【中学受験小5】ついに個別指導を検討する
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その時は唐突にやってきた。
息子が、塾経由で個別指導のチラシを持ち帰ってきたのだ。
これまでは目を通すこともなかったのに、私はそのチラシに釘付けになっていた…。
クラス落ちした息子本人は、意外と平然としていた。
それどころか、仲良しメンバーが多いという理由で、新しいクラスを喜んですらいた。
お友達がいるのはいい。
でも、塾に通わせているのは、お友達と交流するためじゃない。
塾の意味を履き違えている息子に、私はやきもきした。
以前、息子が塾を休んだ日があった。
学校行事と重なり、やむを得ない欠席だった。
ろくにフォローできないままテストを迎え、案の定、散々な成績を取った。
穴が空いているのは明らかなのに、いまだにそれをふさぐ余裕もないまま、夏期講習を迎えてしまった。
夏期講習で、ある程度挽回できるはずだ。
そう踏んでいた矢先、その回の授業もまた欠席することになった。
このまま家庭学習だけで、なんとかなるとは思えなかった。
そう悩んでいたところに、息子が個別指導のお知らせを持ち帰ってきた。
私は、チラシを片手に、帰宅した夫に相談した。
落ち込んだ偏差値、クラス落ち…。
そんな最近の息子に、夫もさすがに思うところがあったらしい。
以前はきっぱりと個別を拒否した夫が、案外あっさり許可した。
180度の方向転換だった。
それでも、夫なりに考えた末のことなのだろう。
当の息子は、どう思っているのだろう。
私は個別に連絡を取る前に、息子と話し合うことにした。
「夏期講習がお休みの日に、少しだけ個別に行くのはどう?」
息子のことだから、休みの日は休みたがるに決まっている。
しかし、なんとか説得しなければならない。
覚悟する私に、息子は意外にもあっさり頷いた。
「いいよ」
……え?
しばしの間があり、私はさらに続けた。
「算数の図形がね、苦手なところを潰したいでしょう?」
「うん、潰したい」
いつになく素直な息子。
「みんなはお休みしているけれど、あなたは行くことになるのよ?」
動揺して、なぜかデメリットの方を確かめてしまう私。
「それでもいいよ」
真っすぐに私を見て頷く息子。
息子の気が変わるとまずい。
見慣れない素直な息子を前に、さすがに私もこれ以上は何も言わないことにした。
その翌日、さっそく個別指導に電話した。
息子の気が変わらないうちに、話を進めてしまいたかった。
意気込む私とは裏腹に、電話に出たのはまるで初めて電話応対をするかのような受付の人だった。
私は、この電話で個別指導までの流れの説明があるものだと思っていた。
しかし、そうではなかった。
一向に進まない話に、私は不安になった。
この人が、まさか息子の担当になったりしないだろうな……。
そもそも、我が家は個別指導に積極的ではなかったはずだ。
夏期講習で見込める復習が、欠席により見込めなくなったこと。
塾の休校期間中、リズムを崩さないために利用できること。
タイミングよく、息子が個別のチラシを持ち帰ってきたこと。
これらが重なって、なんとなく「個別がいいような気」がしただけだった。
しどろもどろの受付の人と話しているうちに、頭が少しずつ冷めていくのがわかった。
結局、私がここまで個別にこだわる理由は、一つだった。
クラスを落ちたことだ。
落ちるなら落ちればいい。
私は、どこかで息子を突き放していたはずだった。
そして、息子は実際にクラスを落ちた。
クラス落ちを悔しがってはいないように見えていた。
しかし、個別に行くことを勧めたら、すんなりOKした。
以前なら嫌がっていたはずなのに。
息子は息子なりに、クラス落ちについて考えていたのかもしれなかった。
「個別なら、苦手を埋められるかもしれない」
そんな期待が、頭の中をよぎった。
しかし、過度な期待はいったん脇に置いた。
とにかく、今は、息子のやる気に任せてみよう。
そして、親子バトルをせずに夏を乗り切ろう。
そのために、個別を頼るんだ。
家でやみくもに勉強していても、親子バトルの危険性が高まるだけだ。
息子はやる気になった。
私も、それを信じてみようと思った。
だからこそ、目の前の手続きが進まないことが、妙に不安だった。
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