見出し画像

漫画家アシスタント物語  第8章 〈7〉 下着泥棒と映画俳優の取材

 
《写真上:タイマッサージ店のスタッフ。身軽な服装は、体力を使うため》
               < この8章〈7〉は、文庫本約8ページ分 >

 

「第8章」は、独立した「章」ですので、「第7章」の続きではありません。
「第8章〈1〉」(無料)より、お楽しみいただけます!
 
ただし‥‥
はじめての方は、
「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!

 
 
 
               その13
  
   《 漫画家アシスタントが・・・下着泥棒の心理に悩む! 》
 

私には、一つの謎がある‥‥
 
それは、女性用の下着‥‥ パンティーを盗む人は、どうやってその所有者を調べるのか‥‥‥‥ いくらカワイイ下着でも、その所有者がお婆さんだったらどうするのか‥‥‥‥
 
今回は、「 タイマッサージ店伝説 」‥‥と言うほど大した話ではありませんが‥‥ この問題に関するエピソードを一つ紹介したいと思います‥‥

私が経営していたタイマッサージ店には、常時4~5人の女性がタイマッサージ師( ※参照 )として働いていましたから、一般に言われる「 下着泥棒 」などの被害に合う事も珍しくはありませんでした。
 
特に、夏場などはマッサージ師が服を着替えてヒマな時に洗濯する事がよくありました。その時に下着をベランダ( 1Fだったのがまた良くない )の物干しに出すのですが、決まってある一人のマッサージ師の下着が狙われました。
 
お店では、指名ナンバー1の美人マッサージ師ヨーンさん( 仮名 )。年は30歳代ですが、見た目は5,6歳位若く見える優しく可愛いタイ人女性でした。( 雰囲気がユンソナ風・トップ写真の中央 )
 
どういう訳か‥‥ 彼女の下着だけが盗まれるのです‥‥‥‥。 数ヶ月に1度は盗まれる事がありました。
 
最初の頃は、警察に連絡していたのですが‥‥ その内、連絡も面倒になり、なるべくお店での洗濯は控えていたのです。
 
ただ‥‥ それでも不思議なのは、なぜ下着泥棒が彼女の下着を嗅ぎつけるのか‥‥‥‥ 誰にもその理由が分からなかったのです‥‥‥‥
 
彼女が特別な下着を着けている訳でもなく、そのサイズが特別な訳でもなく‥‥。
 
何度も盗まれていたので、しばらくは洗濯を控えていたのですが‥‥ もう大丈夫だろうと洗濯を開始したある日の事です‥‥‥‥
 
その日は、今の日本とは違って‥‥ 夜気が涼しい夏の夜でした‥‥
 
私のカミさんが「 ママさん 」として、お店番をしていたのですが‥‥ いつもの様にタオルなどの洗濯物を外へ出そうとした時のこと‥‥‥‥
 
カーテンを開け、ガラス戸をサッと開くとそこに‥‥!
 
黒いシャツに黒いズボンの男( 20歳代の若者 )がしゃがみ込んで、干してあったヨーンさんのパンティーに顔を埋めている‥‥!( たぶん、いつも彼女をウォッチしていたのだと思います )
  
ママは、一瞬、恐怖で凍りついてしまう‥‥‥‥ しかし、驚いたのは、この男も同じ様で‥‥‥‥
  
あわててパンティーをしっかり握ったままベランダの柵を乗り越えて外へ逃げて行く‥‥ その時のあわてぶりと柵を乗り越えるのにグズグズと手間取る様を見て冷静さを取り戻したママは‥‥
 
『 この男が‥‥ いつもの下着泥棒だ! 』
 
‥‥と勇気を振り絞ってベランダにあったホウキで、男の後頭部目がけて叫びながら、一発、二発と殴りつけます‥‥‥‥
 
キャ~~~~ッ!
 
バチ~ンッ! パチ~ンッ!
 
男は柵から転がり落ち、アスファルトに倒れ込む‥‥ しかし、すぐに立ち上がる‥‥
 
この時、ベランダの前には、アベックが2~3組歩いていたのですが‥‥ その横をパンティーを鷲づかみにした男が走り抜けます‥‥
 
ママは、大きな声で通行人に助けを求めます‥‥
 
「 アケテ~~ッ! 」
 
日本語が未熟なのはもちろんですが‥‥ とっさに「助けて」を「あけて」と間違えているのです‥‥
  
あたふたと、必死に走り去る男‥‥ そして、それを見送るアベック‥‥
 
「 アケテ~~ッ! 」
という、意味不明のママさんの叫び‥‥
  
池袋北口・・・ラブホテル街にママの声が響きます‥‥
 
「 アケテ~~ッ! 」
 
通行人に男を指差しながら‥‥
 
「 アケテ~~ッ! 」
 
しかし、誰もが首を傾げながら通り過ぎるだけ‥‥ ベランダで呆然と立ち尽くすママ‥‥‥‥
 
『 何ンで、誰もわからない??? 』
 
 
 


秋山プロが入っているマンションの自転車置き場です。30年前には4.5台しかありませんでした。

               その14  

  
   《 漫画家アシスタントが・・・映画俳優の取材を断る! 》
 
 
商売の話の時に、「 お客さんが来る 」と、よく言いますが‥‥ 実は、正確には「 お客さんを呼ぶ 」‥‥なのです。
 
お店を開いた‥‥ だから、お客さんが「 来る 」のではなく「 呼ぶ 」ことの労力を惜しめば、その経営はお先真っ暗になりかねません。
 
私が開いたタイマッサージ店は、マンションの中に入っているし‥‥ 看板は出せないし‥‥で、集客には随分と苦労しました。
 
新聞や雑誌などの紙媒体は費用ばかりかさんで効果が薄く、ネットでの広告しか頼りになりませんでした。
 
特に、スポーツ新聞の「 3行広告 」などを見てくるお客さんは‥‥
 
「 ヌキィ~ありますかぁ~? 」
 
‥‥と、私のお店を風俗だと思っている方ばかり‥‥
 
そして、週刊誌の「 〇ンデー毎日 」への小さな広告に5万円つぎ込んだ時などには‥‥ ただの一人も(!)お客さんが来なかったり‥‥。
 
 
雑誌や新聞広告に見切りを付けて、ネット広告( ※参照 )一本でも何とか赤字にならずにやっていけるようになった頃( 開店から半年、04年秋 )の事でした‥‥
 
「 経済〇〇 」( 名前忘れた )とか言う月刊誌から電話連絡があったのです‥‥
 
「 最近の癒しブームの特集で、是非、御社を取材したいのですが‥‥ 」
 
こんな話は、まさに「 棚ボタ 」で‥‥ 私は、すぐに‥‥ 編集記者から取材される自分を想像してしまうわけです!
 
「 取材には、タレントの〇藤〇次郎さんが伺います‥‥ 」
 
あ‥‥ あの「 寅さん 」の映画にも出ていた有名な‥‥ あの俳優である! 

私はスゴイ事になったと思って‥‥ 受話器を握る手に力が入ります‥‥
 
「 カラーグラビアなども入れて2ページを予定しています‥‥ 是非、経営の苦労話や開店時の経緯などを‥‥ 」
 
私は‥‥
 
『 話がうま過ぎる‥‥ 』( うちと映画俳優なんて縁があるわけない! )
 
‥‥と、疑惑がわきます‥‥ 心のどこかで警戒警報が聞こえるのです‥‥‥‥
  
「 ご心配いりません‥‥ ごく簡単な質問ですし、インタビューと言っても短時間ですぐ済みます。お仕事の邪魔はしませんので‥‥ 」
 
私は、雑誌社の男( 軽そうな中年男 )が一人で喋るのを黙って聞いていました‥‥‥‥ そして私は‥‥‥‥
 
「 それで‥‥? 」
 
最も重要な事を促す様に私は訊きました‥‥
  
「 は‥‥はぁ‥‥ 一応‥‥‥‥ 費用の方がページあたり‥‥‥‥ 10万円という事に‥‥ 」( 2ページだから20万円!)
 
男の声の調子が少し高くなる‥‥
 
「 ‥‥という事になっていますのでして‥‥ はい‥‥ もう‥‥ 大変お安い料金で‥‥ 特別キャンペーン中でして‥‥ 〇藤〇次郎さんも忙しい中を‥‥ はい‥‥ はい‥‥ 」
 
私は目の前を10匹くらいの蠅が飛んでいる様な気分になる‥‥ あの「 寅さん 」の俳優も「 忙しい中 」必死なンだろうか‥‥‥‥
 
「 今、雑誌の広告は考えていないんです‥‥ 」気が抜けたように私は答えると‥‥‥‥
「 いえ‥‥ 是非‥‥ 取材を‥‥ 」
 
あくまで「 広告 」ではなく「 取材 」で通そうという意地が哀れである‥‥‥‥ 

「 お忙しい寅さん俳優さん 」も‥‥ その努力も意地も、ご苦労だとは思うが‥‥‥‥
 
意地と言えば‥‥ 私にだって、意地はある、28年のアシスタント人生‥‥‥‥
 
意地も哀れな‥‥ 今日この頃です‥‥‥‥     (2006年某月)
 

  

       「 漫画家アシスタント物語 第8章〈8〉」へつづく・・・・

                   「第8章〈6〉」へもどる‥‥

                   「もくじ」 へ‥‥

 

  
  

 ~~~ 参照 ・第8章〈7〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)
 
 【その13】
お店 : 池袋北口に開いたタイ式マッサージ店。2000年頃からのエスニックブームで、新宿、新橋、池袋などを中心に開店し始めた施術院。
タイマッサージ師 : お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3人のお客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業。日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持っている。
 【その14】
ネット広告 : 自社のホームページを見てもらうために、有力な情報サイトなどにバナーを設置したり、YahooやGoogleなどに広告バナーを設置したり‥‥さらに検索順位を上げるためのCEO対策など。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

いいなと思ったら応援しよう!

yes 年金生活者にとって、とても嬉しいご支援! 感謝申し上げます!