愛の相対性理論──太陽と月はコンビニを経営している
夜があるから、月は光る。
月があるから、私たちは愛を語る。
愛とは、太陽と月の交代勤務なのかもしれない──
「月が綺麗ですね」と言われたら、
私はいつもこう答えたいと思っている。
太陽が寝ているからですよ。
たぶん、それが一番正しい。
なぜなら、月は太陽の光を受けてしか輝けないからだ。
月の美しさは、太陽の沈黙に支えられている。
この関係は、愛そのものだと思う。
1 見えない光の上で
太陽は実際には眠っていない。
地球が回ることで、私たちが夜と呼ぶ時間が生まれる。
つまり、「太陽が寝ている」というのは、
人間が見えないものを“休み”と名づけただけの錯覚だ。
けれども、
その錯覚の中で月は静かに働いている。
沈黙を引き受けて光る。
見えない太陽の代わりに、世界を照らす。
この構図は、
まるで“交代勤務”のようだと思う。
2 交代勤務という愛のかたち
昼と夜
太陽と月
仕事と休息
会話と沈黙
すべては交代で成り立っている。
どちらかが働いている間、
もう一方はその働きを見守り、支えている。
愛もきっと、そういうものだ。
どちらか一方が燃え続けてしまえば、世界は焼け焦げる。
片方が冷えすぎれば、世界は凍りつく。
だから、太陽と月は交代する。
互いを休ませながら、光を絶やさない。
それは、夫婦のようでもあり、
同僚のようでもあり、
運命共同体のようでもある。
3 月が綺麗に見える理由
月が綺麗に見えるのは、
太陽を見ていないからだ。
光を直接見つめることはできない。
まぶしすぎるから。
でも、反射した光なら、
やさしく受け止められる。
だから、
人は“月”を通して“太陽”を見ているのだと思う。
それは、
愛する人のまぶしさを、
少し距離を置いて眺める行為に似ている。
4 相対性という祈り
結局のところ、
太陽も月も、同じ空にいる。
ただ、立ち位置が違うだけだ。
どちらが正しいとか、どちらが上だとかではなく、
見える角度が変われば、
世界の明るさも変わる。
それが、相対性なのだと思う。
愛もまた、相対的だ。
互いの時間がずれること。
感じ方が違うこと。
光と影の立場が交代すること。
そのズレこそが、
世界を回している。
5 24時間営業の宇宙
もし太陽と月が夫婦で、
昼夜交代で働いているのだとしたら、
宇宙はきっとコンビニみたいなものだ。
光を絶やさず、休むことなく、
誰かの夜を支える場所
太陽が寝ているあいだに、月が照らす。
月が沈むとき、太陽がまた働きはじめる。
つまり、愛とは、
宇宙初の24時間営業なのだ。
結び
「月が綺麗ですね」とは、
「あなたがいない間も、私はあなたの光を見ています」
という意味なのかもしれない。
そして、
「太陽が寝ているからですよ」とは、
「あなたの沈黙が、私を照らしている」という告白なのだ。
光ることも、休むことも、
どちらも世界を支える仕事
太陽と月が交代で働いているように、
人の愛もまた、
見えないところで続いている。
愛の相対性理論──太陽と月はコンビニを経営している。
この宇宙に光が絶えないのは、
誰かが夜勤を引き受けているからだ。
あとがき
書いてみて気がついたのだが、田舎の深夜のコンビニって月のようではないか。
星々が、街灯や自販機の光だとするなら、
ひときわ大きく輝く満月のような存在がコンビニなのだろう。
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