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naofujisawa
便利屋修行1年生 ⑰撤回の撤回 連載恋愛小説
「脱いでください」
家まで送り届けてくれた沢口にコーヒーを出す前に、綾は我慢できなくなった。
コートを受け取り、シャツの腕をまくり上げるよう要求する。長身を座らせてから、頭や襟もとをくまなくチェック。肩や背中は服の上から押さえて、痛がらないか確認する。
「なにかおかしいですか?」
もの言いたげな沢口に、綾はつっかかる。
「あー、いまだかつてこんな生物に遭遇したことないなと」
「だから、バカにしてる?」
「満足した? ケガしてないだろ」
はあーっと声を出し、綾はうなだれる。
「剣道やってた意味ない……」
「いや、立ち向かわれても困るんだけど」
「竹刀さえあれば……」
「持ち歩く気かよ」
リズムよくツッコミが入るので、楽しくなってきた。
「いろいろ言っちゃった気がするけど、ありがとう。助けてくれて」
「保留の件、最終結論出た?」
はて。なにか保留してたっけ。
そのまま顔に出たようで、沢口が眉をひそめる。
「テッカイの撤回、する?」
言いまわしがあまりにかわいくて、すんなりうなずいてしまう。
(つづく)

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