第139回 ピアレビューとは何か―学術研究を支える相互評価の仕組み―
研究者であれば、「ピアレビュー(Peer Review)」という言葉を一度は耳にしたことがあるかと思います。
論文投稿や科研費申請の場面では当たり前のように使われていますが、
査読と何が違うのか
科研費審査もピアレビューなのか
なぜ研究者同士で評価するのか
と聞かれると、意外と説明が難しいものです。
今回は、学術研究を支える重要な仕組みである「ピアレビュー」について整理します。
ピアレビューとは
ピアレビューとは、
「同じ研究コミュニティに属する研究者同士が研究を評価する仕組み」
のことです。
Peerには「仲間」「同等の立場の人」という意味があります。
学術研究では、
論文の掲載可否
研究費の採択可否
学会賞の選考
など、多くの場面で評価が行われます。
その評価を担うのが、同じ分野の研究者たちです。
つまり研究者が研究者を評価する仕組みが、ピアレビューです。
なぜ専門家同士で評価するのか
研究の価値を判断するには専門知識が必要です。
例えば、
研究課題は新しいのか
先行研究との差は何か
方法は妥当か
成果が期待できるか
といった点は、専門外の人には判断が難しい場合があります。
そのため学術界では長年にわたり、研究者同士による相互評価が採用されてきました。
専門家だからこそ見抜ける価値や問題点があるためです。
科研費もピアレビューで審査されている
科研費の審査も典型的なピアレビューです。
審査委員は研究者の中から選ばれ、研究計画の
学術的重要性
研究方法の妥当性
研究遂行能力
研究環境
などを評価します。
ここで重要なのは、
「審査委員は応募者の研究を尊重し、その意義を理解しようとする姿勢が求められている」
という点です。
一方で申請者にも、
「専門外の研究者にも伝わるように書く」
ことが求められます。
ピアレビューは、研究者同士のコミュニケーションでもあるといえます。
そのため、研究内容そのものだけでなく、「第三者に伝わる形で説明できているか」も重要になります。
評価される側と評価する側
ピアレビューには特徴があります。
それは、
評価される側が、いずれ評価する側にもなる
ということです。
研究者は論文を投稿し、他人から査読を受けます。
しかし同時に、自分も他人の論文を査読することがあります。
科研費も同様です。
申請者であると同時に、将来は審査委員になることがあります。
つまりピアレビューは、一部の特別な人だけが担う制度ではありません。
研究コミュニティ全体で支える仕組みです。
ピアレビューの限界
もちろん、ピアレビューは万能ではありません。
同じ研究計画でも、
高く評価する審査員
厳しく評価する審査員
が存在します。
また、新しい発想ほど理解されにくいこともあります。
そのため科研費では複数の審査委員による評価や二段階審査が行われています。
完璧な制度ではありません。実際、科研費審査の課題については以前の記事でも取り上げました。しかし、現時点ではピアレビューは最も広く採用されている学術評価の方法です。
おわりに
ピアレビューとは、研究者同士が互いの研究を評価する仕組みです。
論文査読だけでなく、科研費審査や学会賞の選考など、学術界のさまざまな場面で活用されています。
研究者にとっては、学術研究の質を維持し、発展させるための重要な基盤でもあります。
研究を続けていれば、私たちは評価される側であると同時に、いずれ評価する側にもなります。
ピアレビューとは、そのような研究者コミュニティの相互信頼によって成り立つ仕組み、といえます。
外部資金ジャパン
外部資金ジャパンでは、外部資金獲得のための申請書作成支援を提供しています。ご興味のある方は下記までお問い合わせください。
