スティーブ・ジョブズ氏から学ぶ ~人生の主人公として輝くための3箇条~
スティーブ・ジョブズ氏が2005年、スタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチをご存知でしょうか。
膵臓癌の宣告を受けた直後だったジョブズが、自身の半生――大学中退、ガレージでの起業、そして自分が作った会社からの追放――を、飾らない言葉で振り返った15分間のスピーチです。
キャリアの選択や日々の意思決定の指針になる言葉ばかりでした。
この記事は、このスピーチを読んだ中での個人的な気づきと、ビジネスに携わる者として大切にしたい教訓をまとめています。
「他人の期待」や「世間体」というノイズに支配されず、自分の心に従って生きたいと思っている方の、明日からの選択への活力になれば嬉しいです。
① 点は繋がると信じる ~Connecting the dots~
ジョブズは大学を中退したあと、興味だけでカリグラフィー(文字の美しい書き方)の授業に潜り込んでいました。就職にも役に立たなければ、当時は何の実用性もない選択です。
ところが10年後、最初のMacintoshを設計するとき、その経験がフォントやレイアウトのデザインにそのまま生かされることになります。先を見通して点と点をつなぐことは誰にもできない。できるのは、後から振り返って「あれは繋がっていたんだ」と気づくことだけだ――ジョブズはそう語っています。
これは多くの人に当てはまる話だと思います。
異なる分野を渡り歩いたり、畑違いの仕事に挑戦したりすると、振り返ったときに一貫性のないキャリアに見えることがあります。けれど、それぞれの選択はその時々の好奇心に従って下したものであり、将来を逆算してこの順番を選んだわけではないはずです。
だとすれば、今やるべきことは「将来この経験がどう役立つか」を計算することではなく、『今この瞬間の好奇心に全力で没頭すること』なのだと思います。
一貫性のなさを恐れずに、過去の自分の選択を肯定し、今の仕事に没頭する。それが、いつか必ず一つの線として繋がるという自分を信じる。
教訓①:
一貫性のなさを恐れず、点は将来必ずつながると信じ、今この瞬間
に没頭する。
② 愛と挫折こそチャンス ~Love and Loss~
ジョブズは30歳のとき、自分が創業したAppleから追放されています。当時は人生最大の挫折だったと振り返っていますが、後年、それを「人生最良の出来事だった」と語っています。
成功したことによる重圧が、初心者であることの軽やかさに置き換わった。何かを証明しなければというプレッシャーから解放され、もう一度ゼロから挑戦できる自由を手にした――そう本人は表現しています。
その後NeXTやPixarを立ち上げ、最終的にはAppleに復帰してiMacやiPhoneを生み出すことになるのですが、その出発点はこの「追放」でした。
そして彼が繰り返し語っていたのが、「本当に好きな仕事が見つかるまで、探し続けることをやめてはいけない」という言葉です。妥協して落ち着いてしまったら、そこで探求は止まってしまう。
キャリアを積むほど、つい「守りに入る時期」だと捉えてしまいがちです。安定した役職、安定した評価、安定した給与。
けれど本当は、これまで積み上げてきたものを一度手放しても惰性で続けるのではなく、心から愛せる仕事を選び直せる、最も創造的な時期なのかもしれません。安定のために情熱を犠牲にしていないか、自分自身に問い続けたいと思いました。
教訓②:挫折や変化はチャンス。妥協せず愛せる仕事を探し続ける。
③ 死を意識すれば、本質だけが残る ~Death~
ジョブズは33年間、毎朝鏡に向かって自分にこう問い続けていたそうです。
「もし今日が人生最後の日だとしても、私は今日やる予定のことをやりたいだろうか」
そして、「No」という答えが何日も続くようなら、それは何かを変える必要があるというサインだと考えていました。
外部からの期待、プライド、恥や失敗への恐れ――これらはすべて、死を意識した瞬間にほとんど意味を失ってしまう。本当に重要なことだけが残る、というのが彼の死生観でした。膵臓癌の宣告を受けたあとは、この問いが比喩ではなく、文字通りの現実になったといいます。
これは、映画「ひゃくえむ。」でも、同じロジックで『理性』というノイズから脱却をしていました。
自分は本当に「やりたいから」やっているのか、それとも「世間体」や「失敗するリスクが怖いから」現状維持を選んでいるのか。
この問いを思い出すと、自分の本音がはっきりと見えてくる気がします。鏡のテストで「No」が続く日々があれば、それは環境や働き方を抜本的に見直すサインなのだと思います。
教訓③:死を意識することで、生存本能などのノイズを消すことができ、本質的に重要なことを選ぶことができる。
ハングリーであれ、愚か者であれ ~Stay Hungry, Stay Foolish~
スピーチの最後、ジョブズは雑誌『Whole Earth Catalog』の最終号にあった言葉を引用してこう締めくくりました。
Stay Hungry. Stay Foolish.
現状の成功や安定に満足せず、常により高いものを求め続けること。利口な常識人として小さくまとまるのではなく、他人が無謀だと思うことにも信念を持って挑むこと。
このスピーチを読み終えて感じるのは、根底にあるのは「自分自身の人生の主人公としての誠実さ」だと思います。
他人の人生を生きるために自分の時間を使ってしまうほど、人生は長くない。常識という名の「他人の思考の結果」に流されず、自分の心と直感に従う――それがジョブズの行動すべてに通底していたのだと思います。
得られる教訓
教訓①:一貫性のなさを恐れず、点は将来必ずつながると信じ、今この瞬間に没頭する。
教訓②:挫折や変化はチャンス。妥協せず愛せる仕事を探し続ける。
教訓③:死を意識することで、生存本能などのノイズを消すことができ、本質的に重要なことを選ぶことができる。
人生の時間は有限です。だからこそ、迷ったときに立ち返れる原則を持っておきたい。
この記事が、あなたの仕事や人生における選択の一助になれば幸いです。
