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✅ DKN-06Bを最終仕様に仕上げた話

DKNモジュール化プロジェクト 第1弾
USB Type-C Safety Power Module  DKN-06B開発記④


この記事でわかること
✅ DKN-06B Rev1.2で行った最終仕上げの内容
✅ テストパッド(TP1)の設計ミスとその修正方法
✅ データシートに基づいたフットプリント設計の重要性
✅ シルク印刷が実装や視認性に与える影響
✅ USBコネクターの位置調整と機械設計の考え方
✅ 約2Aで遮断するUSB電源保護回路の実測特性
✅ 遮断時の挙動(Auto-Retry)と発熱の関係
✅ 「動く基板」と「使えるモジュール」の違い
✅ 設計の完成度を上げるプロセス


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🟦 序章:その日基板が届いた

桜も散り、新緑が眩しい4月の末。
JLCPCBに発注していた基板一式が、青い箱に入って自宅に届いた。

今回のゴールデンウィークは、

👉 この基板たちを完成させるための時間

だ。

その中でも今回取り上げるのは、

👉 DKN-06B Rev1.2 ― 最終仕上げ

Rev1.1の時点で、電源モジュールとしての機能はすでに完成していた。
実際、他のモジュールの試験用電源としても問題なく動作している。

しかし、それはあくまで

👉 「動く」状態

であり、

👉 「完成されたモジュール」ではない

Rev1.2では、細部の修正と最終調整を行い、

👉 実用レベルの完成形へ仕上げる

ことを目的とした。


■ 今回はDKN-06BのRev1.2の最終仕上げを行う

Rev1.1は、その後の他のモジュールの試験時の電源として完璧に動作していた。
設計通り動くRev1.1の動作そのものに何も不満はない。
ただ、Rev1.1で宿題となっていた基板の最終仕上げをRev1.2で行うことにした。


🟦 第1章:Rev1.1からRev1.2へ

宿題となっていたRev1.2への修正点は以下の通りだ。

✴️ TP1ネット名の修正 (ネット名を間違えてTP1が機能していなかった)
✴️ フットプリントの最適化  (ヒューズのフットプリントが小さ過ぎた)
✴️ シルクの改善

さらに、追加修正事項として、

✴️ USBコネクターの接続位置を1mm外側に移動し、コネクターが1mm基板外に出るよう調整する

これにより、ケースへ組み込んだ際にUSBケーブルが挿し込みやすくなるだろう。


■ TP1が機能するように

まず手を付けたのはTP1(テストパッド)の修正だ。

Rev1.1では、TP1〜TP4まで4箇所の電圧測定用テストパッドを設けていたが、TP1のネット名が間違っていたため、TP1は基板上でどこにも接続されていない状態となり、存在意義を失っていた。

TP1はUSBコネクターから入力された直後の電圧を測る大切なテストパッドだ。
正しく動作するように、KiCad上で正しいネット名に修正した。


■ フットプリントの修正

Rev1.1で導入したLittel fuse社製リセッタブルヒューズ(1812L150/24MR)。

Digikeyから購入したもので、フットプリント自体はDigikeyから入手したものだった。

しかし届いたヒューズが、フットプリントより明らかに大きかった。
ただ、端子間の距離はギリギリ足りていたので、Rev1.1でもヒューズの実装は問題なくできていた。

Digikeyのフットプリントと言えども、実物と異なる場合があるという教訓だった。

改めてLittel fuse社のデータシートを見てみると、Digikeyとは全然違う、かなり大き目の推奨フットプリント寸法が載っていた。

Rev1.2ではこのサイズのフットプリントを自作し、利用することにした。

Digikeyから入手したフットプリント。
データシートから自作した
フットプリント。
明らか大きさが違う。

■ シルク印刷の修正

①テストポイントの番号を修正した。
Rev1.1では、
TP1=USB入力直後(機能せず)
TP2=GND
TP3=5V_OUT
TP4=TPS259474ARPWR入力直前
だったが、
Rev1.2では、
TP1=USB入力直後
TP2=TPS259474ARPWR入力直前
TP3=5V_OUT
TP4=GND
に変更した。

②TVSダイオードの印刷を修正。
TVSダイオードのフットプリントはKiCad標準のD_SOD-123を使っていたが、通常のダイオードと使い回ししているフットプリントのため、アノードとカソード印刷の向きが逆になってしまう。

通常のダイオードだと入口がアノード、出口がカソードだ。
入口から入った電流は出口に流れるが、出口から電流が入っても入口には流れない。

だがTVSダイオードは普段は電流が流れないよう壁のようにブロックするので、プラス側がカソードに、出口をアノードにしなければならない。

Rev1.1では印刷の向きが逆だったが、部品実装は正しい向きにしているため正常に動くが、実装時に間違わないよう修正した。


■ USBコネクターを基板外へ

Rev1.1まではUSBコネクターは基板端ちょうどの長さであった。

しかしケースに配置した際、ケースの壁からコネクターが奥まった位置になってしまうため、コネクターの位置を1mm外側に移動し、コネクター外縁が1mm基板外に出っ張るように修正した。それに伴い、USB周りの配線引き回しも若干変更となっている。


■ これらの変更を行い、JLCPCBへ発注

基板設計が完了し、いつも通りJLCPCBに基板発注を行った。

基板発注は、以下のリンクから行えます。

JLCPCBは価格が安いだけでなく、品質も安定しており、個人の電子工作において非常に頼りになる存在だ。

➡️ 英語版発注システムはこちら
➡️ 日本語版発注システムはこちら
➡️ 実際の発注手順はこちら


🟦 第2章:修正が終わった基板

これがJLCPCBから届いたRev1.2基板だ。

ぱっと見たところ、Rev1.1と
変わっていないように見える。

以下がRev1.0、Rev1.1、Rev1.2比較写真だ。

上がRev1.0、左がRev1.1、右がRev1.2。
ヒューズのフットプリントが大きい。

■ 部品実装を行う

今回の注文分からステンシルの大きさを10cm x 10cmに変更している。
そのため、ハンダペーストの塗布が非常に楽で、鬼門だったQFNパッケージの実装も難なくクリア。

左がRev1.2、右がRev1.1。

細かな部分をブラッシュアップし、DKN-06Bの開発はRev1.2で一旦終了となる。

今後このモジュールは、DKNアーキテクチャにおける中核モジュールとして、さまざまな作品の共通電源として、重要な役割を果たしていくことになる。


🟦 終章:まとめ

Rev1.2においてもRev1.1同様の試験を行い、最終仕様は以下の通りとなった。


■ 最終仕様(実測)

入力:USB 5V
出力:5V
遮断電流:約1.98A
復帰電流:約1.80A
遮断時電圧:約0.6V
動作温度:〜60℃(通常)
遮断時温度:約105℃(作動温度内)


■ 遮断時の挙動について

遮断時、出力電圧は約0.6Vまで低下する一方、入力側(TP1/TP2)は5V付近を変動する挙動を確認している。

これはTPS259474ARPWRの

👉 Auto-Retry機能(自動再投入)

によるものであり、異常状態において完全停止するのではなく、

✴️ 一定時間後に再投入を試みる
✴️ 条件が改善されていなければ再び遮断する

という動作を繰り返す。

この動作により、異常状態においても回路は安全を維持しつつ、復帰可能性を残す設計となっている。


■ 最後に

今回のDKN-06B Rev1.2は、

👉 「安全に電源を扱うための基盤となるモジュール」

として完成した。

今後このモジュールは、

DKNアーキテクチャにおける電源の起点として、
さまざまな作品の中で使われていくことになるだろう。

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