#651_#私の二十四節気『芒種』_いい旅・京都・大阪
ぼくは急におばさんに会いたくなって、新幹線に乗って、会いに行った。おばさんは、新大阪の駅までむかえに来てくれた。
おばさんの新しいおうちは、まえの家よりもちょっとだけ古かった。鉄のドアは、しめるときに、がこん、と音がした。おばさんは「座ぶとんにどうぞ」といって、テレビをつけてくれた。ぼくのまちとは全然ちがう、お笑い番組をやっていた。
「ただいまー」おじさんの声だ。ぼくは走って行きたかったけれど、ちょっぴりはずかしくて麦茶のコップを見ていたら、おじさんが声をかけてくれた。
「やあ、遠かっただろう。よくきたね」といって、おじさんはお風呂にいった。おばさんはごはんを作ってくれて、おじさんがお風呂から上がってから、いっしょに食べた。
「明日はどこへ行くんだい?」おじさんは枝豆をパクリとつまんで、ビールをのんだ。おばさんが「あじさい寺よ」といって地図を見せると「それなら、淀屋橋から京阪でいくといいよ」と教えてくれた。それに、「特急がかっこいいよ」と、おじさんの好きなものを教えてくれた。
ぼくも、カタツムリがだいすきだよと、好きなものをいった。雨がふると出てきて、うずまきのかいがらを背負って、のんびり歩く。目をつん、とつつくと、ピッと引っこむ、ふしぎなやつ。明日はたくさんみつかるといいな。
特急のまえにいた、みどり色の電車が先にでた。ふかふかのイスもいいかんじ。外に出ると、真っしろで目がくらんだ。ビルから家へ、家から橋へ、電車はびゅんびゅん走る。とちゅうでちょっと眠たくなったけれど、ひとつ、のりかえをして、駅についた。
今度はバスで坂道をぐんぐん上る。バスをおりて、赤い門のところに、あじさいがたくさん咲いていた。むらさき、ピンク、白、ハートの形もあった。ぼくは走って、あちこち、カタツムリをさがしに行った。
細いみちでは、かさがぶつからないようにそうっと歩いた。雨がふったり、やんだり。大きなお花が、小さく風にゆれて、しずくがぽろんとこぼれた。
おばさんがお参りに行くというので、ついていくと、お堂のまえに、かさみたいな葉っぱをつけた、大きな鉢がたくさんあった。
おばさんが「ハスだよ」と教えてくれた。かさみたいなのに、まんなかに水がたまっていて「はんたいだね」というと、おばさんは、ふふふ、と笑った。
葉っぱの中のしずくは宝石みたいだった。雨のしずくは、ふっても、ふっても、つるんとすべって、ぜんぶ下に落ちていった。
大阪のおうちに帰って、おじさんに「カタツムリには会えなかった」というと、動物園に連れて行ってくれることになった。それと、おじさんが「これならどうかな?」と言って、ひっさつ技を見せてくれた。
「手をチョキの形にして、つくえにおくよ。その上にグーを乗せたら、なんになる?」
ぼくがおじさんのひとさし指をさわると、ピッと引っこんで、ぼくたちは大わらいした。そして、おじさんとヒミツのやくそくをした。
──来年は、夏休みにまたおいで。今度は鱧を食べよう。
<了, 約 1,200 字>
『#私の二十四節気』に参加します
みなさんこんにちは、久藤あかりです。
今回は9番目の季節『芒種』、6/5です。
「はしさん」どうぞよろしくお願いいたします🙏
はしさんの北海道との季節の違いと言えば、梅雨がはじまる頃、この芒種ではないでしょうか。深く青い空と、黄色い菜の花のコントラストが印象的です。空港からも近く、早朝に立ち寄って午前中には空港へ、午後の便でゆったり。夕方には帰宅、そのような旅を思い描きました。季節のギャップ萌えがいちばん好きです☺️
カタツムリって色んな呼び方がありますよね。
「でんでん虫」「マイマイ」どれもかわいらしいです🐌
🌏『いい旅』シリーズ
🐾今回の旅はこちら(含参考資料)
京阪電車(路線図)
大阪市内からおよそ1時間。午前は三室戸、午後は平等院(ひと駅です)で昼食をとってそのまま拝観、帰りは電車でのんびり帰宅。京都方面へは途中に伏見稲荷や寺田屋、宇治からはJRで奈良へ、あるいは近鉄に乗り替えて私鉄の旅もいいですね🚃 線路はつづくよどこまでも🍉


▶ほかの記事をお探しですか?(記事検索)
すべての記事:人気、急上昇、新着、定番など
いいなと思ったら応援しよう!
スキ、コメントが1番うれしいです。私の記事を元にあなたの記事を書いてもらうのも大歓迎!心が動く言葉はありましたか?ご感想お待ちしています😊