テスト。フリージア
新しい制服に袖を通し、鏡に映る私と目が合う。
田舎という地域柄、今日から高校生といっても、ほとんどが知り合いばかりの環境だし、クラスも、相変わらず1クラスだけ。
クラス替えとか、してみたいもんだわ。
多分、3年生になったら、就職する人と進学する人に分けて、勉強するんだけど、私はどうしよう…まだまだ先だから、まだ決めなくてもいいかな。
多様化が進んで、女の子でもスカートだけじゃなくパンツも選べる学校が増えてきているとテレビでは見たけれど、うちの高校では、相変わらず、女の子はスカート一択。学校指定の靴下が緑色で、どうしたって、ダサく見える。
私の名前は水谷春陽。友達は、皆、はるひと呼び捨てで呼ぶ。
クラスの半分以上が、バス通学をしている。バスは、一日数えるほどしかないので、親が送り迎えしている子もたくさん見かける。
私は、高校から歩いて15分くらいの場所に住んでいるから、自転車通学も認められず、雨や雪でも、歩くしかない。親も、優しくないから、自分で行きなさい。と、雷がなっても、放置される。ただ、朝、傘を持たずに、学校に行ったけど、途中で雨が降ってきた時なんかは、下駄箱に、私の傘が置いてあるということはあった。中学の頃はね。
入学式を終えて、担任の先生の自己紹介があった。若い先生だ。なりたて?
25歳だって。男性で眼鏡をかけてて中肉中背。なんか、めっちゃフレンドリー。イケメンじゃないのが残念だけど、面白そうだしいいかな。テニス部の顧問になるらしい。テニスしたことないって言ってたけど。
ちなみに、田舎の学校の部活は、なんでも選べる都会の学校とは全然違っている。野球部とテニス部、卓球部、ブラスバンド部、この4択しかないし、たまに、足の速い子がいれば、陸上大会に出ろって言われてるみたい。兼ねるのは、ありみたい。無理ありそうだけど。
斜め後ろの席の川崎麻衣が、紙くずをポイッと投げつけて来た。
麻衣ちゃんは、私の一番の仲良し。
一緒にテニスやろうって話してた子。
紙くずを広げると、麻衣ちゃんのクセの強い字で、「ウザそうだから、テニスやめとく?」と書いてあった。う~ん…じゃあ、どこで何する?麻衣ちゃんの気まぐれが始まった。とうんざりしながら、「とりあえず、見学いこう。」とノートの端っこに書いて、それをちぎって、丸めて、タイミングを見計らい麻衣ちゃんの席に放り投げた。
それを広げて見た麻衣ちゃんは、一瞬不服そうな顔をしたものの、すぐに、ニカッと笑って、後ろを振り返った私に向かい、うんうんうんと、小刻みに頭を振った。
放課後になるまでの間、期待と不安と緊張で、やたらと疲れたけど、最後のチャイムを聞く前に、机の中のものと、机の上のものを、全部カバンに入れて、解放される瞬間を待った。
振り返ると麻衣ちゃんの、好奇心に満ちた瞳の中に、私の姿が映っていた。
これから、私たちの日常が始まる。アオハルだよ~。
