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#27 ビジュアライザーが知っておくべき「寸法・基準」の建築現場用語

はじめに

建築CGの仕事をしていると、打ち合わせや図面のやり取りの中で、当たり前のように建築用語が使われます。

芯ズレ、内法、有効、見附、チリ、逃げ、殺し、、、
どれも一度は聞いたことがあり、会話の流れも、なんとなくは追えている。
ただ、その言葉がどんな前提で使われているかまでは、意識しきれていないことも少なくないのではないでしょうか。

この記事では、知っておくと設計側のクライアントとの打ち合わせややり取りがスムーズになる建築用語を、ビジュアライザー向けに整理します。

クライアントから渡されるラフな手書きの指示や図面には、こうした用語が説明なしで書かれていることも多くあります。

専門知識を身につけるためではなく、話が通じやすくなるための前提整理として、読み進めてもらえたらと思います。

なお、この記事は、ビジュアライザー向けに「知っておくと話が通じやすい建築用語」を整理していくシリーズの一回目です。

初回となる今回は、その中でも特に制作のベースとなる用語「寸法・基準」に関する用語を取り上げます。

通り芯や内法、有効寸法といった言葉は、設計側では前提として共有されている一方で、CG作業の中では感覚的に処理されてしまいがちな領域でもあります。

この回では、それぞれの用語について基本的な意味と、現場でのよくある使われ方を中心に整理していきます。

では、早速みていきましょう。


① 寸法・基準まわり

寸法や基準に関する用語は、建築のやり取りの中で前提として使われることが多い言葉です。

通り芯や内法、有効寸法といった用語は、細かい説明がなくても会話が進みやすい一方で、
基準の捉え方がずれたまま進んでしまうこともあります。

このセクションでは、寸法や基準に関する用語を、基本的な意味と、よくある使われ方に絞って整理します。


通り(とおり)

建物内で位置を特定するために設定される基準となるラインの呼び方。
実体のある線ではなく、通り芯をもとにした位置や区画を示すための名称として使われる。
「◯通り」「X1通り」「Y3通り」などの表現は、 通り芯そのものではなく、そのラインに沿った位置や範囲を指している場合が多い。

設計図や打ち合わせでは、「どの通りか」を共有することで、細かい寸法を示さなくても
位置関係を正確に伝えることができる。

使われ方のフレーズ

「Y3通り側の壁を少し寄せたいです」
「この通りで一列揃えましょう」
「設備はこの通りをまたがないようにしてください」


通り芯(とおりしん)

柱や壁などの中心を通る基準線のこと。
柱芯同士を結んだ線として使われることが多く、建物全体の配置や寸法を決めるための基本的な基準になる。

設計・施工のどちらでも重要な基準で、現場では通り芯を起点に寸法を測り、位置決めを行うことが多い。

使われ方のフレーズ

「この壁は通り芯基準でお願いします」
「通りがズレてるから、全体見直そう」
「この通りで柱を拾っていきます」


芯々(しんしん)

部材や構造の中心線同士の距離
配置・構造寸法の基準として使われる。

使われ方のフレーズ

「柱芯々で◯◯mmです」
「このスパンは芯々寸法で見てます」
「芯々で拾ってるので、仕上げは別です」


柱芯(はしらしん)・壁芯(かべしん)

柱断面、または壁の中心を通るライン。
構造・配置・寸法検討の基準として使われる。

使われ方のフレーズ

「この壁は柱芯合わせじゃなくて壁芯で」
「通り芯から柱芯を◯◯mm振ってます」
「ここ、壁芯ズレしてるけど大丈夫?」


芯ずれ(しんずれ)

本来そろうべき通り芯・柱芯・壁芯が一致していない状態
意図的でない芯ズレは、設計・施工どちらでも問題になりやすい。

使われ方のフレーズ

「ここ芯ずれしてるので注意してください」
「芯ずれ分だけ仕上げが出てきます」
「芯ずれさせてるので、懐余裕あります」


内法(うちのり)

部材の内側から内側までの寸法
実際に使える空間サイズを示す。

使われ方のフレーズ

「この部屋、内法でどれくらい取れてます?」
「造作家具がくるので内法◯◯mmは確保してください」
「内法が足りないので再検討です」


外法(そとのり)

部材の外側から外側までの寸法。
建物外形や法規、全体ボリュームの基準。

使われ方のフレーズ

「この寸法は外法です」
「外法変わると全体に影響出ます」
「外法で◯◯mmまで広げたいです」


有効(有効寸法)

実際に使用可能な寸法。
内法から仕上げや干渉要素を除いた数値。

使われ方のフレーズ

「有効で◯◯mm確保できてますか?」
「この通路、有効寸法どれくらい取れてます?」
「家具を入れるので、有効で◯◯mmほしいです」


モデュール(module「モジュール」とも言う)

建築全体の寸法や配置を揃えるための基準となる寸法体系
柱位置、壁位置、開口、割付などを無秩序に決めるのではなく、あらかじめ決めた寸法単位に沿って計画することで、設計・施工の整合性を取りやすくする目的で使われる。
主な種類は、1mを基本としたメーターモデュール、910mm(3尺)を基本とした尺モデュール。

使われ方のフレーズ

「トイレ周りだけメーターモデュールになっています」
「尺モデュールで進めてください」
「メーターモジュールなので余裕があります」


スパン

一般的なスパンとは、一定期間やその範囲、長さを意味することが多いが、建築業界では柱と柱の距離についてスパンという言葉として使われる。

使われ方のフレーズ

「このスパン飛ばしすぎです」
「スパン変えるとこの構造ではもたないです」
「スパン割り、再検討ですね」


ピッチ

同じ部材や要素が繰り返される間隔。等間隔配置の基準。

使われ方のフレーズ

「このピッチで揃えます」
「ピッチ乱れると見え方変わります」
「ピッチ合わせてください」


割付(わりつけ)

部材や要素を、決められた範囲の中でどの位置・間隔で配置するかを決めること。
ピッチやモジュールを前提にしながら、端部の納まりや全体バランスを考慮して調整される。
単純な等間隔配置ではなく、「どこを基準に、どこで調整するか」という判断を含んだ設計行為として使われることが多い。

使われ方のフレーズ

「この範囲で割付考えてください」
「どこ基準で割り付けますか?」
「割付変えると印象変わりますね」


② 高さ・レベル

高さやレベルに関する用語は、基準の取り違いがそのままビジュアル制作のズレにつながりやすい領域です。

GLやFL、CHといった言葉は、高さそのものではなく、どこを起点にしているかを示しています。

このセクションでは、高さ・レベルに関する用語を、基本的な意味と、よくある使われ方に絞って整理します。


レベル

複数の要素が同じ高さにそろっているかどうかを判断するための言葉。
具体的な数値そのものよりも、「基準に対して合っているか」「上下関係が正しいか」といった高さの関係性を示す意味合いで使われることが多い。

設計側が「レベル」と言うときは、寸法を測る以前に、揃って見えるか/揃えるべきかという話をしている場合が多い。

使われ方のフレーズ

「こことここ、レベル合ってますか」
「このライン、レベル揃えてください」
「全体のレベル感を見直したいです」


レベル差

床や地盤、外構などに生じる高さの差を表す言葉。
段差やスキップ、勾配などを検討する際に使われ、数値そのものよりも、どこに差があり、どう処理されているかを指すことが多い。

CGでは成立していても、レベル差の意図や位置関係が整理されていないと、感覚的に「違和感がある」といった指摘につながりやすい。

使われ方のフレーズ

「ここ、レベル差あります」
「このレベル差はどう処理していますか」
「外と中のレベル差を整理したいです」


GL(グランドライン)

グランドレベル(Ground Level)、またはグランドライン(Ground Line)の略称。

建物高さを決める地盤面の基準ライン。
グランドレベルには、現況GL、設計GL、平均GLがある。
現場では、「ジーエル」と呼ぶことが多い。

使われ方のフレーズ

「GLはこのレベルで見てます」
「GL基準で全体確認してください」
「GLが変わったので外構にも影響します」


FL(1FL / 2FL)

フロアレベル(Floor Level)またはフロアライン(Floor Line)の略称。

各階の床レベルを基準にして引かれる高さの基準ライン
FLの『F(フロア)』は、床の仕上げ面のことを指しており、仕上げた床面の天端高さをいう。
FL(1FL / 2FL)をもとに、床・建具・開口・仕上げ位置などをどの高さでそろえるかを判断するために使われる。
現場では、「FL+1000」=「エフエル プラス 1000 」などと呼ぶことが多い。

使われ方のフレーズ

「ここは1FL基準です」
「2FLとのレベル差を確認してください」
「FL+1000として設置してください」


SL(スラブライン)

スラブレベル(Slab Level)、またはスラブライン(Slab Line)の略称。

スラブとは平板・背板の意味を持ち床板のことを指す。
主に、コンクリートを打設した床の表面の高さのことを表し、構造的な床の天端ともいえる。
FLはフローリングなどの床仕上げ材、SLは躯体そのものの天端を指す。
現場では「エスエル」と呼ぶことが多い。

使われ方のフレーズ

「SLはこの高さになります」
「SL基準で仕上げ積んでます」
「SLからの寸法で見てください」


軒高(のきだか)

地盤や基準レベルから、 軒先までの高さを示す言葉。
外観の印象やスケール感に直結するため、エレベーション検討の中でよく使われる。

軒高は、単なる高さ制限の数値というより、建物がどう見えるかを左右する基準として扱われることが多い。

使われ方のフレーズ

「軒高、もう少し抑えたいです」
「軒高はどこまで高くできますか」
「軒高変えると外観の印象変わります」


階高(かいだか)

建物の1階分の高さ、下階FLから上階FLまでの高さ。
階高は「床から床」の高さであり、天井裏の配管・配線スペースや床下の構造材の厚み(スラブ厚など)を含んだ、階と階の「全体の厚み」を指す。

使われ方のフレーズ

「この建物、階高どれくらいですか?」
「階高変えると全体に影響が出ます」
「設備的にこの階高は必要です」


構造階高(こうぞうかいだか)

構造体としての階の高さを示す言葉で、構造躯体の芯から芯までの距離を表した寸法。
仕上げや天井構成を含まない、構造計画上の純粋な高さとして扱われる。
構造設計でメインに使われるフレーズなので、ビジュアル業界ではあまり耳慣れないかもしれない。

使われ方のフレーズ

「この案では構造階高いくつ取れてますか」
「このプラン、構造階高が先に決まってます」
「このボリューム感だと、構造階高がきついですね」


CH(天井高)

床から天井仕上げまでの高さ。
フロアライン(FL)から、天井仕上げまでの室内として見える高さを指す言葉。
空間の開放感や圧迫感に直結するため、内観検討やエレベーションの話題で頻繁に使われる。

使われ方のフレーズ

「CHはいくつ取れてますか?」
「この空間、CH低く感じますね」
「CH確保できていれば問題ないです」


エレベーション

建物を正面や側面から見たときの外観の構成を示す言葉。
立面図や姿図として、窓やドアの位置、高さ関係、外壁の素材など、外観を形づくる要素の配置と上下関係を確認するために使われる。

エレベーションは、建物の印象やバランスを左右する重要な情報で、周囲の環境や道路との関係を把握する際にも用いられる。

使われ方のフレーズ

「この外観、エレベーション揃えてください」
「開口まわりのエレベーション見直したいです」
「高さ関係、エレベーションで確認しましょう」


まとめ|寸法・基準の言葉は「図面を読むための共通語」

今回取り上げた「寸法・基準まわり」の用語は、どれも設計・施工側にとっては前提として共有されている言葉です。

通り芯、柱芯、壁芯、内法、有効寸法、GL、SL、FL、、、これらは「細かい専門知識」というより、図面や指示をどう読むかのルールに近い存在です。

ビジュアライザーの仕事では、

  • 形をそれっぽく作ること

  • 雰囲気を整えること

だけでなく、「どこを基準に、どこまでが設計意図なのか」を読み違えないことが重要になります。

寸法や基準の言葉が頭に入っていると、クライアントの一言やラフなスケッチから「何を見てほしいのか」「どこが変わるとNGなのか」が掴みやすくなります。

専門家になる必要はありません。
ただ、同じ言葉を同じ意味で受け取れる状態にしておく。

それだけで、クライアントの言葉の背景が読み取りやすくなり、打ち合わせも制作も自然と前に進みやすくなります。

次回予告|第二弾「納まり・取り合い」

寸法と基準がわかってくると、次に必ず出てくるのが「納まり」「取り合い」の話です。

面一、チリ、目透かし、突きつけ、クリアランス、逃げ、、などなど
これらは図面上では一言で済まされがちですが、CGでは見え方に直結する判断ポイントになります。

「そこは逃がしてください」
「ここは面一で」
「チリをつけたいです」

こうした指示が出たとき、どこを揃えて、どこをズラすのかを正しくイメージできるかどうかで、修正回数も、クライアントからの信頼度も大きく変わります。

次回は、図面やCG制作が中心で、現場の実務に触れる機会が限られているビジュアライザーが迷いやすい「納まり・取り合い」用語を、意味と使われ方に絞って整理します。

「なんとなく合わせている」から「意図を理解して表現できる」へ。

その一歩として、ぜひ続けて読んでください。


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建築パースが、

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