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彼女と別れて銭湯のあと餃子

 餃子にニンニクを入れるか/入れないか、それが問題だ。戦前、戦中の大陸にルーツがある餃子は、ニンニクを薬味として別個に出すぐらいで、なかの餡にはいれない。

 今のメインであるニンニク入りの餃子のルーツはどこにあるのだろうか。半島ルートにそのルーツがあるのではないかと思うのだが、まだ確証はない。

『アンソロジー 餃子』PARCO出版

総勢39人の著名人が餃子について書いたエッセイを集めた餃子本。餃子LOVERにはぜひ読んでいただきたい本である。

マイギョウザバイブル

 いずれも読ませるエッセイなのだが、森まゆみさんのエッセイを読んでみよう。今はなき神保町のスヰートポーヅ3代目店主さんへのインタビューで、初代が神保町に店を出したときの経緯などが語られていて、じつに面白い。初代は若き頃に大陸にわたり、昭和7年ごろから大陸の人に包子や餃子の作り方を教わり、大連の山県通りで『スヰートポーヅ』という店をやっていたという。その後神保町に店を構えたのが昭和10年で、食堂「満州」という名で、終戦までやっていたとのことだ。

 日本の老舗餃子屋さんは満州、大陸帰りの方が創業するケースが多く、その店の来歴を語ることは日本の近代を語ることと重なりあう。ひとり餃子を食べながら、日中の近代史に思いを馳せる。

 さて表題の「彼女と別れて銭湯のあと餃子」は、もちろん私のアイデアではない。いくら風呂屋好き、餃子好きとはいえこんな題をつけることはさすがにできない。本書所収のエッセイの題名で、作作者は片岡義男さんである。

 十条の町を舞台に、つきあっていた年上の彼女に別れを告げられた後に、銭湯の煙突の煙を見て、風呂に入り、餃子を赤羽で食べてというストーリーが語られるのだが、片岡節ともいえる「分析的な」ところが抑えられていて、読みやすい。風呂屋の煙突、煙、風呂に入って、餃子で飲む。脈絡のない行動は、失われた恋に千々に乱れた心を表しているようで、ギョウザはそんな心情も包み込むのだ。

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