見え方確認してください」
「このチリは意匠です」

*建具枠を壁面から飛び出して納めること「チリ出し」
*反対に、壁面よりも引っ込んだ形で建具枠を納めることを「逆チリ」ともいう。


小口/小端(こぐち/こば)

部材の端部の面、断面部分
仕上げ有無で印象が大きく変わる。
長手方向の狭い方の面を小端(こば)と言う。

使われ方のフレーズ

「小端の面取りをお願いします」
「小口も塗装です」
「小口が笑わないようにして下さい」

*「木口・木端」は木材の断面部分を指すが、「小口・小端」は材料の種類を問わない。


突き付け(つきつけ)

部材同士を間を空けずに直接当てる納まり。
ドン付けと言われる。施工精度が求められるため、成立条件が厳しい。

建築CGでは簡単な作業だが、実際の現場では避けたい納まりであることが多い。
面一と同様、逃げていることが多い。

使われ方のフレーズ

「ここは突きつけです」
「突きつけだと施工厳しいですね」
「突きつけ前提の納まりです」


目透かし(めすかし)

部材同士の継目に意図的な隙間を設ける納まり。
目透し貼りを施した天井を「目透かし天井」などという。

寸法は小さくても、意匠的な印象を大きく左右する。

使われ方のフレーズ

「ここ、目透かし入れたいです」
「目透かし幅どれくらいですか?」
「目透かしで処理しましょう」


留め/芋(とめ/いも)

「留め(とめ)」とはふたつの部材を斜め45°にカットして継ぐことを指す。
仕上がりはきれいだが、施工精度やコストが上がる。
対して、「芋(いも)」は単純にくっつけた納まりのため、身の回りの納まりには圧倒的に多い。

とはいえ、「留め」が優れているわけでもなく、繊細な加工が必要なため、ちょっとしたズレが目立ったり、欠けも起きやすいというデメリットもある。

使われ方のフレーズ

「ここは留めでいきます」
「見えるところは留めにして下さい」
「この角、いもじゃなくて留めに変更できますか?」


面取り(めんとり)

部材の鋭利な角部分を除去し、滑らかな角面や丸面の形状へと加工すること。
安全性・仕上げ保護・意匠の柔らかさを目的とした処理。
建築業界では、角を残した角面、角に丸みをつけた丸面、2〜3mmで細く角を取った糸面、が一般的。

建築CGにおいては、認識しやすさを重視し、実際の寸法よりも大きめに確保する場合もある。

使われ方のフレーズ

「ここは丸面にして下さい」
「面取り寸法どれくらいですか?」
「糸面程度で問題ないです」


縦勝ち/横勝ち

縦ラインを優先するか、横ラインを優先するかの納まりルール
外装・内装ともに頻出。

建築CGでは、
どちらを勝たせているかで印象が変わる。

使われ方のフレーズ

「ここは縦勝ちですね」
「横ラインを勝たせたいです」
「縦横どっち勝ちですか?」


逃げ

部材同士や可動部分の間に設ける必要最低限の余裕寸法
施工誤差や動作、メンテナンスを考慮するために確保されるもので、見た目を調整するための余白とは意味が異なる。

設計側では前提条件として扱われることが多く、数値が明示されていなくても「逃げがある」という言い方で共有されることがある。

*【よく似た用語】その1:「クリアランス」
最も一般的で技術的な「隙間」を指す言葉に対し、「逃げ」は施工や加工における余裕寸法を指すことが多い。

*【よく似た用語】その2:「遊び」
可動部や取り付けにおける調整の余裕。「逃げ」よりも機能的な文脈で使われることが多い。
「逃げ」は動かない部分に対する余裕、「遊び」は動く部分に対する余裕としてよく使われる。

使われ方のフレーズ

「この納まりだともっと逃げがほしいですね」
「クリアランス多めがいいと思います」
「ここに遊びを設けています」


ふかす

柱・壁・天井などを所定の面よりも前に出すことを「ふかし」と呼ぶ。
寸法を大きくしたり、厚みを出すことを指し、漢字では「付加す」と書く。
木材での下地組みやコンクリートの増し打ちなど、施工方法は構造によってさまざま。

綺麗に見せるための意匠上のふかしや、設備配管等を納めるための機能上のふかし等、「ふかす」目的や場所も色々なシチュエーションがある。

使われ方のフレーズ

「ここ、壁をふかしてます」
「ふかし分をみておいてしてください」
「設備のためにふかし必要です」


笑う(わらう)/こぼれる

本来フラットであるべき面や、隙間が出てはいけない取り合い部分に、隙間・段差・不均一な状態が生じてしまうことを指す。

タイルの目地が開く、塗装が剥がれる・凹凸になる、本来隠れるべき断面が見えてしまう――といった状態をまとめて表現する。
特に「こぼれる」は、タイルや石、木部などで小口(材料の断面)が露出してしまう状態を指すことが多い。

  • 笑う
     仕上げ面が不均一で、隙間や段差が出てしまっている状態全般。
     施工精度が低い、納まりが甘い、というニュアンスを含む。

  • こぼれる
     主に小口や断面が見えてしまう状態。
     「本来見せない部分が見えている」ことへの指摘として使われやすい。

使われ方のフレーズ

「タイル目地が笑わないようにしてください」
「こぼれないように受け材を当ててください」
「枠から巾木がこぼれています」

入隅(いりずみ)

建物の壁や板で、二つの面が内側に折れ込むように交わる角部
壁と壁、壁と天井などで“凹んだ側”のコーナーを指す。

使われ方のフレーズ

「入隅が暗いので光を当ててください」
「この入隅までアクセントクロスです」
「入隅までの寸法はいくつですか」


出隅(でずみ)

入隅とついになる用語で、二つの面が外側に張り出すように交わる角部
壁の“出っ張った側”のコーナーで、傷がつきやすいため補強や見切り材の選定が重要。
クロス・塗装・タイルなど、仕上げの直線性が特に目立つ部分。

使われ方のフレーズ

「出隅の角をRにしてください」
「出隅はコーナー材を入れて仕上げます」
「出隅から1000くらい離して家具を置いてください。」


まとめ|納まり・取り合いの言葉は「仕上がりを正しく想像するための共通語」

今回取り上げた「納まり・取り合い」の用語は、図面だけでは伝わりにくい仕上がりの状態を共有するための言葉です。

これらは専門的な知識というより、「どんな状態が良くて、どんな状態がNGなのか」を現場と同じ目線で理解するための“共通語”に近い存在です。

ビジュアライザーの仕事では、仕上がりのリアリティをどこまで再現するかが作品の説得力を大きく左右します。

納まりの言葉を知っていると、クライアントの指摘や現場のニュアンスが読み取りやすくなり、「どこが気になっているのか」「どこを丁寧に描くべきか」が自然と掴めるようになります。

ビジュアライザーに必要なのは、設計者や大工になるための知識ではありません。
ただ、同じ言葉を同じ意味で受け取れる状態にしておく。

言葉を現場と同じ意味で受け取れる、それだけで仕上がりのイメージ共有がスムーズになることでしょう。


📌 このnoteでは、建築ビジュアル制作の実務ノウハウや、発注・進行をスムーズにするコツを発信しています。
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