短編小説 | 平凡
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わたしは、いつも通りの朝、7時にiPhoneのアラームで起きた。
ベッドから出た。顔を洗い、鏡を見て寝癖を直した。朝食は食パンを焼き、マーガリンを塗って食べた。コーヒーはいつも通りの味だった。鏡の前でメイク。いつもの顔。
着替えて家を出ると、曇っていた。駅まで歩き、いつもの時間の電車に乗った。車内は混んでいた。目的地に着くまで、スマホでニュースサイトやSNSを眺めて過ごした。特に心に残るような話題はなかった。
会社に着き、パソコンの電源を入れた。メールを数件チェックし、定型文のような返信をいくつか送った。午前中は定例の会議があったが、特に発言しなかった。昼休みは近くのコンビニで買ったおにぎりとサラダを食べた。
午後の仕事は少し眠気を感じたが、淡々と事務作業をこなした。定時になったので、デスクを片付けて退社した。帰りにスーパーに寄り、安くなっていた鶏肉とキャベツを買った。
夕飯は簡単な炒め物を作って食べた。テレビをつけたが、番組は面白くなかった。お風呂に入り、髪を乾かして、明日の準備をした。10時過ぎにベッドに入った。いつも通り。
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拙者、いつも通り起床。布団は硬い。腰が少し痛む。桶で顔を洗う。井戸水は冷たい。
朝餉は麦の混じった飯と、具の少ない味噌汁、それに漬物。昨日と同じ献立。妻が黙って膳を運んでくる。特に会話はない。淡々と箸を動かし、腹を満たした。
午前中は領地の見回りに出た。農民の権兵衛が年貢の相談に来た。不作だから少し待ってくれと言う。拙者は「困る」と言ったが、権兵衛も「困る」と返す。斬ってやろうか。
午後は長持から槍を取り出し、手入れをした。穂先に小さな錆を見つけたので、布で丁寧に磨く。地味な作業。隣の部屋では、妻が内職の草鞋を編んでおる。パチパチと囲炉裏の火が爆ぜる音だけが聞こえる。
夕方、主君から書状が届いた。来月の軍役についての通達だ。織田方の動きが怪しいとのこと。兵糧をどれだけ用意するか計算しなければならない。算盤を弾くが、なかなか数字が合わない。何度もやり直すうちに日が暮れた。
夕餉も朝と同じ。寝る前に少しだけ酒を飲んだ。安物なので喉が焼ける。戦が起きれば死ぬかもしれない。でも敵の首をとって手柄にしたい。など思い布団にはいる。平凡な日。
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マリーの、平凡なヴェルサイユの朝は、重厚な金糸の刺繍が施された薔薇色の天蓋から、緩慢に滴り落ちる光の雫によって幕を開けます。
微睡みの淵から掬い上げられるのは、いつも変わらぬ、銀の盆が奏でる微かで平凡な金属音。侍女たちの指先が、雪白のレースを幾重にも重ね、溜息のように柔らかな絹のドレスをマリーの身体へと纏わせてゆきます。
その一挙手一投足は、精緻に組まれた自動人形の舞踏のごとく、完璧でありながらも、血の通わぬ静謐に満ちておりました。
朝食のショコラは、セーヴル焼の繊細な縁を唇に触れさせるたび、甘美な熱を喉元へと運びますが、それは昨日も、そしておそらく明日も、寸分違わぬ温度で供されるのです。
窓外に広がる庭園の緑は、幾何学的な秩序の中に閉じ込められ、風に揺れる木の葉さえも、退屈を慰めるための装飾品に過ぎません。
彼女は、象牙の扇を緩やかに開閉させ、そこに描かれた牧歌的な風景を眺めました。しかし、その視線は色彩の海を漂うだけで、何処にも辿り着くことはない、平凡で退屈なものです。
時計の針が刻む規則正しい鼓動は、贅を尽くした沈黙をより一層深めてゆきます。
この平凡で豪奢な牢獄の中で、眠る時間になればマリーはただ眠るのです。
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いつもの朝、重力が北向きになったので目が覚めた。まずは洗面所で、昨夜から煮込んでおいたモッヘルボルガアを口に含んで歯を磨く。今日の概念は少し苦みが強く、奥歯の裏に火曜日が挟まってしまった。
朝食は、昨日ダウンロード吸着しておいたグーロマの3分茹でだ。味は少し青かったが、栄養価は高い。通勤は、近所の角にある穴に飛び込むだけだ。今日は少し混んでいて、隣の人の肘が私のヘドルガに当たって少し痛んだ。
職場では、ひたすらホッヘルをブインガ翻訳する作業をこなした。上司の田中さんは、頭部が完全に液体になっていたが、機嫌は良さそうだった。昼休みには、公園で光合成をしながら、同僚と『三角形の重さ』について世間話をした。笑える。ゴルマァ!
帰宅後、ペットのルゲルンバッカに餌として木星のヴァを与えた。寝る前に、明日を冷蔵庫から出して解凍しておくのを忘れてはいけない。枕元の並行世界が少し騒がしかったが、脳を裏返せば問題ない。バモッチャに潜りこむ。
平凡な日。だけど明日は重力が西向きになるといいな。
(2026/03/05)
