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漫画家アシスタント移住物語  20   技能実習生に明日はない

 
《 チェンマイ県ファーンにある田舎の火葬場。この日、タイの知人が亡くなりその葬儀と告別式に参加しました。遠くに見えるのは火葬場の煙です。棺桶に火をつける時にちょっとしたセレモニーがあるのです・・・・・後ほど 》

お薦め:古いですが「漫画家アシスタント物語・エントランス」もどうぞ!
 
 
 

チェンマイの南部、知人の裕福なお婆さんの葬列です。大きなホテルのオーナーで地元の名士。なんでそんな人の葬儀に私が出ているのかはともかく、これ延々と続く棺車を引く会葬者たち! 

 

手前大きな飾り車が棺桶を収めた車。中央の黄色い棺桶がお婆さんの棺。約300人以上の会葬者でこの車を葬儀場から火葬場まで引いて行くのです。車は高さが4m、日本人の目にはお祭りです!

 

お婆さんの火葬が始まりました。一番上の写真と同じセレモニーが‥‥。棺桶に着火する瞬間にある録音した音が流れます・・・・・それがいった何か判りますでしょうか? 普通の日本人には想像もつかない音です! 火葬の時に全参列者が聞く音です! それは・・・・・なんと・・・・・‥象の鳴き声!『プオォオオ~ン、プオ~ン』という悲しい鳴き声です! 像が泣いているのです! 2022年11月

 

この日、朝から遠く南部ハジャイ、東部イサーンから高僧が徒歩で来るというので、多くの市民が沿道に出迎え今か今かと1時間待ち! 80歳の著名な高僧が裸足で1千キロ歩いて来きます。 足は傷だらけで多くのお弟子や付き添い人と一緒に、最重要警備態勢で北部へ行脚して来るのです。

 

高僧一行が到着する前に、アスファルトの道路を掃き清める係員さん。これ以外にも、高僧への寄進物を販売する業者さんが、沢山の商品を車で引きながら通過中。待望の高僧が‥‥‥‥

 

中央で体をかがめるお坊さんが有名な高僧です。名前は分かりませんが、新聞やテレビでも行脚が報道されるほどの有名人です。ほぼ全ての敬虔な仏教徒にとっては普段お目にかかる事が出来ない高僧との対面ですから大変です。全員、地面にひれ伏して待ちます。私も路肩で人混みに混じって正座し頭を下げ合掌! そのため、ご尊顔を拝する事は出来ませんでしたが・・・・・ 2023年2月撮影

 

私の前に立ち止まる、アスファルトに映る高僧の影だけは見えるのですが・・・・・「傷だらけの足元は見えないかなぁ」そんな事を考えていると・・・・‥‥ポン、ポンと軽く頭と肩を杖で叩かれます。杖で祝福してくれました。この・・・・・ポンポンという感じを今でも忘れる事ができません・・・・・

 
 
           こりゃタイ編  その20
 

コロナの感染が中国で始まる少し前だったと思いますが・・・・( 2020年頃 )

私の親類にあたるタイ人の青年が日本へ外国人技能実習生として出発しました。その時の事について書いておきたいと思います。

彼はもうすぐ30歳、チェンマイの大学でコンピューター関係の学部を専攻、大学院の博士課程を卒業したのですが、就職が上手くいかずフリーター状態でした。( 日本でも同じ様に大学院卒って就職が難しい )

そこで、30歳になるのを機に、以前から大好きだった日本( 働きたかった日本 )へ行ける、この「技術実習生制度」を利用しようと考えたわけです。

若くて健康な人なら誰でも応募できる制度ですので、多くの若者が日本へ行って仕事をしたいと希望しています。

この送り出しのためのタイの専門学校で学ぶ若者たちは、SNSなどで写真を見ると、夢と希望にあふれている姿を画面一杯に発散させています。

彼らの目には、明るい未来しか見えていません!( 幻想なのに )

タイですと、いくつかの地方に日本へ行くための施設( 学校兼宿舎 )があり、そこで多くの若者が日本語や日本の文化・習慣について学習し、日本の企業の求人に応じて渡航するわけです。

これは、各国やその各施設によって違うのですが、おおむね60万円~90万円ほどの費用がかかります。( 全て食費、宿泊費、学習費、教材費、渡航費などを含みます )

若者たちにそれだけ資力があれば問題ないのですが、ほとんどの場合借入金( 多くは親族からの借金 )で済ませ、来日後に受け取る給料から月々差し引いて返金する形をとります。

仮に60万円借金があっても、日本の会社の給料が20万円もあれば、半年から1年で返せるのではないかと計算するわけです。

つまり、1年我慢すれば・・・・・・後は楽になるし、残りの2年で充分な貯金も出来るだろうし、その上、高度な技術と日本語会話、渡航キャリア・・・・・リターンは多いと。

タイの労働者の月給は5万~7万円ほどですから、日本の20万円の給料はとても魅力的( お金持ち気分 )なわけです。

ちなみに、学校で日本語を勉強する間に日本の会社についても勉強します・・・・・・・・

多くは、求人のある職種についてです・・・・・農業、工業、建設関連( 塗装や道路、電気工事等 )、介護、福祉関連から調理やサービス業まで幅広いので、どれでも自由に選べます。

自由に職業を選択し、高度技術の学習と20万円の給料( 同世代の友人たちの3倍の給料! )をもらえるわけですからウキウキ気分になるのは当たり前です。

私がタイ人の若者だったらきっと参加していると思いますが・・・・・・・ただ、この借金が問題です・・・・・・・如何せん高過ぎます!

ちなみに、パスポートの取得費から学費や生活費、渡航費用まで、全て本人一人の負担になるのですから大変です。( 日本政府も日本の企業も、日本人誰一人として、ただの1円たりとも援助はしていません )

もしも、何か問題が発生したら、全て、この一人の若者が責任を負わねばならないのです。

さて、私は、彼が嬉しそうな日本行きの報告を複雑な思いで聞いていました・・・・・・・

日本の会社( 外人を雇う中小企業 )なんて信用できないし、問題が発生したら逃げ場がない・・・・・・・・企業の選択や仕事の内容には十分気を付ける事、日本で何かあったらNPOや支援弁護士など、いくつかの相談窓口を教えてあげる位の事しか私には出来ません。

しかし、彼らには、インターネットのコマーシャル画像しか情報はありません。日本人である私自身、会社を選別できるほどの知識はありません。

毎日、日本語と文化の勉強に一生懸命に取り組み、仲間たちと夢を大きく膨らませて希望にあふれる彼らを見ていても・・・・・正直、喜べる気分にはなりませんでした。

さて、だんだんと出発日が近づき、学業も終盤になり、卒業試験なども無事に済ませ、就職先企業も決定します・・・・・・・

日本語の授業では、平仮名やカタカナの読み書き全て、日常会話や初歩漢字の筆記などもしっかり覚え、優秀な成績で全教科を終了しました。

その彼が最終的に選んだ仕事は・・・・・・・・

壁のタイル工業会社でした・・・・・給料は20万円ほどで、寮もあり環境も良く、仕事の内容もそれほどキツイものではない様( ネットのホームページをみると普通の会社 )なので、くれぐれも体に気を付ける様に注意して送り出す事にしました。

この時点で、私が噂に聞いていた「違法な労働環境の企業比率は5割にのぼる」という当時のデータが心配でしたが・・・・・日本のブラック企業なんて沢山あるし、運悪くそれに当たってしまったら、さっさとタイへ逃げてくれば良いわけで、それはそれで仕方がないな・・・・・・・・と。

ブラック企業に泣かされるのは、日本人の若者だって同じことなんだと・・・・・・・。

全ての実習生は、3年間の日本滞在と就労を許可されて来日します。

成田空港や羽田空港へ旅客機が着地した時のドシンッ、ドシンッ、ゴゴゴゴゴ~~ッという音を聞いた時にどんな気持ちになるのでしょう・・・・・・・・

やっと日本へ来たんだという緊張感と高揚感で足が宙に浮いた感じで、空港の通路をイミグレーションへ向かったのではないでしょうか・・・・・・・・

さて、各人が大きな荷物を持って税関を抜けると、到着ロビーでは企業の送迎係が待っています。

酷暑期のタイよりは少しだけ涼しいけど、それでも梅雨明けのムシムシする季節・・・・・・・・・・

3年間、仕事を頑張ってお金をたっぷり貯金して返って来る・・・・・・・・どの家族も友人も、皆がそう期待して彼等を見送りました・・・・・・・・・

何より本人が3年間仕事を辛抱した後で、その次は熟練工としてさらに延長して日本で生活できることを期待しているのです。

でも・・・・ 3年どころか、たった3ヵ月で‥‥ 彼は帰国しました。

毎日、実習生を炎天下の屋外作業でこき使いつづけ、給料は応募時の金額の半分!

これは、日本人のずる賢さで多くの経費を載せて、手取り給料を半減させるやり方です。

寮で生活するしかない彼らに、居住費、管理費、保証金、清掃代、雑費等々意味不明の理由をつけてはピンハネしていくのです。( 結局日本人の半分の給料 )

会社が持つ社員寮を、悪徳不動産屋並のずる賢さで利用するのです。 タイなら、仲介料なし、家具付き、保証金は1ヵ月分だけなのに‥‥‥‥

こうした日本の巧妙なからくりをタイの若者が知る由もないわけです。

さて、低賃金でキツイ仕事・・・・・・・それなら日本にもゴロゴロあります。

問題はここからです・・・・・・・・

外国人労働者への差別です・・・・・・・・!

まず、日本人の作業員は真夏の炎天下では、自動車のクーラーをガンガン効かせて現場監督‥‥‥‥ 実際は携帯ゲーム業務。

その間、汗みどろになって作業させられるのは外国人労働者です。

同じ会社の人間なのに、なぜ、日本人だけは涼しい所で携帯いじってるのか?・・・・・・眩しい太陽の下で当然湧き出す汗と疑問です。

そして、仕事の後で、作業の出来、不出来を徹底的に調べられ、ガミガミと文句を言ったり、やり直させたり・・・・・・・・これが、さっきまで車の中で真面目に忙しく携帯作業の日本人です。

どんな仕事も、2ヵ月、3ヵ月( 手取り給料も宣伝文句の半分 )とやっているうちにだんだんと裏実情が明らかになっていくものです。

普通の日本人なら、ここで「なら辞めればいいじゃないか」とか「 仕事を替えればいいじゃないか 」とか思うわけです。

当然です。

しかし、技能実習生制度には、職業を替える事は許されていません。( 職業選択の自由はないのです )

つまり、全ての仕事は、我慢して3年間耐え続けるか、辞めて帰国するか、二者択一なのです。

先ほども記したように・・・・・彼等はみな60万円以上( 年収に近い金額 )の借金をしています

技能実習生制度の関連企業や団体などに訴え出たら、それは自動的に荷物まとめて帰国させられる事を意味します。

企業にとって、何人辞めようがどうなろうが、全くリスクがありません・・・・・・・この差別的な待遇にこそ大きな問題があります。

最近、技能実習生制度を利用するブラック企業の問題が一部のマスコミで取り上げられていますが‥‥‥‥ 報道自体が珍しく、多くの場合日本人のほとんどが、この若者たちに関心などありません。

彼が日本からタイへ帰国してから1年ほどした頃、私は彼にもう一度チャンスがないものかどうか・・・・・・・日本のこの制度の関連部署へ電話しました。

「 事情があって戻った実習生が、も一度日本へ実習生として行く事は出来ますか? 」

「 出来ません 」

「 え? 好きで帰った訳ではなく、仕方なく事情があって帰国させられたのに・・・・・ 」( 汗 )

「 ダメです、一度でも途中で帰った者は、二度と制度を利用出来ません 」

半年間も泊まり込みで勉強して、タイの労働者の年収分に近い借金してまで日本で働こうとする若者に対して、何のリスクもない企業や官僚諸君は、敬意の欠片さえ見せない。

これが日本の外務省です。( 文句のあるアジア人は来るなという事です )

これが日本人の「 おもてなし 」です。

外国人( 重病の女性 )を入管の留置施設で見殺しにして平然としている連中です。

私は、いずれ日本人はその報いを受ける時が来るだろうと思っています。

こうした事が欧米から「 奴隷労働制度 」などと揶揄される所以です。

さて・・・・・・・

タイへ帰ってきた彼は、元気に再就職しています。

チェンマイの大きなデパートの携帯電話売り場の店長を任されています。

「 日本は大好きだから、また行へきたいです! 」

・・・・・・・これは

仕事は真っ平御免だけど、遊びには行きたい・・・・・・・という意味だと思います。

彼は、頑張って貯金してますが・・・・・

早く嫁さんもらった方がイ~んじゃないかなぁ?

 
 
 
                    《 2023年4月:ブログ公開 》

 
 
 

               「こりゃタイ編 その21」 へつづく・・・・

                      「その19」 へもどる‥‥
 
                   「もくじ・こりゃタイ編」へ‥‥
 
 
 
 

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