#647_そら豆とおでんと、白い雲
大根の厚切りを銀杏にして、大鍋で水から強火にかける。こんどは片手鍋にお湯を沸かして、卵をそろ〜り。殻にぷつぷつと気泡がついて、しゅわん……と泡がのぼる。あ、ひとつ、中からトロンと白身が。これは別でいただきましょう。
もうひとつ、片手鍋にお湯をわかして、コンニャクを手でちぎって、お湯に通して、大根、卵……コンニャクの熱が取れたら今日はここまで。
ほのかに湿り気を帯びた南風が流れる、晴れた日の朝。
──「昆布だけでいいの?」玄関先から娘婿の声が聞こえる。
「うん」娘が答えると、孫娘が玄関先でぴょこぴょこと跳ねている。行ってきます、と娘婿。「いってきまーっしゅ」遅れて孫娘の声がした。
[好きな具も買ってきてね]娘から娘婿へ。
はんぺん、ちくわ、がんも、もち入り巾着、昆布巻き……。ふたりはなにを選ぶのかしら。
洗濯機が遠くで鳴いた。カゴの取手に巻いたテープの感触が手になじむ。ハンガーの端にタオルをかけて、孫娘のぱんつを干した。
小さな雲をはさんで、家族のせんたく物が並ぶ。
ふいに、夫の顔がうかぶ。あの人……自分の洗濯物の横に子どものぱんつを干すなんて、想像したのかしら。
頑固な横顔を思い出して、ふっと笑ってしまう。
「ただいまぁ!」孫娘の声がした。
「ばぁばのおつかい、どれ?」娘婿が開いたバッグをじっとみて、パッと手に取った昆布の袋。抱き抱えて、とてとて持ってきた。
昆布をひと切れ、鍋に沈めて蓋をする。
──あら、ほかには何を買ったの?
孫娘の手には大きなそら豆が握られていた。
「ぱかってするんだよ」
娘婿が割ってみせると、大きな豆がすやすや眠っている。
「さわってみて、ふわふわするよ」
やわらかくて白い、さやのベッド。
みんなで、そら豆さんにおはようさんだね。
ざるいっぱいのそら豆を孫たちからもらったら、切り込みを入れて大きなスプーンに1杯、強めのお塩でさっと茹でて……昆布が眠っている間に、はい、できあがり。
ちいさなおしりを、ぷりんと押すように、中からするんと一粒。
若草色の寝巻きからおいものような、ホクホクそら豆。
口いっぱいに豆をほおばる顔が、娘とおんなじね。
さあ、食べたらお出汁を引いて、おでんを煮込みましょうか。
<了, 約 900 字>
『#私の二十四節気』に参加します
またもや「はっ」と思い立ち、参加表明です。
『小満』は、5/21でした。
「はしさん」どうぞよろしくお願いいたします🙏
梅雨がはじまる頃にはそら豆の季節も終わる頃でしょうか。
麦茶へ渡るバトン、どちらもカラダをすっきりと整えてくれる自然の恵みです。健やかに過ごしたいですね。
あとがき
大根を煮ている間は、noteは書いて待ちます🙌
本文の具材は「おでん友」の好きなものです。
あ、厚揚げを入れ忘れました🙈
6等分にして、入れてくださいね👀
大根とたまごのシンプルおでんでした。
(ご参考)
そら豆の茹で方(白ごはん.com)、栄養価(まごころケア食)


▼小さなレディのお話、初回作品はこちらです。
Image Creatorで、DALL-E3というモデル、筆者がいつも使っている絵のタッチが使えなくなるのかな?新機能を楽しみに待ちます。



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