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目的地より、車窓を見ていた時間のほうが長かった|青森・函館旅行記(2018年8月)#1

早朝の静かな家で、スーツケースが床を転がる音だけがやけに響いていました。
ゴロゴロ、という一定のリズムが、こちらの気持ちを先回りして、もう出発していいと言っているようでした。

この記事では、2018年8月、家族で新幹線に乗った一日の、移動そのものに残った感触を書いています。
目的地よりも、走っている時間に心が向いていた話です。


👜スーツケースの音が、先に旅を始めていた


天候を心配していた分、無事にこの朝を迎えたことが、少し意外でもありました。
早起きにも関わらず、子どもは眠そうというより、やることが決まっている人の動きで、スーツケースを引いています。

大宮駅に着くと、新幹線の中で食べる朝食を買いました。
子どもは迷いなくおむすびをいくつも選び、妻と私は駅弁を一つずつ。
まだ改札も通っていないのに、ここまでで気持ちはずいぶん先に進んでいました。

ホームで新幹線を待つ間も、列にスーツケースを置いたまま、少し歩いては戻り、また歩いては戻り。
「新幹線が来た!」と前に出かけた子どもの手を引き戻しながら、入線の音を聞きました。


👜窓側の席と、代わり映えしない景色


予約したのは3人掛けの普通車指定席。
子どもが窓側、私が真ん中、妻が通路側。
スーツケースを棚に上げると、子どもはすぐに窓の外へ視線を向けました。

まだ埼玉県内で、景色が大きく変わるわけでもないのに、ずっと外を見ています。
その後ろ姿を、夫婦で特に言葉も交わさずに眺めていました。

利根川を越え、小山駅を過ぎたあたりで、車窓の流れが少し速くなり、子どもがそれに気づいたようでした。
私たちは早起きの反動で、いつの間にか眠ってしまい、目を覚ましたときには、どこを走っているのか分かりませんでした。


👜切り離される瞬間を見るために


目的地はまだ先ですが、突然、子どもに起こされました。
もうすぐ到着する盛岡駅で、秋田新幹線が切り離されるところを見たい、とのことでした。

停車時間は短いので、早めに8号車へ移動します。
新花巻駅を通過した直後でした。
同じ目的らしい親子連れが、カメラを構えてドア付近に集まっています。

ドアが開くと、子どもは少し早足でホーム前方へ。
秋田新幹線こまちが先に発車し、車両が切り離されるのを確認してから、急いで元の車両に戻りました。


👜トンネルが続く時間


席に戻ると、再び窓の外を見ていましたが、先ほどよりも景色の流れは遅く、トンネルが続きます。
外が真っ暗になると、さすがに退屈になったのか、親子でぽつぽつと会話が増えました。

新青森駅が近づくアナウンスが流れ、私はスーツケースを下ろして降りる準備をします。
それでも子どもは、最後まで窓から目を離しませんでした。


👜700km走ったあとも、同じ暑さ


新青森駅に到着して、席を立ち、ホームに降ります。
約700km北上したはずですが、空気の感じはほとんど変わらず、相変わらず暑いままでした。

移動は終わったはずなのに、気持ちはまだ、新幹線の窓側の席に残っているような感覚がありました。
旅は、着いた瞬間よりも、走っている途中のほうが長く続いているのかもしれません。

(つづく)

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十和田湖が見えるまで、休む場所が分からなかったドライブ|青森・函館旅行記(2018年8月)#2|げじげじくん🎈

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