「名前が残る仕事」「名前が残らない仕事」どちらも大事だけど
「名も無き家事」という言葉がありますが、学芸員の仕事にもこれに似た「名前が残らない仕事」があります。その反対は「名前が残る仕事」です。
「名前が残る仕事」の方は、わかりやすいですよね。
展覧会の企画担当者となれば、図録に名前が載ります。他にも論文を書く。講演会の講師をする。新聞・メディアの取材にこたえる。
いずれも学芸員個人の名前が前面に出ます。業績になる、経歴にも残る大事な仕事です。
この逆で「名前が残らない仕事」とは、言うなれば裏方仕事です。
まぁ、学芸員がそもそも黒子的な存在なのですが、上記のように名前を出す機会は割とあります。
そうした仕事ではなく、収蔵品の管理、温湿度の管理、作品の貸与の対応、作品の展示や撤収、年報紀要の編集、助成金の申請、来館者対応、受付や監視のスタッフの調整、学校などの団体への対応、会議資料作成などなど。
他にもまだまだあります。数え上げれば切りがありません。これらは名前が残らない、つまり業績にはなりませんが、どれ一つを取ってもおろそかにできない仕事です。
さて、「名前が残る仕事」と「名前が残らない仕事」の2種類がある。ここまではいいとしましょう。
大抵の美術館には学芸員が複数名在籍しています。仮に一人であれば、どちらの仕事も全部一人でやるしかないので話は単純です(相当大変ですが)。でも何人もの学芸員がいる場合、誰がどの程度「名前が残る仕事」を行うか、その配分はわりとデリケートな問題をはらんでいます。
例えばの話ですが、誰か一人が「名前が残る仕事」を独占し、「名前が残らない仕事」は残りの人たちに任せっきりだったとしたら、当然軋轢が生まれますよね。
もちろんこんな極端なことをしている美術館はありません。でもきっちり均等に分配できている美術館もおそらく無いはずです。
学芸員によって得手不得手はありますし、前に出るのが好きなタイプもいれば、裏方仕事にやりがいを感じるタイプもいます。そしてベテランから新人までキャリアも違いますから、均等に分配するというのも現実的ではないのです。
だから学芸室長のような上長、もしくは館長が、うまく差配する必要があるのですが、人間ですからそんなに杓子定規にはできません。私はそんなえらそうな立場にはいませんが、やっぱり悩むことがありました。
「あの人は自分の業績になる仕事ばかり一生懸命だよね」「裏方仕事は全然やらないよね」そんな声が聞こえてきたら要注意。その不満の種を放置すると、チームで動く仕事がうまく回らなくなりますし、ギスギスした職場になるし、最悪のケースとして退職・転職につながってしまいます。
解決方法としては、コミュニケーションを重ねて、学芸員同士、そして美術館全体の風通しを良くする、なるべくお互いの個性・能力を理解するよう努める、という地道な努力しかないのでしょうが。
まぁ、こんなことは美術館に限らずどこの職場でも似たようなことはあるんじゃないでしょうか。どうですか?
【ちょっと続きを書きました】
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