返信が早い人ほど、安く見られる。仕事と人間関係の主導権を握る「間」の法則
皆さまのセールスコンサルタント、ごりごりのおちびさんです。
いつもお読みいただきありがとうございます。
7月に入り、梅雨らしい蒸し暑さを感じる日が増えてきましたね。
下半期がスタートし、日々の業務や連絡のスピードが一段と加速している方も多いのではないでしょうか。
忙しい時期ほど、私たちはつい目の前のタスクや連絡を「早く処理すること」に意識が向きがちです。
もちろん、ビジネスにおいて「即レス」は優秀さの証明であり、信頼構築の基本です。
これは間違いありません。
しかし、自身の提案や作品を「適正な価格」で届けようとするフェーズにおいては、すべての連絡に即レスすることが、時にプロとしての価値を下げる要因になることがあります。
たとえば、私自身が1億円近い見積もりを提示した際、お客様から「1割ほど値引きできないか」と交渉を受けたケースがありました。
関係性やプロジェクトの利益率を考慮すれば、その場で即座に「承知いたしました。調整可能です」と答えることも十分に可能な状況です。
相手を待たせたくないという責任感があれば、なおさらすぐに返答したくなる場面でした。
しかし、ここで即レスをしてしまうとどうなるでしょうか。
お客様は無意識のうちに「あっさりと1割引けるということは、元の見積もりにはそれだけ不当な利益が乗っていたのではないか」と疑念を抱きます。
良かれと思った即レスが、結果として「元の提案の妥当性」を自ら毀損してしまうのです。
「速い返信」が価値を落とすメカニズム
なぜ、即レスが提案の価値を下げてしまうのか。この心理メカニズムを紐解く上で、行動経済学の名著が非常に参考になります。
※またかと思われるかもしれませんが、私のバイブルの一冊なので。。
著者は、人間の思考プロセスを直感的で反射的な「速い思考(システム1)」と、論理的で労力を要する「遅い思考(システム2)」の2つに分けて解説しています。
たとえば、「2+2」の答えを瞬時に思い浮かべたり、相手の表情から感情を読み取ったりするのがシステム1。
一方で、「17×24」の計算を解こうとしたり、高額な商品の比較検討をしたりする際に働くのがシステム2です。
本来、提案や見積もりは、複雑な条件を計算し、バランスを緻密に練り上げる「システム2」をフル稼働させて構築した価値の結晶です。
それに対する値引きや仕様変更の相談も、当然「システム2」で慎重に対応すべき難題のはずです。
しかし、ここで即レスをしてしまうと、お客様はどう感じるでしょうか。
「これだけ高額な相談に数分で答えを出せるということは、そもそも大した思考を経ていない、余白だらけの価格設定だったのではないか」
このように見透かされてしまうのです。
値引き交渉を制する「意図的な間」
私が身を置く空間提案の現場でも、高額な商材を検討されるお客様に対しては、このレスポンスの使い分けが如実に表れます。
自身の価値を守れる売り手ほど、即座に答えを出せる条件であっても、あえて「意図的な間」を作ります。
その場では「承知いたしました。全体のバランスに関わる重要なポイントですので、精査して改めてご回答します」と一旦ボールを受け取ります。
そして後日、「社内で特別に決裁を通すために、これだけの調整が必要でした」というプロセスを、あえて丁寧で少し長めの文章で説明し、回答を出します。
この「時間」と「テキストの分量」こそが、相手のシステム2に働きかけます。
「これだけの苦労をして条件を飲んでくれたのか」とお客様に実感させることで初めて、元の見積もりの妥当性が担保され、同時にプロとしての信頼感が高まるのです。
プライベートの人間関係を守る「間」の効用
実は、このレスポンスと「意図的な間」をコントロールする技術は、商談だけでなく、プライベートな人間関係においても非常に有効です。
たとえば、パートナーや家族から少し耳の痛い指摘を受けたり、複雑な相談を持ちかけられたりした場面を想像してみてください。
このとき、間髪入れずに「いや、それは〜」「わかった、じゃあこうしよう」と反射的に返答してしまうと、往々にして売り言葉に買い言葉になったり、相手に「適当に流された」という不満を残したりするものです。
ここであえて、「確かにそうだね。どうするのが一番いいか、少し考えさせてほしい」とボールを一旦受け取り、意図的な「間」を作ってみる。
日常のやり取りであっても、システム2を稼働させるための時間を意図的に挟むことで、相手は「自分の言葉を重く受け止めてくれた」という安心感を抱きます。
「いつでもすぐに答える」ことは一見親切ですが、それは時に、感情的な衝突を生んだり、相手のペースに巻き込まれたりすることと同義です。
仕事でもプライベートでも、反射的な即レスを控え、適切な距離感と「間」を保てる人には、自然と「堂々とした余裕」が生まれます。
その日々の自己管理から滲み出る佇まいこそが、最終的にビジネスの場において「この人から買いたい」と思わせる最大の決定打になるはずです。
ごりごりのおちびさん
【追伸】
レスポンスの「間」をコントロールし、専門家としての立ち位置を確保した上で、実際の商談において「この人にお願いしたい」というオーラをどうデザインしていくのか。
先日、私自身が64万円のコンサルティング契約を自腹で決断した際、相手の担当者は見事なまでにこの「選ばれる空気」を作り上げていました。
具体的な中身を語る前に、私がスムーズに決済へと進んでしまったトークの全貌と心理設計については、こちらの記事で解剖しています。
ご自身の価値を適正価格で届けるための「本物の心理設計」にご興味があれば、ぜひ覗いてみてください。
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