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短編小説:続きは読めない(書き出し:きのころさん、続き:不屈の屈葬)

こんにちは。不屈の屈葬です。
本日は「 #きのころチャレンジ 」参加作です!

私も参加した、お疲れカツカレーさん主催の「書き出しで魅了する作品」の優勝者であるきのころさんの書き出しに、続きをつける企画です!

タイトルは「続きは読めない」です。
何度も読んだ方も、是非書き出しから読み直してみてください!

* * *

続きは読めない

今朝、郵便受けに入っていた一通の手紙。
差出人の名前はない。
胸騒ぎに、震える手で封を開ける。
中に入っていたのは、
途中まで書かれた私の遺書。
覚えはない。
だが、間違いなく私の筆跡だ。
日付は明日になっていた。

※ここまできのころさんの書き出し

ぞっとした。
こんなことが、以前にも度々あったから―—。

私の中には、どうやら私の知らない私が棲んでいる。
認めたくないが、こう何度も証拠を突きつけられては仕方ない。
目の前の手紙に書かれているのは、間違いなく私の字なのだ。

―—いや、白状しよう。
本当は、とっくに気づいていた。

私は心の内に、まるっきり対極な2匹の獣を飼っている。

1匹は温厚。ふだんの私だ。
人当たりがいいと褒められるが、そう振る舞っているだけ。
いっぱいいっぱいになることもある。

もう1匹は、そんなときに顔を出す、どす黒い獣。
「顔を出す」と言ったが、このときの記憶は一切ない。
朝起きると、どう考えたって自分の仕業としか考えられない証拠がしばしば転がっているだけだ。

今回のこれもそう。
白い私が眠っている間に黒い私が目を覚まし、悪戯いたずらをしている。
そういうことなのだろう。

そして、さすがは黒い獣。
日付を明日にする「中二病」ぶりは、その名に恥じない。
そんな手紙を読む気分には、どうしてもなれなかった。

だから、読まずに食べた。

仕方がないので、お手紙書いた。
「さっきの手紙の、ご用事なあに?」

とぼけた手紙をしたため、黒い獣にならって返事の手紙を半分食べ、自宅の郵便受けにスッと入れておく。
夜になれば黒い獣が目を覚まし、食べしの葉を受け取るだろう。

きっと、続きは読めない(食べちゃうから)。


なお、この話は童謡「やぎさんゆうびん」のモデルとされている。

(了)

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