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展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.21 撤収と返却

美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナーです。

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33. 展覧会閉幕

さぁ、展覧会も最終日となりました。

最終日だからといって、何か特別なことをするわけではありません。パーッと飲みに行くとかそんなこともないですし。

しいて言えば、翌日から展示替えのための休館期間に入るので、その案内を美術館の見えるところに掲示したり、ホームページにも同じ内容をアップしたり、ですかね。

ミュージアムショップ担当者は、展示替え休館期間に商品の在庫を確認したり、次の展覧会に向けて商品の入れ替えをしたり、あれこれやることがありますが、ここは学芸員の範疇ではないので割愛します。

34. 撤収作業を行う

展覧会が終了したら、すぐに撤収作業に入ります。デパート展だと、閉幕したその日の夜に撤収作業を行う場合もありますが、美術館や博物館は休館期間を設けるのでそこまで急ぐことはありません。翌営業日から作業することが多いです。

展示作業の時と同じように、ヤマトや日通の作業員の力を借ります。
収蔵庫に保管していた梱包用の箱を展示室に持ってきて、一点一点しまっていきます。ただ、その前に学芸員がやらなくてはいけないのが、作品の状態チェックと簡単な清掃です。

展示期間中に、作品に異状はなかったか。一通り見て回ります。
また、ケースの中に入れていたとしても、作品にはホコリがわずかにかかっていることがあります。毛ばたき等でやさしく払ってあげてから、箱にしまいます。
「はー、疲れた疲れた」という声が作品から聞こえてきます(笑)。

それから壁に貼ったパネルや天井から吊したバナーなども、どんどん外していきます。

展示作業に比べれば、撤収作業は断然早く終わります。
展示は作品の配置など悩みながら、微調整を繰り返さなくてはいけませんが、撤収はひたすら片付けるだけなので。

梱包した作品をすべて収蔵庫に仕舞ってもまだ時間が余っていたら、次の展覧会に向けて展示ケースや可動壁を移動したり、スポットライトを外したりですね。

こうして、空っぽの展示室が出来上がります。展示作業の回でも書きましたが、この時に毎回「うちって、こんなに広かったっけ?」と思います。

35. 借用作品の返却をする

自分の美術館の所蔵品だけを使ったコレクション展であれば、ここまでで作業はすべて終了なのですが、よそさまから作品を借用している場合はもう一仕事しなくてはいけません。言うまでも無く、作品の返却です。

集荷の時と同様に、借用先の美術館・博物館に連絡して返却日程を固めていきます。当然、この連絡・調整は展覧会閉幕後にやっていては間に合わないので、だいたい2、3ヶ月前、なんなら作品を借用する時に先方と話し合います。

複数の返却先があれば、返却ルートを工夫しなくてはいけません。輸送業者の担当者とも相談して、返却スケジュールを立てます。

返却当日、美術品専用トラックが美術館に到着したら、収蔵庫から作品を運び出して積み込みます。輸送中に振動で倒れないように、がっちりと荷台の中で固定します。
そして、学芸員もトラックに乗り込んで出発です。

相手方の館に到着したら、作品をすぐに収蔵庫に仕舞うのではなく、どこかの部屋で一度開梱します(収蔵庫が広ければそこで行うこともあります)。
そして、作品のコンディションチェックを双方の学芸員が行い、問題なしと確認した後にしかるべき場所に収納します。

展覧会の様子を報告したり、貴重な作品を貸し出してくれたことに御礼を伝えたり、その他情報交換などを先方の学芸員と話して、出発します。

場合によっては何泊かしながら、各地を回ります。せっかくなので、夜はその土地のおいしいものを食べましょう(誰に言ってるんだ)。

そしてすべての作品を返却し、帰路につきます。ようやく肩の力が抜けるのが、この時です。やはり作品をお預かりしている間は、常に心のどこかが緊張していますからね。

ふー、やれやれです。

つづく>>


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