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「担保が外れていませんでしたーー」根抵当権の担保解除忘れで、不動産売却が止まりかけた実体験

「担保が外れていませんでした」
その一言で、不動産売却が止まりかけた。
返済は終わっているのに、なぜこんなことが起きるのか。


問題は「終わったはず」という思い込みにある

会社で所有している不動産Aを売却することになった。ぜひ買いたい、という買い手が現れたのだ。当社としては十分満足いく価格だった。
物件Aはxx銀行の担保に入っていた。銀行と話し合い、Aの担保を外し、それと同等以上の価値がある、別の物件Bを担保として新たに差し入れることで合意した。担保の入れ替えだ。
話はシンプルだった。
Aを外し、Bを入れる。それだけの入替だ。
だが、実務はそうならなかった。
Bの登記簿謄本を取り直すと、Bの登記にはyy銀行の根抵当権が残っていたことが判明した。
なん・・・だと・・・

何年も前に、yy銀行への返済は終わっているはずだ。
返済表を確認する。
間違いない。
もう一度担保管理表を確認しても、担保は外れている、とある。

だが実際には、担保は外れていなかった。

返済は終わった。でも、担保は終わっていなかったのだ。

なぜ担保解除は忘れられるのか——「外したはず」が生むリスク

どうなる?
今回の取引は、「無担保の物件」という前提で、この価格になっている。
売り手に言うか?いや待て、そんなことしたら、価格交渉が始まってしまうかもしれない。最悪の最悪で、この売買取引が壊れるかもしれない。少なくとも先方は不信感を持つだろう。

なぜこんなことが?
おそらく、当社の担当者が、「担保を外してくれ」と依頼するのを忘れ、
担保管理表だけ「担保が外れた」と更新してしまったのだ。
その表を財務メンバーが何年も見続け、疑いもしなかった・・・。
失態だ。

借入は返済すれば終わる。
だが担保は、返済しただけでは登記からは消えない。
抵当権も、根抵当権も、外すには手続きが必要になる。

抵当権は、借入を返済すれば効力自体は消える。
だが登記は残る。放置すれば、そのまま残り続ける。

根抵当権はさらに厄介だ。
借入がゼロになっても、枠としてそのまま残る。

今回の物件Bについていたのは、根抵当権の担保設定だった。

銀行にとって、根抵当権の担保を積極的に外す理由はない。
こちらから依頼しなければ、手続きは進まない。


担保解除が間に合わないとどうなる?売却直前で起きるリスク

どうする?
急ぎ、yy銀行に連絡し、担保の解除を依頼する。当然だが、快く応じてくれた。
だが、担保解除は、依頼すればその場で終わる作業ではない。
「行内の承認を得るため、1か月ほどいただきます」
銀行員の機械的な対応を聞きながら考える。
この後、どれくらい時間がかかる?
銀行側の手続き、書類の準備、司法書士による手続き、そして登記の反映。すべてに時間がかかる。

気づいた瞬間にはもう遅い可能性がある。
「今すぐ外してほしい」が通用しない世界だ。
特に今、登記の反映は非常に時間がかかる。

売却のスケジュールを確認する。ぎりぎり間に合いそうだ。

yy銀行に本当に一か月で確実に外れるのか、何度も確認する。
結局1か月半後、なんとか担保は解除された。
登記が外れたことを確認し、改めてxx銀行に担保の入替を依頼する。
その後、当初の予定通り、担保が外れた物件aを、無事売却することができた。

今回は、なんとか間に合った。
今回は、ラッキーだった。物件aを売却するまでに、たまたま時間があった。買い手の都合で数か月後の引き渡しを要望していたからだ。
また、登記の反映が比較的早い地域だった。危なかった。
だが、もしこれが売却直前だったらどうなるか。法務局が混んでいるエリアだったらどうなるか。
担保が外せない。
入替もできない。
取引が止まる。(無担保で引き渡す前提だったため、決済条件を満たせない)
資金化が遅れるか、最悪の場合は売買の話は破談になる。
今回の問題は、偶然助かっただけで、構造としては事故一歩手前だった。

「管理しているつもり」が事故を生む理由

担保管理表は作っていた。
物件ごとに、どの銀行が何位で入っているかは把握していた。
それでも起きた。
なぜか。
管理表は「情報」だったが、「証拠」ではなかったからだ。


担保解除の業務がフローになっていなかった。
人が思い出したときだけ動く仕組みは、必ず止まる。
忙しいときほど、止まる。

管理しているつもりが、できていなかった。
これが一番危ない状態だ。


担保解除の正しい手続き——登記確認までを完了にする

対策はシンプルだ。
返済を完了としない。
担保が登記上消えたことを確認するまでを、完了とする。
完済したら、必ず担保解除を依頼する。
登記が外れたら、謄本を取り直す。
そのPDFを保存し、管理表に紐づける。
そして状態を更新する。
ここまでやって、初めて一つの案件が閉じる。

管理表は「証拠を添える」ことで初めて意味を持つ

今回、管理表に一つ要素を加えることにした。
登記簿謄本をPDF化し、保管場所のURLを紐づける。
情報だけでなく、いつでも確認できる状態を作る。
さらに、定期的に謄本を取り直す。
一年に一度でいい。
そのたびに、自分たちの前提を確認する。
担保は本当に外れているか、所有は変わっていないか。

まとめーー担保解除は「依頼」で終わらせず、証拠を添えた管理を

借金は返せば終わる。
だが、担保は意識しなければ残り続ける。

根抵当権はその典型だ。
気づかないまま、何年もそこに居座る。

そして残った担保は、ある日突然、取引を妨害する。
問題はミスではない。
「終わったはず」と思い込む構造だ。
それを潰すには、完了の定義を変えるしかない。
登記で確認するまで、終わらせない。
そこまでやって初めて、担保は“返ってくる”。



あなたの業務でも
“確認したつもり”で止まっている業務、思い当たるものありませんか?



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