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キジトラにゃんこ、我が家の王子

俺は今まで犬に好かれてきた。

「この子、家族にしか懐かへんのに、珍しいわぁ」などと、愛犬を散歩中の下町マダムに何度も言われるぐらい、よく犬には懐かれてきた。

逆に猫からは全く相手にされへん人生やった。
目があっただけで野良猫が逃げるなんてことは日常茶飯事。

俺は犬も猫も、同じくらい好きやのに……。

20代の頃、付き合ってた元カノを家まで送ろうと、雨の降る夜道を相合傘で歩いていると、向こうから1匹の野良猫がまっすぐコチラに歩いてくる。

「珍しいこともあるもんやな、逃げへんなんて」などと思いながらソイツの前でしゃがんでみると、ソイツは俺の膝の上に飛び乗った!

猫がっ! 猫がっ! お、お、お、俺の膝の上にっ!

俺の頭の上では、3人の天使が輪を描くように飛び、祝福のラッパを吹いていた。
天使の上には、元カノがさしてくれてる傘。雨を避けてくれていた。

ソイツの頭を二度三度撫でると右の頬、左の頬と俺のジーンズに擦り付け、ぴょんと飛び降りた。

夢のような時間は終わった。

残されたのはジーンズの泥染みだけ。猫にとって、俺は雑巾程度の存在。

でも、悔いはなかった。
猫の頭を撫でることができたのだ。
その後、俺は気持ち悪い笑顔をにへらにへらと浮かべながら、元カノを自宅へ送り届けた。

十数年後、とあるきっかけでアメショーの子猫が実家にやってきた。
数ヶ月後、三毛の子猫がやってきた。
当時実家住まいの俺は、先住の犬共々、2匹の子猫をかわいがった、かわいくて仕方なかった。

しかし数ヶ月後、俺は結婚して犬と一緒に実家を出ることに。
そして、猫たちとは離れ離れになった。

新居に越してから三ヶ月後、犬を連れて実家へ遊びに行った。
もちろん猫たちにも会いに行った。

1人のおっさんと1匹の犬は、2匹の猫に「シャーッ!」と威嚇された。
まるで噛みつく直前の蛇のような顔で……。

1人のおっさんと1匹の犬は、しょんぼりと自宅に帰った。

あれからそこそこの年月が経ち、我が家の犬は14歳で虹の橋を渡った。
実家の猫たちも、それぞれ虹の橋を渡った。
何度会いに行っても、最後まで俺に懐くことは無かった。

そして現在、我が家には右耳が桜耳、長いしっぽが特徴のキジトラ猫がいる。

これが我が家の王子である。

俺は猫のかわいがり方を勉強した。
結果、キジトラ猫は家族の中で、一番俺に懐いてくれた。

そして──。
甘やかされたキジトラ猫は、我が家の王子となった。

王子の名は「りんた
娘の名前から、漢字1文字を取って、俺が名付けた。

元保護猫の男の子で、2026年の6月で4歳半になる、らしい。
我が家に来た時点で1歳半だった、らしい。

正確な誕生日が分からんから、その辺はしゃあない。まあまあ、ええがなって感じで。

話を聞いたり読んだりしてると、お迎えするきっかけって運命的な出会いが割と多かったりする。

りんたが我が家に来たきっかけも、数奇な運命を感じてしまう。
が、それについては長くなるから後日、別で書こうと思ってる。

そして俺は、りんたのおかげで「キジトラ」を漢字で書くと「雉虎」やと知った。

さらに俺は毎日仕事から帰宅すると、りんたに猫なで声で擦り寄る、気持ち悪い50代中盤のおっさんになった。

まあ、家族以外に見られることがないし、ええとしよう……。

たまにヒットマンのような目をする。

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正直、おっさんが舞い上がります。

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