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蜃気楼は見えなかったけれど、待っていた時間は残っていた|大型連休の富山訪問記(2026年5月)

滑川駅へ着くと、改札近くで子どもが待っていました。
あいの風富山鉄道に乗って、1人、富山駅から出発していましたが、どうやらクルマよりも早く到着したようでした。

<前回の記事はこちら▼>
子どもが列車で出発したあと、車内だけが静かだった|大型連休の富山訪問記(2026年5月)|げじげじくん|旅好きのアラフィフ

少し待ちくたびれた様子ではありましたが、こちらを見ると安心したような顔になります。

クルマへ戻ると、すぐに普通列車の話が始まりました。

「大阪で乗った大和路快速と同じ座席だった」
「車内、思ったより混んでた」
「この駅で人がたくさん降りた」

助手席と後部座席から、交互に声が飛んできます。

少し前まで静かだった車内が、一気に旅の続きへ戻った感じがしました。

この記事では、滑川駅で合流したあと、「海の駅 蜃気楼」で過ごした時間について書きます。


🚙「ちょっと寄ってみない?」


クルマを走らせている途中、子どもが言いました。

「海の駅 蜃気楼、寄ってみない?」

スマホで見つけたようでした。

蜃気楼を見るために富山へ来たわけではありません。
ただ、このときは「次にどこへ行くか」より、「少し休みたい」という感覚のほうが強かった気がします。

私自身、ここまで運転が続いていて、どこかで一度、身体を止めたかったのかもしれません。

「じゃあ、少しだけ寄ろうか」

そんな流れで、魚津漁港のほうへ向かいました。


🚙海を見ている人たち

海の駅へ着くと、駐車場はほとんど埋まっていました。

大型連休らしい混雑ではありましたが、雨晴海岸のような観光地の賑わいとは少し違います。

海岸沿いには、人が静かに並んでいました。

カメラを構えている人。
スマホを海へ向けている人。
腕を組んで、じっと沖を見ている人。

みんな、何かを待っているようでした。

海沿いは晴れていましたが、海の向こう側だけ、少し曇っています。

「今日はどうなんだろうね」

誰かが小さく話している声だけが、風に混ざって聞こえてきました。

蜃気楼が見えるかどうか。

でも、その場にいた人たちは、結果だけを見に来ている感じではありませんでした。


🚙立ち止まるための場所


私たちも海沿いへ出て、しばらく立ち止まります。

子どもはスマホで景色を撮っていました。

海。
空。
港。
少しぼやけた水平線。

そのどれもが、特別な瞬間を待っている途中みたいでした。

私は海を眺めながら、ようやく身体の力が抜けていく感覚がありました。

ドライブ旅をしていると、「次へ進まなきゃ」という感覚がずっと続きます。

でも、このときは違いました。

蜃気楼を見るためというより、「止まるため」にここへ来ていた気がします。


🚙見えなかった景色より、残った時間


結局、その日は蜃気楼らしい景色は見えませんでした。
海の向こうは最後まで少し曇ったままで、水平線もぼんやりしています。

それでも、不思議と「残念だった」という感覚はありません。
むしろ、海を見ながら待っていた時間のほうが、あとから強く残りそうでした。

何かが起きるかもしれないと思いながら、ただ海を眺めている時間。
結果が出ないまま終わる時間。

旅の中では、そういう「何も起きない時間」のほうが、記憶に残ることがあります。


🚙子どもが作ってくれた余白


今回、「海の駅 蜃気楼」に立ち寄ったのは、子どもの一言がきっかけでした。

もし自分だけだったら、そのまま次の目的地へ向かっていた気がします。

でも、子どもが「寄りたい」と言ったことで、旅の流れが少し変わりました。

結果として、その時間が、この旅の余白みたいな場所になっていました。

親が予定を組み、子どもがついてくる旅。

少し前までは、そんな感覚が強かった気がします。

でも最近は、子どもの行動や提案のほうが、旅の空気を変える場面が増えてきました。

海を見ながら立ち止まっていた時間も、その一つだった気がします。


🚙急がない時間のほうへ


駐車場へ戻る頃には、海風が少し冷たくなっていました。

周囲には、まだ海を見つめている人たちが残っています。

蜃気楼が見えるかもしれない。
でも、見えないかもしれない。

そんな曖昧な時間が、海沿いには静かに流れていました。

旅は、目的地を次々回収していくものだと思っていた時期もあります。

でも今回の富山旅では、「待っていた時間」のほうが記憶に残りそうでした。

急がないことで、ようやく見えてくる景色もあるのかもしれません。

(つづく)

<次の記事はこちら▼>
赤信号で止まれたとき、少しだけ旅の終わりを感じた|大型連休の富山訪問記(2026年5月)|げじげじくん|旅好きのアラフィフ



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