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漫画家アシスタント物語  第8章 〈14〉 ママとマッサージ師は見た!

 
《写真上: お店のタイ古式マッサージの施術風景を撮影したものです。》
              < この8章〈14〉は、文庫本約10ページ分 >


「第8章」は、独立した「章」ですので、「第7章」の続きではありません。
「第8章〈1〉」(無料)より、お楽しみいただけます!
 
ただし‥‥
はじめての方は、
「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!

 
さて‥‥ ここで‥‥‥‥
「漫画家アシスタント物語」を購読してくれた方を紹介させてください。
ぷにょさん ‥‥‥‥‥‥ ありがとうございました!



 
 
              その27  
  
    《 漫画家アシスタントが・・・妻の目撃証言を書く! 》
 
 
2時間のタイ式マッサージをしっかり受けて7900円という価格は、都内主要駅近くでは一番安い価格( ※参照 )だったと思います。
 
それでも‥‥
 
「 ヌキはね~のかよ? 」
 
‥‥と、追加のサービスを要求するお客さんや‥‥
 
「 あなたが一番、イイ人! 大好きデス! 」
 
などと白々しいウソでお客さんの気を惹くマッサージ師さんたち‥‥‥‥ の話ではなく‥‥
 
今回は、お店の上( マンションの2階 )に住む、アジア系外国人のご夫婦( ※参照 )が起こした事件(?)について書いてみたいと思います‥‥‥‥
 
ママさんがお客さんからの電話を待つ控室の真上( 2階 )には、アジア系外国人のご夫婦が住んでいました。 私は、直接このご夫婦と挨拶を交わした事はないのですが‥‥‥‥ たまに、大きな声でケンカをするのでその存在を意識せざる得ませんでした。
 
その日( 2007年の春 )‥‥ お店を開店( お昼頃 )して少ししてから、例の如く上で夫婦喧嘩が始まったそうです‥‥‥‥( 当日、私はアシスタントの仕事で、お店には出ていませんでした )
 
明らかに奥さんの方が逆上して大きな声で叫び続けたそうで‥‥‥‥ ただ、日本語ではないので何を言っているのかは分かりません。( タイ人であるママさんにその内容は当然、分かりません )
 
夫婦喧嘩とはいえ、こちらはお客さん商売をしていますので‥‥‥‥
 
「 ヤダなぁ~、困ったデス~‥‥ うるさいデス~‥‥ 」
 
‥‥と、ママさんやマッサージ師さんたちが不快感と好奇心の入り混じった気持ちで苦笑いをしていますと‥‥
 
ママさん達がいる控室の真上のベランダに逆上したアジア系外国人の奥さんが出て来て‥‥
 
「 ○×△□~~ッ! 」
 
大きな叫び声と共に、何かを外へ投げたのです‥‥ 外はすぐ小さな路地になっていて、向かい側にラブホテルがあるのですが、ホテルとこのマンションとの中間辺りにそれが落ちて来たわけです。
 
「 うるさいナ~ 」
 
‥‥と、窓から外をにらんでいたママさんが、落ちて来たモノに気付きます‥‥
 
「 あっ! ゴールド‥‥!? 」
 
どうも、上の奥さんが逆上して旦那さんから贈られた金のネックレス(?)を投げ捨てた様なのでした。
 
当然、ママさんは、キラキラと金色に輝く重そうなネックレスに目が惹きつけられます‥‥
 
しかし、ここで‥‥ 意外な人物が登場します‥‥‥‥( 真打登場です! )
 
マンションの向かいにあるラブホテルから、この騒動に頭に来ていたもう一人の人物‥‥‥‥ ラブホテルのたぶん‥‥ 社長(?)の登場です!
 
毎朝( お昼前 )、自分のホテルの前をホウキで掃除したり、水をまいたりしているので私もよく見かける中年のメガネをかけたオヤジさんです。
 
いつも安っぽい白シャツに綿パン、サンダルというラフなスタイルが印象的な‥‥‥‥ 志村けんに似た感じの人物。
 
この社長(?)さんが、マンションの2階をにらんでいた時に、ホテルの前の路上に金(?)のネックレスが落ちて来たわけです‥‥
 
この時、同時に‥‥ ママさんと社長は、このネックレスに視線を落とします‥‥‥‥ そして、次の瞬間‥‥‥‥
 
「 あっ! 」
 
ママさんが思わず声を出します‥‥
 
社長が数歩、ネックレスに近づいたかと思うと‥‥‥‥ 素早くそのネックレスを拾って自分のズボンのポケットへねじ込んだのです!
 
その場面をママさんは、口を開けたまま呆然としながら見つめています‥‥( 社長は、向かいのビルの一室に目撃者がいる事を知りません! )
 
社長は、ポケットに手を突っこんだまま軽い足取りで自分のホテルへ帰って行きました‥‥‥‥

(以下は、お店のスタッフとママさんの話です)
 
この時、2階ではまだケンカが続いている様なのですが‥‥ 少しすると‥‥‥‥
 
2階のアジア系外国人の奥さんが寝間着姿のまま道路に出て来たのです‥‥
 
そして、向かい側にあるラブホテルの玄関先に仁王立ちになると‥‥‥‥
 
「 私のネックレス~ッ 返してクタサ~イッ! 」( 日本語 )
‥‥と、大きな声で叫び出したのです‥‥‥‥
 
すぐに、先ほどの社長が玄関先に出てきます‥‥ 若干あわてた様子の社長に右手を差し出しながら‥‥‥‥
 
「 おまえ~っ ネックレス返してクタサ~イッ! 」
 
こう詰め寄る奥さんに、社長は‥‥
「 何ですか~? 」
‥‥と、完全にトボケている!
 
「 おまえ~っ、取タ、私、見たヨ! 」
「 ‥‥え? ‥‥何を? 」
 
騒ぎの第2ラウンドが始まりました。 ママさんとマッサージ師さんたちは、1階ベランダに出て怖々この押し問答を観戦し始めます。
 
「 おまえ、トロポ~たっ! 」
 
そして‥‥
 
「 タレか~っ! 警察、警察呼んてくたサ~~イッ! 」
 
どんどん、昂奮していく奥さん‥‥‥‥ ついに‥‥ 本当に警官がやって来ます!
 
「 こいつ、トロポ~てスッ! 捕まえてクタサ~イッ! 」
 
警官は面倒臭そうに‥‥
 
「 あなたが何か盗ったのですか? 」
「 いえ、何も盗ってません 」
「 トロポ~ 」
「 ちがいますよ‥‥‥‥ 」
「 トロポ~~ッ! おまえトロポ~たッ! トロポ~ットロポ~ッ! 」
 
警官は昂奮する奥さんを抑える様に詰問します‥‥
「 彼が家に入って盗んだんですか? 」
「 違うヨ、私、投けた、こいつ、盗たっ! 」
「 投げたぁ‥‥? 何を‥‥? 」
「 ネックレスたヨッ! 」
「 ネックレスを? ‥‥なぜ? 」
「 怒ったからたヨ! ケンカしたからたヨ! 」
「 誰と? この人とケンカしたの? 」
「 違うヨ、こいつトロポ~た! 私か投けた、こいつトロポ~~ッ!」
「 ‥‥‥‥‥‥?」
「トロポ~ッ トロポ~~ッ トロポ~~ッ 」

警官が社長に何か問いただそうするが、社長は「 さっぱり分かりません 」といった表情で首をかしげる。

「 こいつ、盗たっ!、こいつ盗たぁあああああああああ~~~っ 」
「 まぁ、まぁ‥‥‥‥ 」
「 トロポ~ッ!  トロポ~ォオオオオオ~~~ッ! 」
 
結局‥‥
 
警官は、逆上して叫び続ける寝間着姿の奥さんを無理やりパトカーに乗せて連行。
 
社長(?)さんは、最後まで冷静な態度とみごとな演技力を発揮してゴールドをゲット。
 
今でも、毎朝、白いシャツに綿パン姿の社長さんが真面目にラブホテルの前を掃除しています。
 
‥‥マジメな‥‥ たぶん、マジメな方なんですね‥‥‥‥‥‥きっと。

 
 
 


中央に写っているのは、東京目白の住宅街から見た池袋のメトロポリタンホテルです。蕨市に引っ越すまで、私は毎日この風景の中を自転車に乗っ秋山プロへ通っていました。2010年11月

 
              その28  
  
     《 漫画家アシスタントが・・・破産寸前に! 》
 
 
漫画家ジョージ秋山先生( ※参照 )の所でアシスタントを始めてから27年( 2004年、春 )経った頃にタイ式マッサージ店( ※参照 )を開いたわけですが‥‥
 
そのお店もサブプライム問題からリーマンブラザーズの破たん( ※参照 )を切っ掛けにしたさらなる不況のあおりを喰らって、軽い利益よりも心労の方が重圧になっていました‥‥‥‥
 
結局、新宿にある某大学( ※参照 )から非常勤講師の依頼を受けた事を潮時と考え、お店を人に譲る事になるのでした‥‥。( 2009年3月 )
 
お店を開く時には‥‥
 
「 素人が商売を始めても、絶対に失敗するぜ 」
とか‥‥
 
「 きっと潰れるよ 」
などと言われたりしながらも‥‥ なんとか5年( 足掛け6年 )以上、漫画家アシスタントの素人商売で細々とやってきたわけです‥‥
 
 
私がこのお店を始めたのが秋山プロ( ※参照 )での仕事の減少やボーナスカット、アシスタントのリストラなど先行きの不安が大きな要因になったという話は以前書かせていただきました。
 
しかし、重大な事をまだ書いていませんでした‥‥‥‥
 
実は‥‥‥‥ お店を始める時点で私にはサラ金や信販会社などからの借金が約400万円。 そして開店から1年目の赤字補てんに150万円‥‥( 典型的な多重債務者! )
 
全てが20%以上、約30%近い高利( ※参照 )の借金でしたので、年間で利息を200万円近く支払い続けても、元本が1円も減らないという「 サラ金地獄 」に陥っていたのでした‥‥‥‥。
 
ですからお店も、軌道に乗っていたとは言っても‥‥ 首都圏では最も安い料金で、逆にスタッフには通常( 世間並 )のギャラを支払うとその利益は知れており‥‥‥‥
  
つまり、利息を払うだけでアップアップという状態が5年間続いたのです‥‥‥‥
 
ちなみに開店資金で母( ※参照 )から借り入れたお金は5年間で毎月少しづつ返済していたのですが‥‥ 完済する少し前にこのリーマンショックがやって来たわけです‥‥‥‥
 
お店の開店から3年ほどして、コツコツ書いていたこのブログが書籍化( 2007年、春 )されたりして、少しだけ人生が上向いている様に見えても‥‥ その実態は‥‥‥‥
 
‥‥‥‥‥‥‥‥地獄だったのです。

 
  
 

       「 漫画家アシスタント物語 第8章〈15〉」へつづく・・・・

                   「第8章〈13〉」へもどる‥‥

                   「もくじ」 へ‥‥

 

  

 ~~~ 参照 ・第8章〈14〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)
 
【その27】
価格 : 2010年前後、新宿や池袋のタイ式マッサージの価格は、一般に2時間で1万円ほど。割引きがあっても8千円から9千円が相場でした。
・アジア系外国人夫婦 : 詳しい事はわかりませんが・・・30~40歳代の夫婦(?)
【その28】
ジョージ秋山先生 : 有名漫画家、1966年、23歳で売れっ子作家に。70年に週刊連載6誌という逸話もある。現在は1誌に連載中。04年当時、61歳。
マッサージ店 : 池袋北口に開いたタイ式マッサージ店(04~09年)。2000年頃からのエスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始めた施術院。
破たん : 2008年9月の投資銀行リーマンブラザーズの破たん。
某大学 : 新宿にある美術系の大学で、漫画背景美術を7年担当する。
秋山プロ : 東京、目白にある漫画家ジョージ秋山の仕事場。04年当時、アシスタントは3人。連載は隔週誌、月刊誌合わせて2~3本。80年代には連載6本、スタッフ7人という時代もありました。
高利 : 銀行以外の信販会社やサラ金などは、2009年頃までは20%以上~40%の金利を取っていた。私はサラ金のPミスに36%の利息を20年以上支払っていました。
 : ブログ著者である私の実母。マッサージ店の影のオーナー。80歳を越えるが大変元気。毎日、友人との付き合いやらカルチャーセンターやら忙しく活動中。一見すると60代後半にしか見えない。戦中は東京渋谷に在住。有名な「東京大空襲」をはじめB-29の絨毯爆撃にも生き延びた猛者。 

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