夜と朝の境目で、海だけが先に光を受け取っていた|大型連休の富山訪問記(2026年5月)
深夜のドライブを終えて到着した頃、海の向こうは、もう少しだけ明るくなり始めていました。
<前回の記事はこちら▼>
大型連休深夜の高速道路で、余白だけが見つからなかった(2026年5月)|げじげじくん|旅好きのアラフィフ
クルマを降りると、海からの風が思ったより冷たく、身体が自然と縮こまります。
気温は10℃ほど。
大型連休の朝というより、まだ冬の続きのようでした。
眠気と疲れが残ったまま、海沿いにある道の駅へ向かいます。
今回たどり着いたのは、富山県の雨晴海岸。
以前、「ドキュメント72時間」で見た場所でした。
テレビ越しに見ていた景色の中へ、自分たちのクルマで夜通し走って来たことが、まだ少し現実感のないままでした。
🚙展望デッキから見えた、少し遠い海

道路を挟んで海岸の反対側にある道の駅「雨晴」に入り、3階の展望デッキへ向かいます。
ガラス越しではなく、外の空気に触れながら海を見たくて、そのまま外へ出ました。
目の前には、テレビで見た景色が広がっています。
ただ、不思議と「到着した」という感覚はまだ薄く、海が少し遠く感じました。
子どもが「海岸まで行こう」と言って、先に歩き始めます。
道路を渡り、踏切を越えると、波の音が少し近くなりました。

🚙海だけが、先に光を受け取っていた

海岸へ着く頃には、周囲に人が増えていました。
まだ朝5時前。
それでも、同じように日の出を待っている人たちが、海沿いに静かに並んでいます。
海の向こう側が、少しずつ赤くなっていきました。
やがて、真っ赤な太陽がゆっくり姿を現します。
海だけが先に光を受け取っていて、遠くの山はまだ黒い塊のままでした。
夜と朝の境目が、そのまま景色になったようでした。
妻も子どもも、ほとんど無言でした。
写真を撮ったり、立ち止まったり、また少し歩いたり。
私も海沿いを歩きながら、時々立ち止まって海を見ます。
風は相変わらず冷たいままでしたが、陽射しだけが少しずつ強くなっていきます。
身体は寒いのに、目だけが朝になっていく感じでした。



🚙始発列車の音で、朝に戻ってくる
だんだん眠気が強くなってきて、一度クルマへ戻りました。
シートを倒して目を閉じると、運転中に張っていた感覚が、一気にほどけていくようでした。
1時間ほどして目を覚ますと、周囲はもう完全に朝でした。
そのとき、近くの踏切の音が聞こえます。
外へ出ると、雨晴駅に氷見方面へ向かう始発列車が到着したところでした。
続いて反対方向からも列車がやってきて、小さな駅で静かに離合します。
昔ながらの車両でした。
発車するときのディーゼル音を聞いているうちに、初めて来た場所なのに、少し懐かしい感じがしていました。
海を見ていた時間とはまた違う静けさが、駅の周囲には流れていました。






🚙「また後で来よう」が自然に出てきた
子どもは日の出を見られたことが嬉しかったようでした。
でも、それだけでは終わらなかったようです。
「昼過ぎになると、立山連峰がきれいに見えるはずだから、また後で来ようよ」
そう言いながら、「お腹空いた」と続けます。
私もその頃には、ようやく空腹を感じ始めていました。
夜通し走っている間は、身体がずっと緊張したままで、空腹を感じる余裕もなかったのかもしれません。
一度、雨晴海岸を離れて、氷見へ向かうことにしました。
🚙ようやく戻ってきた、余白の時間
振り返ると、雨晴海岸へ着いてからの時間だけ、少し感覚が変わっていました。
深夜の高速道路では、ずっと判断と操作が続いていて、頭の中に空白がありませんでした。
でも、海を前にして立ち止まっていた時間は、何かを急いで決める必要がありません。
ただ風が冷たくて、波の音が続いていて、空が少しずつ変わっていく。
普段見ない景色を前にすると、非日常を感じるというより、自分の中の速度だけが少し遅くなる感じがありました。
このあと再び、クルマを走らせます。

(つづく)
<次回の記事はこちら▼>
身体の遅れに気づいた朝、道の駅で余白を取り戻す|大型連休の富山訪問記(2026年5月)|げじげじくん|旅好きのアラフィフ
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