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【砂漠の国に、フランスが2,400億円を賭けた】——30年眠ったウランが、いま動き出す理由。AI・脱炭素・地政学という3つの巨大な流れが、1つの鉱山に集まっている。#エネルギー #ウラン #原子力 #モンゴル #フランス #地政学 #資源 #投資 #半導体 #貿易

割引あり

こんにちは、ポス鳥です。

ある国が、30年ぶりにウランを掘り始めました。

その国は、世界のウラン埋蔵量で10位前後。十分な資源があるのに、1990年代半ばから一度も商業生産をしてこなかった国です。

そして、その鉱山に総額2,400億円を投じるのは、地元企業でも近所の大国でもなく、約9,000キロ離れたフランスの会社。なぜわざわざ遠い国が、いま動いたのか——この一点に、私たちの電気代や、AIブームの裏側まで繋がる話が隠れています。

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📰 今日のニュース1分まとめ

2026年6月8日、モンゴル南東部のドルノゴビ県にある「ズーブチ・オボー(Zuuvch Ovoo)」という場所で、ウラン鉱山の建設開始を祝う式典が開かれました。

主役は、フランスの原子力企業オラノ(Orano)と、その現地子会社バドラフ・エナジー(Badrakh Energy)です。

正式なプロジェクト名は、 「ズーブチ・オボー・ウラン鉱山開発」 

少し聞き慣れない名前なので、まずは「これが何の話か」を噛み砕いていきます。


🔍 これは、何をするプロジェクトか

簡単に言うと、 「ゴビ砂漠の地下に眠るウランを掘り出して、世界の原子力発電所に売る鉱山を、フランスの会社が作り始めた」 という話です。


ウランというのは、原子力発電所の「燃料」になる金属です。

火力発電所が石炭やガスを燃やして電気を作るのに対して、原子力発電所はウランを使って電気を作ります。


例えば、こんな場面でこのウランが使われます。

・日本で再稼働した原子力発電所が、電気を作る燃料として

・フランスの原発(フランスは電気の約7割を原発でまかなう国です)の燃料として

・AIブームで急増している、巨大データセンターの電力をまかなう原発の燃料として

・脱炭素のため、世界各国が新しく建てている原発の燃料として

例えるなら、 「世界中のガソリンスタンドに油を卸す、巨大な油田を、砂漠のど真ん中に新しく開く」 ような話を、ウランの世界でやっている、と考えると分かりやすいかもしれません。


⚡ そして、ここが異例だった

このプロジェクトの中身もインパクトが大きいのですが、 「掘り始めるまでに、ものすごく時間がかかった」 という点が、さらに注目される理由になっています。

オラノがモンゴルで資源を探し始めたのは、なんと1997年。

ズーブチ・オボーの鉱床を発見したのが2010年。

そして実際に建設が始まったのが、2026年。


つまり、 資源を探し始めてから掘り始めるまで、約30年 かかっているのです。

通常、資源開発というのは時間がかかるものですが、それにしても長い。


しかも、モンゴルがウランを商業的に掘るのは、 約30年ぶり 。前回掘っていたのは1990年代半ばまでで、それはロシア系の会社が運営していました。

ソ連が崩壊して以降、モンゴルはウランを掘らない国だったのです。

その「眠っていた資源」に、ロシアでも中国でもなく、フランスが手を伸ばした——ここに、いまの世界の地政学が凝縮されています。

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🌸 梅雨の窓辺から、砂漠を思う

これを書いている今、日本は梅雨の真っ最中です。

窓の外では、しとしとと雨が降り続いています。

湿気で少し重たい空気の中、ふと「水のない場所」のことを考えました。


モンゴルのゴビ砂漠は、年間降水量が日本の10分の1以下とも言われる、乾いた土地です。

雨が降らず、見渡す限り草と砂と岩。

そんな場所の地下数百メートルに、世界が奪い合う資源が眠っている——なんだか不思議な気持ちになります。


私は貿易の仕事をしていますが、資源というものはいつも「持っている国」と「欲しい国」のドラマを生みます。

今日の話も、その典型でした。

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📨 「原発の燃料なんて、どこでも買えるのでは?」という素朴な疑問

ここで、自然な疑問が湧くかもしれません。

「ウランなんて、世界のどこかで掘られているんでしょ?わざわざフランスが遠いモンゴルまで行かなくても、普通に市場で買えばいいのでは?」

これは、とても素直で良い疑問です。


確かに、ウランは世界中で取引されている資源です。

でも、ここに大きな落とし穴があります。

実は、ウランは「どこでも自由に買える」資源では、まったくないのです。


ウランの生産は、ごく少数の国に極端に偏っています。

世界最大の生産国はカザフスタンで、 世界の生産量の4割以上 を一国で握っています。

残りも、オーストラリア、カナダ、そしてロシアやニジェールといった、限られた国に集中しています。


つまりウランは、「世界中で薄く広く採れる」のではなく、「ごく一部の国が、ぎゅっと握っている」資源なのです。

そして、握っている国に何か起きると、買う側は一気に困る——これが今日の物語の核心です。

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💼 筆者コメント:これは「資源ニュース」ではなく「フランスの生き残り戦略」

私がこのニュースを見て最初に思ったのは、「ああ、フランスはついにここまで追い込まれたか」ということでした。


詳しくは本文で説明しますが、フランスはこれまで、アフリカのニジェールという国からウランを調達してきました。

ところが、ある出来事をきっかけに、そのルートが断たれてしまった。


国の電気の7割を原発に頼るフランスにとって、ウランが手に入らないのは死活問題です。

今回のモンゴルは、 「フランスが必死に探した、新しい命綱」 なのです。

単なる「砂漠に鉱山ができました」というニュースではない。

ここには、エネルギーを巡る国家の生存競争が詰まっています。

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📑 この記事で分かること

これから、5つの章に分けて、この話を掘り下げていきます。

第1章では、そもそも「ウラン」とは何で、なぜそんなに大事なのかを説明します。

第2章では、なぜフランスが遠いモンゴルまで来たのか、その「裏事情」を明かします。

第3章では、モンゴルが30年も眠っていた資源を、いま掘り始めた理由を見ていきます。

第4章では、ロシア・中国に挟まれたモンゴルの、したたかな外交戦略を解説します。

第5章では、この話が日本の私たちの生活に、どう跳ね返ってくるかを考えます。

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