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漫画家アシスタント物語  第8章 〈2〉 開業は責任重く眠れぬ日々

 
《 写真上: 私が開店したマッサージ店があった「へいわ通り」です。写真中央を奥へ進んだ所にあるビルに開業しました。ちょっと寂しい商店街 》
               < この8章〈2〉は、文庫本約8ページ分 >

 
 
この「第8章」は、単独で
「第8章〈1〉その1」(無料)からお読みになれます。 「第7章」からの「続き」というわけではありません。
 
ただし‥‥
はじめての方は、
「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
 


 
               その3  
  
    《 漫画家アシスタントが・・・経営者の孤独を知る 》
 
 
 
マル暴対策の刑事さんから「 今時、ミカジメ料なんて取りませんよ 」‥‥と、言ってくれるのを期待していたのですが‥‥‥‥
 
「 それは、ありますね 」
 
‥‥と、キッパリ言われた時には‥‥ 少し暗い気分になりました‥‥ しかし‥‥‥‥
 
「 決して払ってはいけません 」
 
とも、言われたので‥‥ 結局、払うかどうかは、自分の決意次第なのだと言う事でしょうか。
 
 
ところで‥‥
 
人に商売を始める事を相談すると、まず、反対されるものです‥‥
 
「 ど素人が巧くいくわけない 」
「 今時、儲かる商売なんてない 」
「 破産するだけだ! 」
 
中には‥‥
 
「 奥さんを売るつもりか? 」
 
などと、何か勘違いしている人もいたりして‥‥ 誰一人として私が商売を始める時に、まともなアドバイスをくれた人はありませんでした。
 
もっとも、商売の経験がある漫画家や漫画家アシスタントなんて、私の周りにはいなかったのですが。
 
 
これは、しばらく後の話‥‥‥‥
 
店舗準備がやっと整って、お店をオープンする直前の事でした‥‥‥‥ 電気配線の仕上げを川崎で電気店を経営する友人に頼んだ時に‥‥
 
物件探し、手作りの店内装飾、備品購入、家具、マットなどの調達‥‥ ストレスと疲労から2カ月で7~8キロも痩せ、疲れ切った表情の私に‥‥
 
「 小池も一人で悩んでるんだな‥‥ 」
 
‥‥そう、ポツリと‥‥ 友人が言ってくれた時‥‥ 私は胸が詰まって‥‥ 涙がこぼれそうになったものです。
 
これが‥‥ 経営者というものの「 孤独 」の始まりでした‥‥‥‥
 

さて‥‥
 
漫画家アシスタントが普通にマンションを借りるのにそれほど苦労はないと思うのですが‥‥
 
これが事業用にマンションを借りるとなると保証問題や礼金の追加など、少し面倒な事があるのです。
 
一般にお店として借りるビルの一階は、高額な保証金( 数100万円 )と割高な家賃など‥‥ 私には手が出せません。
 
何より、店舗としての室内改装費に大変お金が掛かります。池袋で商売をするとなると‥‥ 1千万円は必要になるのではないでしょうか。
 
私に使える資金は3~4百万円ですので、通常の店舗用マンションは諦め、普通の賃貸物件を探す事にしました。
 
秋山プロで仕事のない日には、物件を探し歩く毎日でした。
 
路地裏の古いマンションや、エレベーターのない4階フロアーなど‥‥ そんな時に池袋駅から4~5分の所にある物件が見つかりました。毎日探し始めてから2ヶ月が経っていました。
 
マンションのエントランスを入って、ず~っと奥の一番はずれ‥‥‥‥
 
駅から近い場所と、賃貸料金や室内環境など‥‥ 条件が合っていたので契約する事にしたのですが‥‥
 
管理組合の規定によって、外に看板を出す事が出来ないのです‥‥‥‥
 
いったいどうやって、お客さんを呼ぶのか‥‥?
 
この問題については次回に‥‥‥‥



 


開店前のマッサージ店内部。奥のサッシ戸の向こう側は、ラブホテルが並んでいる。夜には赤や紫のネオンが眩しい。室内の電気を消すと部屋はピンク色に! 普通の人が暮らせる環境ではない。

 
                その4  
  
   《 漫画家アシスタントが・・・徹夜してマッサージ店を開く! 》
 
 
 
20万円の家賃と150万円近い敷金礼金そして消費税を払って借りたマンション( ※参照 )は、池袋北口駅から徒歩5分のラブホテル街にありました。
 
ラブホテルに裏側で接する‥‥ まさに‥‥ ネオンとアベックが乱れ咲く様な環境の中の‥‥ ごく普通のマンション‥‥。
 
ここは、管理組合の規約上‥‥ 看板が出せません。 どうやってお店の宣伝するかと言うと‥‥ 当時は、まだ新聞広告( ※参照 )などが主な宣伝媒体でした。
 
マンションの一室を借りて営業するお店では、この方法が普通だったのです。
 
私のカミさん( ※参照 )や、その友人( マッサージ店で働くタイ人女性 )などは‥‥
「 お客さん、みな新聞見て来るヨ 」
‥‥と、簡単にお客さんが来る様な事を言っていました‥‥
  
そんな言葉を信じて‥‥ 私は、新聞広告の準備をします。 しかし(!)それだけでは不安だったのでネットでホームページを作り、タイの情報サイト( ※参照 )を通じて宣伝する方法もやってみることにしました。
 
これが、私がパソコンを始める切っ掛けになりました‥‥。( 今、こうしてブログをやっている事の原点! )
 
慣れないPCに脂汗をかきながら必死にお店のホームページを作りました。

この時、生まれて始めてパソコンに触れる私がネットに詳しい知人に‥‥

「一週間でホームページを作りたいなぁ‥‥」
「小池さん、それは無理だよ」
「どうして?」
「初めての人がホームページを作るなんて、一週間じゃ絶対に無理です」
「‥‥‥‥」
 
ネットも知らなきゃ、タイプも打てない、ドメインも容量もわからない‥‥ そんな私でしたので、最初はタイの情報サイト「 〇〇タイランド 」( ※参照 )に全て頼むつもりだったのに‥‥( ゆっくりしている時間もない! )
 
情報サイトの営業担当者が電話で‥‥
「 お客様のコースは‥‥ 格安コースなので、自分でデザインとロゴ、画像や文章の全てを考えて下さい 」
‥‥と言われ‥‥ 私は、慣れないPCに人差指で一字一字‥‥‥‥ 文章を打ち込んでいきました‥‥ カタ‥‥ カタ‥‥ カタ‥‥‥‥
 
「 開店の1ヶ月以上前にアップしないと、間に合いませんよ! 」
 
‥‥‥‥なんて言われたって! 「 検索エンジン 」だの、「 キーワード 」だの、「URL」だの、「 ピクセル 」だの‥‥ まるでチンプンカンプンの言葉の海で溺れそうになっている私は‥‥‥‥
 
ただ必死に‥‥ 人差指だけ(!)でキーボードを‥‥‥‥ カタ‥‥ カタ‥‥ カタ‥‥‥‥

メールで、出来た文章や画像を「 〇〇タイランド 」へ送りると、すぐに返信が来ます‥‥

「文章がバラバラです‥‥ 文字の大きさとフォントをそろえて下さい」
「ふぉんと‥‥ってなにですかぁ?」
「画像が大き過ぎますよ、これじゃ使えませんよ!」
「大きすぎるって? ど~すればい~の?」
「小さく圧縮してください」
「え? 圧縮? なに、写真が縮むの?」

笑い事ではありませんでした‥‥ 無知な50男にとっては、気が狂いそうになるほどのストレスでした!
 
こうして連日、寝る間も惜しんで生まれて始めてのPCと格闘したのです‥‥‥‥
 
2003年の11月に、ボーナスの消滅とリストラが秋山プロ( ※参照 )を襲ってから4ヶ月‥‥‥‥
 
私の体重は82キロから74キロまで落ちていました‥‥‥‥
 
 
2004年3月‥‥ 寒さも緩んできた頃‥‥ どうにか、お店を開店させます‥‥‥‥
 
新聞広告は「 日刊〇ンダイ 」「 夕刊〇ジ 」など、そしてスポーツ新聞‥‥ その他にも街頭配布式の無料情報誌など‥‥‥‥ 自分でもどれだけのメディアに依頼したかわからくなるほど沢山の広告を出しました。
 
その事が、後に大変な失敗を招く事になるのですが‥‥‥‥
 
まず、その前に‥‥ いったい‥‥ どれほどの広告代金を支払ったのかというと‥‥‥‥
 
開店前後の1週間で‥‥ 新聞各紙に合計で40万円以上を使いました‥‥
 
『 開店1週間で‥‥ 集客は最低でも60人から100人は堅いな‥‥! 』
 
そう目論んだのですが‥‥ 甘かったのです‥‥‥‥
 
‥‥まったく甘かったのです!
  
 

 

       「 漫画家アシスタント物語 第8章〈3〉」へつづく・・・・

                   「第8章〈1〉」へもどる‥‥

                   「もくじ」 へ‥‥

 

 
 

 ~~~ 参照 ・第8章〈2〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)
 
 【その4】
借りたマンション : 10階建ての1階3DKの角部屋。マンション入口は商店街に面しているが、横と裏側には、ラブホテル街がある。このマンションの個室は、風俗嬢の待機室として利用されているケースが目立つ。
新聞広告 : 1日の広告代、親指一本分ほどのスペースが1万円~2万円。(俗いう『三行広告』というやつ)1週間ほどの掲載で10万円ほど。
タイの情報サイト : タイ料理などのお店はもちろん、タイ文化や習慣を紹介する。また、タイ人の就職情報やトラブル相談にも応じている。
・〇〇タイランド : タイ情報サイト大手。タイ人への情報発信ツール。
秋山プロ : 東京、目白にある漫画家ジョージ秋山の仕事場。04年当時、アシスタントは3人。連載は隔週誌、月刊誌合わせて2~3本。80年代には連載6本、スタッフ7人という時代もありました。

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