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便利屋修行1年生 ㉑うかつな彼女 連載恋愛小説
彼氏できたんなら連れてこい、と有無を言わさぬ命が下ったのは3日前。
「キャラが濃いとは聞いてたけど」
悩みごとをふっとばすパワーのある彼女に、何人の子供たちが救われたことか。顔を見るだけでホッとできる、稀有な存在だ。
初対面の人間に品定めされる、決して気分が良いとはいえない状況を、沢口はおもしろがってくれた。
「おもしろくない情報もあったな」
「なんのことでしょう?」
とぼけても無意味だとは、わかっている。
「ほら、私剣道やってたから、崎ちゃん勘違いしちゃって」
「ふーん」
ヘソを曲げているのが意外すぎて、綾は冷や汗をかく。
「鬼畜ドクターに食われかけたとかなんとか」
崎子の言いかた、なんとかならんのか。
「ちなみに、その人と沢口さん似てます」
見てくれではなく、見透かす感じや頭の回転の速さが似通っている。ほめられている気がしないと指摘された。
「大丈夫です。別次元なんで」
キスの最中、ときどきイラッとすると告げられる。
「あ……ヘタすぎて?」
「気持ちよすぎて」
平然と言うので、本気か冗談か、てんで区別がつかない。
「ええと、それは経験どうこうっていうより、相性? のような……」
崎子と同様、変なことを口走ったと気づいたときには、もう遅かった。
相性の良し悪しはなにでわかるのかと、間髪を入れず詰問される。
「……本能とか?」
弱みをさらした相手につけ込まれ心が砕け散った記憶は、頭からそうそう消えることはないと思っていた。
「本上綾ガチ勢の崎子さん、かわいかったな」
いつくしむようなその目と声に、綾は泣きそうになった。
(つづく)

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