2025年に上田映劇さんで鑑賞した映画を“映劇はんこ”で振り返る記事
長野県は上田市にある、大正時代から続くレトロモダンな建物の映画館、上田映劇さんとその姉妹館であるトラゥム・ライゼさんでは、劇場の物販ブースで購入できる“映劇手帳”を持参して映画を鑑賞すると、映画にちなんだ“映劇はんこ”という素敵なはんこを押してもらえる独自のサービスがあります
上田映劇さんとトラゥム・ライゼさんでかかる映画のタイトルは1ヶ月におよそ約30本、そのすべての映画に、上田映劇さん近隣にお住まいの職人、タカハシさんが丹精を込めて、はんこを彫って下さってます
映画の場面や独自のタイトルロゴまでも精密に再現した惚れ惚れする作品ばかりなので、映画を観れてはんこも貰えるなんて、最高すぎるやん……と、映劇手帳を見返してはニヤニヤするのが止められないのです
こちらは、2024年12月下旬から2025年11月にかけて、頂いた映劇はんこを映画の簡単な感想と共にご紹介する記事です
映画の魅力を粋に写し取る、タカハシさんの妙技をぜひご覧ください
冬物語

青森県の弘前を舞台にした、66分の短い映画
活版印刷所や漆の工房、串餅が食べられるお餅屋さんに古着屋に喫茶店を巡る、弘前観光案内の場面ののちに、怪談と言うにはごくささやかな、でも解釈によってはぞっとする逸話が忍び込む映画でした
弘前のまち歩きをする、ふたりの姿のはんこ絵は、青森の明るく真っ白な空から雪が降る光景が見事に描写されています
バグダッド・カフェ

名画のデジタルリマスター版上演
バグダッド・カフェは初めて鑑賞しました
青い空の下で、黄色の貯水槽を掃除する婦人、有名なこの場面がはんこになっている感動で、館内表示と並べた写真も撮りました

ルックバック

既にAmazonプライムでも配信が始まってからの特別上演企画でしたが、たくさんの人が上田映劇さんに訪れていました
はんこ絵が、顔を寄せ合ったふたりが漫画雑誌を覗きんでいる姿で泣けるばかりか、原作のタイトルフォントも完璧に再現されています 漫画絵をはんこで再現するなんて、つくづく神業です
わたしにふさわしいホテル

不遇な身の上で売れない小説家である女の子が、手段を選ばずありとあらゆる裏技、反則技も躊躇わず、小説家としてのし上がろうとやっきになる話
文豪が執筆のためにカンヅメになった、古い建物の山の上ホテルが登場する作品なので、同じく古い建物である上田映劇さんで上演するのにふさわしい作品でした

素敵な夜景の外観
本日公休

台湾で小さな理髪店を営む女性が、かつて世話になった常連さんの髪を切るために、お店を“本日公休”とし、遠い道のりを行く話
そこへ子どもたちとの確執や、女性のこれまでの理髪師としての哲学が織り込まれる、上質なロードムービーでした
はんこ絵は、女性がいつもの仕事を堅実に行っている光景で、どこか懐かしい、日本の理髪店の風景にも通じる風景でした
プリンセス・シシー

70年近く昔の名画
名女優のロミー・シュナイダーのデビュー作で、オーストリア皇后となるエリーザベト(愛称はシシー)を演じています
昔の名画らしく話はごくシンプルで、ひたすらに女優さんの美しさと絢爛たるオーストリア宮廷の風景を眺める映画でした
はんこ絵は、床におてんばに横座りをする、あどけなく愛らしいシシー姫の姿です
また、この映画の鑑賞の際に、劇場窓口で地元の高校の美術部さんが制作したカレンダーを配布していたので、頂いてきました
切り絵での風景の再現!
カレンダー部分の日付も月ごとに意匠が凝らされていて素晴らしいですね
映劇はんこの匠の技にも通じる作品でした

I Like Movies
アイ・ライク・ムービーズ

映画が大好きで、それにのめり込み過ぎて、周りの迷惑を省みることができず、自身の心身の自省も抑制も効かない、思春期な子のやらかしを見つめることしか出来ない、しんどい映画
面白い、という映画ではないし、このはんこ絵の子は実に腹立たしくもあるのですが、ニヤニヤした顔やピザを持つ手の再現はさすがの職人技です だからちょっとだけ許したくなる
ルックバック(2回目)

2回目の鑑賞で、はんこもふたたびもらえましたが、前回とインクの表情が違うので、それもまた味わい深いです
ふたりの姿が、雪国の曇った窓ごしのようにも見えてきます
ルート29

不思議な道行を同行することになった、ひとりの大人とひとりの子供の話
現実の、山陰地方にある国道29号線を行く話ではあるのですが、生と死の境が曖昧で、不吉な気配が常に漂う、でも湿度が上がり過ぎない匙加減の場面つくりがされていました
はんこ絵は、旅の最後にたどり着いた河原で、ふたりが並んでいるところです
とりつくしま

遺された品物にかりそめの間とりついて、生前に縁のあった人たちを見守れる案内をする、“とりつくしま係”にやってきた、4人の死者と品物の物語がオムニバスになった映画
とりつくしま係の人を小泉今日子さんが演じていて、大変チャーミングでした
はんこ絵は、とりつくしま係の部屋に集まった死者たちの風景ですが、小学校の教室のような部屋で何だか楽しそう、そしてやはりはんこ絵が細かくてすごい
ゴンドラ

ジョージアの山間の街を舞台にした、台詞のテキストがなく、役者さんの演技と音楽と風景だけで表現された実験的な映画
2つのゴンドラが行き来するロープウェイがその街の主な交通手段で、それぞれのゴンドラに乗ったガイドの女性ふたりが、言葉によらず恋心を交わし合い、悪徳な駅長をとっちめたりなどもします
ゴンドラがすれ違う一瞬の隙に、それぞれで楽器を奏でて合奏をする場面なども、とても美しかった
はんこ絵は、ゴンドラに乗らなくても、たどり着きたい場所に手を伸ばす、ふたりの姿、なんだといいな
ブラックバード、
ブラックベリー、
私は私。

同じくジョージアの映画で、こちらも女性が主体となる作品で、現実的な生々しい描写に驚いた作品でした
48歳の一人暮らしの女性が、自身で生計も立て、自分の好物だけを作って食べ、心ゆくまで自身の家で過ごしている、そこへ訪れた思いがけない出来事の話で、その対処も、彼女は自身にとっての納得のいく選択が出来るはずと思える、奇妙な信頼を感じる作品でした
はんこ絵は、女性が満足げな顔で自分で作ったベリーのジャムを食べているところです
台所で立ったまま、ジャムを口に含むその姿がこの上なく幸せそうでいい
型破りな教室

アメリカとの国境にほど近いメキシコの、治安が国内でも指折りの悪さの街にある学校に赴任してきた先生が、型破りで先進的な教育方針を打ち出したことで、生徒たちの学びたい自主性が磨かれ、学力が大幅に上昇した実話を元にした作品
先生を囲む生徒たちの、きらめく眼差しが率直に写し取られたはんこ絵です
アット・ザ・ベンチ

川沿いの、ベンチ以外には何もない閑散とした公園にやってくる人々の人間模様を、様々な切り口で集めたオムニバス短編映画
さり気なくキャストが豪華で、でも話は地味だし起伏があるわけでもない、面白いと言い切るのも度胸がいる、でもなんかいいなって感じの映画でした
はんこ絵は、付き合いそうなのに互いに踏ん切りがつけられない、恋人未満なふたりが微妙な距離感でベンチに座っている場面です 遠景のもさっとした木の表現もいいですね
マルホランド・ドライブ

デヴィッド・リンチ追悼上演で鑑賞した、4Kレストア版 観るのは初めてでした
不穏なサスペンスミステリのような立ち上がりから、悪夢と妄想の中を巡るような場面が積み重ねられ続ける作品で、相当に難解なのですが、場面場面の面白さと女優さんの美しさで、心地よい緊張感をもって鑑賞ができました
はんこ絵のレトロな受話器を持つ、底の知れない眼差しの女性と明暗の表現がかっこいい
おんどりの鳴く前に

ルーマニアの片田舎の街の、1人だけいる駐在さんの視点で語られる物語
ごく辺鄙な田舎で、ろくに事件らしい事件もなく、警官らしい仕事もせずに、村の雑務を押し付けられていた駐在さんが、振って湧いた殺人事件の調査をするはめになるという話
この駐在さんがまあ何とも、ちっちゃくて普通のしょうもない人で、でも彼みたいなしょうもなさは自分の中にも確実にある、ルーマニアが舞台だけど、現代の日本の田舎でも起きかねない事件に感じました
はんこ絵は、駐在さんの唯一と言っていい拠り所である警察車両に寄りかかって煙草を吸っているところです
映画を愛する君へ

映画の文化の発展の歴史と、監督の自伝…と言うよりはもっとナイーブな思い出や、映画そのものへの思い入れを語る、ドキュメンタリーのようでありセルフポートレイトのような、淡い映画
上田映劇さんに通って育った子どもたちの中に、いつかこの映画みたいに、映画に関わることを選ぶ子が出てきたら嬉しいな
キノ・ライカ 小さな町の映画館

フィンランドの映画監督アキ・カウリマスキ氏が、自身の生まれた街に映画館を建設するまでのドキュメンタリー
氏の縁者の人たちのインタビューと、荒涼としたフィンランドの土地を車でひたすら走る絵と、映画館の工事現場と、元々の鋳物工場の風景で出来ている、ドキュメンタリーだけどカウリマスキ作品っぽさが強い、絵力も強い映画でした
映画館の建設費や運営費など、カネの話がまったく出てこないのと、登場するカウリスマキ監督の縁者さんの解説も全くないので、かっこいいおっさんとおばさまが映画館作ってるのいいなあって感じで観てました
ヒプノシス レコードジャケットの美学

1960年代から、名だたるロックバンドのレコードジャケットをデザインしていた集団『ヒプノシス』の軌跡を、実際のアルバムジャケットと楽曲と共に堪能できるドキュメンタリー映画
作中に登場するアルバムジャケットは、ピンク・フロイドの『原子心母』『The Dark Side of the moon 』
レッド・ツェッペリンの『プレゼンス』
10cc『Look Hear?』などで、曲とアーティスト名をうっすらと知っている程度でも、そのアルバムジャケットは見て覚えている、というのは凄いことだと感じました
アルバムジャケットのデザイン、というものに重きを置かれていなかった時代に、突然こんなデザイン集団が現れたら、それはどんなにか凄いインパクトだったんだろう
鹿の国

長野県のほぼ中央に位置する、諏訪湖を臨む神社、諏訪大社の1年間の神事の紹介と、過去にあったけど現在は失われてしまって実態が分からない祭礼の復元を追うドキュメンタリーが交互に入っています
広大な諏訪湖の湖畔に立ち込める霧、湖沿いに点在するいくつもの諏訪大社のお宮と豊かな山の風景の荘厳さは、確かにここは神が宿る土地なのだと納得がいく
同じ長野県住まいでも、諏訪の気風ってどこか独特で、それゆえ謎が多く、興味を惹かれるけど空恐ろしい
かつて諏訪大社では、鹿の生首を捧げる神事が行われていました
その光景がはんこ絵になっています
春をかさねて

2011年3月11日の大震災から14年目の日に合わせ、震災に遭った方たちをフィクションの形で描いた『春をかさねて』と、震災遺構として保存がされている大川小学校の出来事を追うドキュメンタリー『あなたの瞳に話せたら』の2本立ての上演でした
震災に遭った人と遭わなかった人、身近な人を亡くした人と無事だった人、そんな区別するんじゃなくて、ひとりひとりで受けた傷も感じた痛みも違うのだから、その中でどう寄り添っていけるのか? と模索する映画だと感じました
Ryuichi Sakamoto playing the Orchestra 2014

2014年に開催された坂本龍一さんのコンサートを臨場感たっぷりに撮影している作品
幕間の談話では、東日本大震災以降に、音楽をもって復興の手助けが何か出来ないのか? と模索する言葉もありました
指揮をしながらピアノを奏でる氏と、東京フィルハーモニーの共演を俯瞰の図で見せてくれる、その場面をはんこ絵にして下さっていて素晴らしい
来年には坂本龍一さんのドキュメンタリーも上演予定なので、ぜひ観たいです
お坊さまと鉄砲

長く封建的な王政が敷かれていた王国、ブータンでは、王自らが王国の近代化を目指して退位し、新たな政治指導者を定めるために全国民規模の選挙が、建国以来初めて行われる事になった
それに合わせ、山奥の高僧と崇められる人が、弟子の僧に鉄砲を手に入れてくるよう命じ、お坊さまは山を降りることになった……という、展開の独特さに目を見張る話でした
はんこ絵は、高僧はなぜ鉄砲を求めていたのか? が明らかになる場面です
その真相は、現在の不穏な情勢だからこそすごく感じ入るものでした
郷愁鉄路〜台湾、こころの旅〜

日本の山間の風景にもどこか通じる、台湾の鉄道の成り立ちと、汽車と電車の鉄路の歴史と、唯一残った汽車路線が電化され、彼の地にて汽車の走る最後の日を追うドキュメンタリー映画
郷愁鉄道の名のままに、木々が繁茂する風景をゆく汽車の姿のはんこ絵です 汽笛が今にも聞こえてきそう
劇場版YOASOBI 5th ANNIVERSARY DOME LIVE 2024”超現実“

YOASOBIさんの結成5周年記念のライブを劇場鑑賞できる作品
自分が出かけた回はとても盛況で、年齢層も広くて、孫とおばあちゃん? のような組み合わせの人がいたのも印象的でした
はんこ絵でのおふたりのシルエットと、みっちみちのタイトルフォントがたまらない魅力です
BAUS 映画から船出した映画館

上田映劇さんがロケ地として参加している映画で、ロングラン公演も行われていました
今は無き古い時代の映画館を、上田映劇さんが演じている姿、それを上田映劇さん館内で鑑賞ができる、映画の喜びにあふれた作品でした
はんこ絵は、上田映劇さんのロビーで撮影された場面です チケットの半券も再現していてかっこいいですね
敵

中年の危機、ならぬ老年の危機、を描いた作品で、おじいちゃんが右往左往する邦画なのですが、家事を黙々とし、自炊で美味しそうな食事をきちんと取り、身なりを整えて生活をしている人なので、時に性欲に振り回されたり若い女に騙されたりするけど、清潔感が損なわれない感じの良さがずっとある映画でした
はんこ絵は、執着してる教え子と、亡くした妻に責められているような視線を向けられている場面です ちょっと胃が痛くなる
マルティネス

中年の危機ならぬ、老年の危機を描いたおじいちゃん映画、として『敵』と続けて観るとどこか脈絡を感じた作品でした
人はすごく選ぶ作品だし、場合によっては拒絶反応が出そうな題材でしたが、マルティネスおじいちゃんがとてもチャーミングなので、うっかり騙されて鑑賞できてしまった
はんこ絵は、ひとりで遊園地に出かけてニコニコしてるマルティネスの姿です
わたのはらぞこ

上田映劇さんがロケ地として参加している映画で、ほぼすべてのシーンは上田市で撮影されていますが、見知っているはずの上田市をまるで不思議の国のように見つめることのできる、色んな上田市の場面がガチャガチャを回すように飛び出して来る作品でした
上田市を流れる川べりに立ち、何億年も前の時代には、そこは海の底だった……わたのはら、のそこを感じる、というような言葉遊びもたくさん含まれていて『不思議の国のアリス』を上田市でやってみた、みたいな作品だったのかな? とも思います
そんな不思議の上田市を巡る女性が、微笑む姿のはんこ絵です タイトルフォントの再現も、これまたすごいのです

私たちが光と想うすべて

インドの大都市、ムンバイの病院に勤務する3人の女性が、それぞれのままならない身の上を思いやりあう物語
雨季のムンバイには毎日のように激しい雷雨が訪れるけど、小さい折り畳み傘や、薄く頼りないレインコートしか彼女たちは持っていなくて、寄る辺ない境遇を、よりうら寂しく感じさせる
台詞の数も音楽もごく控えめで、大きな事件は起こらなくて、彼女たちの問題が鮮やかに晴れる展開にはならない
けど、捨て鉢にならずにしたたかに生きてゆくしかないのだと、環境を変えられなくても心の持ち方とありようで、どうにかしていける、やるしかねえんだって、図太くなれる幕切れでした
ちなみに、記念の半券が2枚貼ってあるのは、実家の母と見に行ったからです
エミリア・ペレス

汚職と暴力がはびこるメキシコシティで、ふたりの女性が手を取り合い、犯罪被害者を救済するためのNPO団体を立ち上げる話
なのだけど、この話が特異なところは、ふたりの女性の片方は、性別適合手術を受けた元男性で、元々はメキシコシティのマフィアのボスであり、犯罪と暴力、薬物などを持って巨大な利権と資産を稼いでいた人間であったこと
そんな人が、自身の女性として生きたいという願いを叶え、暴力でなく慈愛をもって人と接し、助けたいと願うように変化した
その鮮やかさと、見ようによっては身勝手さが、たまらない魅力になっていた
ミュージカル仕立ての映画で、全編の楽曲もダンスもすべて素晴らしかったです
歌のシーンの多さと、展開が強引で悲劇が大きいところは、どこか古典のオペラを連想させる作品でもありました
はんこ絵は、相棒となるふたりが再会した息詰まる緊張感があふるる場面です
六つの顔

今年、御年94歳になる狂言師、野村万作さんの生い立ちをたどりつつ、2024年の記念公演での演目『川上』を丸ごと観賞させてもらえるドキュメンタリー映画
この『川上』がすごく面白くて、狂言をきちんと見たことが無くても、夢中になって鑑賞できる、筋書きの面白さも演者さんの素晴らしさも絶品でした 回想していても、また観たくなります
野村万作さんの、目を閉じた柔和なお顔立ちが、はんこ絵で見事に表現されています
大長編 劇場版タローマン万博大爆発

岡本太郎の芸術作品が奇獣となって、50年をまたぐ2つの万博会場などを行ったり来たりして暴れるイカれ特撮映画
Twitter(X)ではこの作品に夢中になって、様々なアート作品を創る方、二次創作に励む方からの供給が凄く、公式も惜しげもなく応援上演企画などの後押しをしていて、全国津々浦々の劇場で、タローマン旋風が吹き荒れていました
冒頭4分の映像は、監督の藤井亮さんのTwitter(X)で公開されています
これがあと101分ほど続きます。って書いてあるけどこれはマジだぜ
『大長編 タローマン 万博大爆発』冒頭4分大公開です!これがあと101分ほど続きます。
— 藤井亮 @8.22劇場版タローマン公開です (@ryofujii2000) August 21, 2025
pic.twitter.com/uXFl3Tk0WW
上田映劇さんと、タローマンの共演の絵を描いて下さった方もいました
タローマンは応援されるとやる気が無くなってダメになるんだって! みんなも応援しちゃだめだぞ!
「来ないでくれ! タローマン!」

聖者

約60年前のインドの映画
監督のサタジット・レイ氏の事は不勉強ながら存じ上げなかったのですが、画面の構図の美しさ、端的で端正な台詞テキストに、控え目だけど存在感もある音楽、役者の皆さんのお顔の印象的な強さ、特に聖者ババ役の方の仏像顔の素晴らしさなど、腹にたまる満足感にあふれた映画で、古い映画館で観れることが嬉しくなる作品でした
崇められる聖者であるババは、実は煽動者であり詐欺師でもあって、でもそれに騙される人は多くいる それだけ人は心弱く、何かにすがりたいと願ってしまうもの、そんなことが率直に描かれていました
ババの弟子の本性は俗物な男性が、気を遣って精進料理ばかり出す宿に辟易して「ビリヤニ食いてえ」って言ってたところがめちゃくちゃ好きなので、上田映劇さんの近くのお店でビリヤニ食べたりもしました

臆病者

サタジット・レイ監督の企画上演で観れた作品の2作目
脚本はシンプルながら、役者さんの演技の魅力とストレートに心に響く物語で、すごく情けない男性の姿を率直に描いていました
はんこ絵は、よりを戻したい元恋人に素気無くあしらわれる、悲しいかな自業自得な男性の姿です
劇場版 JAZZ NOT ONLY JAZZ

日本の様々な年代、音楽ジャンルから、幅広く豪華に集った面々のレパートリーをジャズアレンジで聞かせてもらえる、一夜限りの公演を映画館鑑賞できる作品
登壇された方の中では、ラッパーのPUNPEEさんのパフォーマンスが印象的でした
ラップは普段聞かず、苦手にしてることもあり存じ上げない方だったのですが、ラップとジャズの共演というのがなかなかの相性の良さで、面白かったです
思えばどちらも、即興と掛け合いをもってするジャンルだから親和性が高いのかと納得しました
主人公

サタジット・レイ監督の企画上演で観れた作品の3作目
前2作品のシンプルな構造とは打って変わった登場人物の多さと、その内面を掘り下げて織物のように編まれる人間模様の複雑さ、陰鬱で危うい雰囲気など、こんな話も作られていたのか……と感じ入る作品でした
寝台列車で旅行する、国民的映画俳優とそのファンや家族、ジャーナリスト、商談をする自営業者に資産家たちが、それぞれの人生に少しずつ関わり合い、ある人は絶望し、ある人はほろ苦い救いを得る、しかし死はいつでも隣り合わせに存在する そんな作品
はんこ絵は、何気ない仕草が様になる俳優さんが出たくない電話に渋々出ているところです 横顔の表情が絶品
ロマンチック金銭感覚

映画監督をしている夫婦が、製作費の捻出のために万年金欠で、こんなに私たちを苦しめるお金って何なんだろう? というテーマの映画を作ることにした
そんな、半分フィクションで半分ドキュメンタリーな映画で、現実の貨幣制度の見直しや、近年見られる地域通貨の試みなどの取材をしつつ、夫婦が幸せを模索する映画でもありました
また、この映画の上演では日によって、金銭感覚上演という試みも行われており、観客は鑑賞後に自由に料金を決め、カプセルに入れてお渡しする形態でした
COW/牛

イギリスの大規模な酪農施設で飼育されている一頭の乳牛の、出産、搾乳、種付け、また出産と繰り返される日々の果てに、最後を迎えるその瞬間までを、同じ乳牛になったかのような視点で映し出されるドキュメンタリー映画
施設の従業員や獣医師による乳牛の管理や設備についての説明はまったくなく、聞こえるのは搾乳の時間を告げる音楽や他の牛の鳴き声、名前を呼ぶ人間の声、堆肥を運ぶ重機、はるか彼方の飛行機や電車の音だけ
高度に効率化された家畜の生活を追体験したような心地になるので、率直な感想として、体調が悪くなってしまったのですが、こうした管理された家畜がたくさんいて、それにより今の食生活が成り立っているし、享受している者として、知っておくのは悪いことではない……けどやっぱりしんどい映画でした
はんこ絵は、美しい黒目が印象的な一頭の乳牛の姿です
女性の休日

女性の家事労働負担の大きさや、社会進出への制限などを不平等と訴え、国中の女性たちの実に90%におよぶ人々が一斉に休日という名のストライキを行い、それがきっかけとなって社会の変化が次々と進み、現在では大統領も首相も共に女性が就任している、アイスランドのドキュメンタリー映画
驚くのは、この女性たちのストライキは1975年の出来事だということで、当時に女性たちが訴えた不平等は、日本の社会のそれとほとんど変わらないことだった
彼女たちの戦い方は、怒れる闘争心あふるる側面もありつつ、朗らかでユーモラスな語り口もあって、小さなきっかけからの積み重ねが大きな変革を生むことができる、やるんだって、励ましてくれてるような作品でした
以上、ほぼ今年に上田映劇さんとトラゥム・ライゼさんで観た映画作品を、映劇はんこと共にご紹介する記事でした
昨年より、鑑賞本数が少なくなってしまったので、来年はもっと観たい、何なら今年中にあと一本は観たいなあって思っているところです
こちらは、2023年の上田映劇さんのご紹介動画です




昨年分の、上田映劇はんこご紹介記事はこちら
映劇はんこの職人のタカハシさんの企画展の模様はこちらから
