レコード・カヴァーが囁く夜 [70年代の名盤は]|極私的プレイリスト
古いレコード盤に針を落とすとチリチリと鳴るノイズ。
50年前に刻まれた音は時を超え、今宵も甦る。
音楽の向こうにだれかの囁きを従えて。
その囁きを耳にするのは、あなただけ。
70年代に生まれた名作レコード・カヴァーで妄想する3夜目です。
◎ ◎ ◎
「今日も誰も来なかったな〜」

Wishbone Ash
(1972)
兵士は今日も丘の上に立ち、援軍の到着を待っていた。
上官の命令通り、毎日決まった時間に斥候に立つうち、部隊の仲間はひとりまたひとりと命を落としていった。
それでも彼は淡々と任務を続けた。
来る日も、来る日も。
「お〜い、赤い兵隊さんが出てきたからそろそろ昼にすべえよ〜」
「おぉもうそんな時間かえ〜」
戦が終わってからすでに十数年が過ぎようとしていたが、麓の村では誰も兵士にそのことを告げるものはいなかった。
村にまだ時計がなかったから。
「このアルバムこの一曲」
♪ Warrior
◎ ◎ ◎
キース「は…はじめまして…ぼくら、あの…バンドとかやってて…」

Emerson, Lake & Palmer
(1972)
グレッグ「一応日本にも来たことあんだよね、伝説の後楽園球場とか知ってるぅ?」
カール(左っかわのコ、すげーカワイ〜♪)
ギャルA「てゆーかあんたらなんで最初っから脱いでるワケ?」
「このアルバムこの一曲」
♪ Hoedown
(※どれが誰なのか特定できない、というのが公式見解らしいですけどね…)
◎ ◎ ◎
「平日の昼間からゴロゴロ〜ゴロゴロ〜」

Eric Justin Kaz
(1972)
「あ〜あ、ファースト・アルバムでグラミー賞とか取れねぇかな〜」
「このアルバムこの一曲」
(う〜ん、一曲だけ選ぶの難しいけど…)
♪ Cruel Wind
◎ ◎ ◎
「いや、もうノームは募集してないよ…」

George Harrison
(1970)
だってさー、見てよこいつら。
山から金を掘ってくるっていうから雇ったのにさー、森は怖いとか言ってずーっとここで昼寝ばっかりでさー、結局オレが長靴履いて採掘してんだぜ。
デラ・ボニのギャラも注ぎ込んじゃってさー、シャンカール先生へお布施送らなきゃなんないし、どうすんだよー。
「このアルバムこの一曲」
♪ What Is Life
◎ ◎ ◎
「残念だったな…それは残像だ」

Jeff Beck
(1976)
ヤン・ハマーは語る。
「あの若造が襲いかかってきた時だ。ジェフの右手首が微かに動いたんだ。次の瞬間、あのリフが鳴り響いたと思ったら、若造は真っ二つになっていたよ」
「このアルバムこの一曲」
♪ Led Boots
◎ ◎ ◎
レコード・カヴァーを眺めていたら次から次へと囁きが聞こえてきたので(もしかしたら私は異常なのでしょうか?)、来週もこのシリーズを続けます。
各盤のファンの方、マジごめんなさい。
top image : u_9iuwz8kubh, thank you for allowing me to use your wonderful work.
