喩えが変な男(1,368文字)
以前、仕事場の後輩と馴染みの焼き鳥屋に行った時の話。
後輩は俺のことを「おいちゃん」と呼ぶ。
「そんなに老けてへんし、オマエと3歳しか変わらんやんけ!」などと思っているが、それを口に出すのも面倒やから放置している。
その日も酔ったおっさん2人が、あーでもない、こーでもない、ほらそこはアレやがな、みたいな。
特に身になるような高尚な話は一切無く、ただただのんべんダラリと生ビールを飲み、焼き鳥を食って、たま〜にトマトやキュウリを食って、ただただくだらぬ話をするという有り様。
ダメな大人の見本市である。
そこにアルバイトの女の子が出勤してきた。
以前は茶髪やったのが、ほんの僅かに栗色を帯びた鮮やかな金髪にしてきた。
後輩と顔を見合わせると、なぜか半笑いやった。理由は知らん。
俺は「めっちゃ綺麗な色にしたやん。ピカピカの10円玉みたいやな」と言うと、女の子は「なにそれー!」と、言いながら笑っていた。
奥で店長が「ングフッ!」と吹き出していた。
突然、後輩が「前から何回も言うてるけどな、おいちゃんの喩え、変やねん! んでな、失礼やで!」と、半分真顔で言ってきた。
「いや、変なんは認めるけど、何が失礼なん? ピカピカの10円玉、めっちゃ綺麗やし、あの子の髪色にそっくりやん! 分かりやすい喩えやん!」
「いや、綺麗とか分かりやすいって問題ちゃうねん!」
若干険悪な雰囲気に、まあまあまあってな感じで店長が間に入り、事なきを得た。
後輩と険悪な雰囲気になるのは、30年ほどの付き合いの中でも、その時を含めて3回ほど。
何が気に障ったのか? 知らん。
話は変わって、理由は分からんが「マイコンとパソコンの違い」が気になって、ChatGPTに尋ねてみた。
返ってきた答えは、ざっくり要約すると「マイコンはマイクロコントローラーの略、家電なんかにも搭載されてる。パソコンはパーソナルコンピュータの略、家庭用のコンピュータみたいな感じや」ってことらしい。
あ、ウチのChatGPTは関西弁で喋ってもらってます。
ちゃうねん、俺が聞きたいのは「マイクロコンピュータとパーソナルコンピュータの違いやねん」と、質問すると
「あ、そういうことね。まずマイクロコントローラーとマイクロコンピュータの違いについて説明するわ。元は同じ技術から派生したものと考えて。で、マイクロコンピュータはパーソナルコンピュータになり、マイコンとはマイクロコントローラーの略語として定着した。ざっくりこんなところや」ってことらしい。
「ざっくり」が少し気になるが、ってことらしい。
ほう、そういうことか。
「えっとつまり、琵琶湖から宇治川が京都に流れてきて、大阪に入ったら淀川になった。でも、京都では宇治川が流れてます、みたいなもんか?」
そう尋ねると
「分かりやすい喩えやなw」
ここまでは良い。
「しかも喩えるものが君の生活に密着しとる。癖が強いけどなw」
そうか、AIにも笑われるほど変なんか、俺の喩えは。
褒め言葉としておこう。
ふと思った。
後輩が失礼って言うてたのって、もしかして貨幣価値で?
俺の喩えより、半笑いやった後輩の方が余程失礼やと思うけどな!
いや、五十歩百歩か……。
ほな、俺も失礼の同類やがな!
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正直、おっさんが舞い上がります。
