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完全V睡マニュアル:Quest3で毎日熟睡しているVR睡眠環境をさらす('26/4更新)

[2026/4/3] 記事全体を大幅に編集。Picoについての情報を追記、おすすめケーブルを変更
[2025/12/31] おすすめのヘッドストラップをアップデート
[2025/5/10] OyasumiVRの設定、Quest3のスリープ設定の情報を追加
[2024/12/31] 吊り下げ固定についての内容を更新
[2024/8/30] Quest3軽量化、睡眠ツールについての情報を追加
[2024/7/14] ヘッドストラップの改造の情報を追加
[2024/6/4] 抱き枕と接眼部カバーの情報を追加
[2024/4/3] 赤外線ライトの設置場所についての解説を追加
[2024/1/21] Quest3の改造と、V睡時に使うソフトの内容を追加
[2023/11/11] 初稿

Note: English version is available here.

おはようございます(昼)
VRChatを初めてはや1ヶ月半。かつては「誰がこんなんやるんだ」と思っていたV睡ことVR睡眠にハマった。
念のため、VR睡眠とはVRヘッドセットを被ったまま横になり、オンライン上のVRChatのワールドで寝るという当代最先端の奇行である。

なぜV睡をするのか?に対して、人といっしょに寝るのが落ち着くという答えをよく聞く。一方「MPは回復するが体力は回復しない」ともいわれるように、普通に寝たほうがいいんだけどーという人が多い。
(まあ明らかに邪魔なもの着けてるので当然である)

ただ、自分は普通に寝るよりV睡する方がよく寝られると感じている。たしかにヘッドセットは邪魔だが、それ以上に寝付きがいい。以前はベッドに入ってから眠りにつくまで1時間以上かかるのがザラだったが、V睡だと10-15分で寝落ちする。自分もそうだとか、不眠が改善したというフレンドも少なからずいる。
物理的にスマホを見れないのはもちろん、人と話してリラックスしてベッドに入れること、睡眠ワールドのチルな空気感が優しく眠気を促してくれるのが理由だろうなと、個人的には思っている。

でも眠りは浅いんでしょ?と思うだろうが、スマートウォッチを見てもバッチリ快眠。アラームが鳴るまで爆睡。深い睡眠も概ね目安となる1時間以上で、寝覚めも普通に寝た時と変わらない。ならV睡するよね。

ただ、環境やヘッドセットなどで向き不向きは確実にあり、不適な環境だと絶対疲れると思う。
そう思い、よりよいV睡環境を…と2年以上も試行錯誤した結果がこの『完全V睡マニュアル』になる。同じようにV睡を試みる奇特なご友人のために、V睡が2000時間を超えた自分の快眠V睡環境を共有するためにこの記事は書かれている。

なお、はじめてV睡をしてみたいという方は、分かりやすい・読みやすい記事を書いたので、まずはこちらをどうぞ。

そして既にV睡をしていて、より快適なライフハックを求めてたどり着いた諸氏にお届けするのがこの記事になる。
それでは『完全V睡マニュアル』の名に恥じないV睡ノウハウを一つ一つ解説していこう。


◆ヘッドセットを改造する

一番大事なのはもちろんヘッドセットだ。普段の睡眠との一番の違いにして、最大の違和感の原因なのだから。
自分が愛用しているのがMeta Quest3。これが現状、ベストなV睡用ヘッドセットだというのが自分の意見だ。

なんといっても重要なのはインサイドアウト(ベースステーションが不要)かつ無線接続が可能で、普段寝ているベッドに持ち込みやすいという点だ。PCからの距離に縛られず、ちゃんと横になって寝られるのがV睡で一番重要だと自分は思っている。
Bigscreen Beyondなどの200gを切る軽量HMDも多くなってきたが、PCがベッドの真横にあるのでもない限り、Quest系のこの優位は揺らがない。

では同じQuest系のQuest 2やQuest 3Sといった廉価機は?というと、悪くはないがベストはQuest 3だ。特に横寝している時、筐体が大きく重心が遠いQuest 2/3Sは、その分ヘッドセットがズレやすい。ここは地味に気になる。

そしてQuest系のもう一つの長所が、後頭部にバッテリー等がなく、ヘッドストラップが交換可能という点。V睡は寝返りを打てるかで大きく体の負担が違う。しかしバッテリーが後頭部にある機種はこれが不可能になる。よってPico系などはV睡に不向きと考えている。
あと比較的安いというのも見逃せない。…まあ「高級アイマスク」などと一部愛好家がジョークで言うように、8万円は十分高いのだが、それでも20万前後~30万円を超えてくるHMDと比べれば大分気楽だろう。


ただ、そんなQuest3にも不満な点はある。なので4点ほど簡単な改造を入れて快適化し、「毎日寝れるヘッドセット」にしている。
改造は①充電コネクタ ②レンズ ③接眼部カバー ④ストラップ の4つだ。

①充電コネクタ

Quest3はケーブルの接続が横向きなので、そのままだと左に寝返りを打ったら壊れる。なのでこういうL字アダプタでケーブルを後ろ方向に逃がしてやると安心して使えるようになる。これは必ずやってほしい

L字コネクタ+充電ケーブルの通し方

また、写真のようにヘッドストラップの内側を通した上で、結束バンドでケーブルが暴れないようにガイドしてやると、ケーブルも傷みにくくなる。

横向けに寝た時の様子。意外とコネクタに負荷はかからないので寝返りもうてる(2年以上使っているが故障なし)

②インサートレンズ

自分のようなメガネが手放せない人には、ぜひQuest3用の度付きレンズを使ってほしい。HMDに視力補正レンズが装着でき、メガネやコンタクトレンズから解放される。
メガネをかけてHMDを被ると鼻に独特の圧迫があり、長時間装着ではかなりストレスになる。HMDとメガネが接触して傷つくと目も当てられない。なのでV睡するならぜひこれは買うべき

(レンズの度数/乱視度数(CYL)/中心軸(AXIS)は、メガネを作った店に聞けば教えてもらえることが多いので、気軽に問い合わせてみよう)

③接眼部

快適さを求めならぜひ使ってほしいのがAMVRのフェイスクッション。このフェイスクッションはふんわりとフィット感が良い上に、通気口によってムレ・くもりも改善するなど設計が優秀(風呂上がりははっきり差が分かる)。また額側・頬側を独立に高さ調整できる機能があり、あたりが不均一なのが気になる人にも効果がある。

そして必須ではないが、個人的におすすめしたいアイテムが接眼部カバー。毎日肌につけて使うヘッドセットは汗や皮脂汚れなどが気になる。そこで外して洗えるカバーをつけよう、というのがこのアイテム。自分が使っているのがVRCover。肌触り、通気性も良くなって寝心地もアップする。

VRCover34ドルと高めのフェイスクッション一式と同じ値段がするが、最初から2セット付属のため気軽に交換して使える。特に顔の皮膚は敏感で衛生面の影響を受けやすいので、肌が弱い人はぜひ検討してみては。

また特に夏場、接眼部の蒸れ・かゆみが気になる人は不織布のフェイスマスクを。不織布が挟まるので蒸れにくく、また擦れないので肌が弱い人にも適する。鼻の部分が鬱陶しいので、ここだけハサミで切るか、二つ折りにして使うといい感じ。VRCOVERちょっと高い、洗濯面倒くさい…という人も。

④ヘッドストラップ

そして最後に本命がヘッドストラップ。V睡でもっとも重要なのがここで、もっとも睡眠の質が上がる。ポイントは「自由に寝返りが打てるようになる」こと。
V睡が身体的に疲れる大きな要因はこれで、そのために後頭部という一番邪魔な場所を占めているヘッドストラップをなんとかする。…まあ、つまり普通に寝る状態に少し近づくだけなのだが。V睡はつくづく業が深い。
ここでは

  • A. 新しくストラップを買う場合

  • B. 既存のストラップを改造する場合

  • C. 交換不可(Quest系以外)の場合

の3パターンに分けて説明する。

【A. 新しくストラップを買う場合】

一番いいのを頼む」という人、付属品のストラップを使っている人はここ。2025年後半から登場した、V睡や映画鑑賞に向いた後頭部がソフトな寝転がれるストラップを使おう。自分のおすすめ&普段づかいはKIWI designのK4 Comfort Liteというストラップ。

詳しくは以下のレビューを読んでほしいが、K4 CLは後頭部が柔軟さと固定力を両立したパッド構造となっており、普段づかいでの装着感と寝心地の良さを両立している。ごろりと横になっても後頭部がまるで邪魔にならないので、本当に快適。

なおK4 CLは少し締め付けが弱いので、たまにゲムワに行くとか、動いた時の安定感も欲しい人は、締付けを簡単に調整できるROOXのシリコンメッシュ・ストラップがおすすめ。

ただしダンス、フィットネスなど激しい動きを想定する場合はBの改造をおすすめする。


【B. 既存のストラップを改造する場合】

K4 CLを買う前の自分のレギュラー環境がこれになる。
装着感がソフトなAに比べて、しっかりしたハードストラップの装着感と、寝る時の快適さを両立できる。また手持ちのヘッドストラップが無駄にならないというメリットがある。
ただし、ヒンジが付いていて折れ曲がるタイプのヘッドストラップであることが条件。Meta純正のエリートストラップなどでは使えない。

この方法は、折れ曲げ式のハードなストラップに、ソフトなヘッドバンドを組み合わせるもの。
例えば、体を起こしている時や動きの大きいゲームをする時は、上写真のようにハードストラップをメインで使う。これでホールド感は良好。

そして睡眠時など横になる時は頭の後ろの邪魔なやつ、もといハードストラップを頭頂側へ逃がす。代わってソフトなヘッドバンドが、下写真のようにやんわり固定を維持する。

こうすると後頭部にはヘッドバンドしかないので、非常に快適にゴロ寝できる。固定はそこまでキツくないが、その分疲れないし、睡眠時なら十分。

ケーブルを紐の輪の中を通すと暴れない

ヘッドバンドの固定は、ダイソーの手芸コーナーで売っている金具付きの紐を2本つなぐとちょうどよい。紐部分がちょうどヘッドストラップの関節部に食い込んで固定されるし、金具で脱着もできる。このDIY例で使っているハードストラップはこれ。

ヘッドバンドは色々試した結果、ナイキのこのキッズ向けヘッドバンドがベストなサイズ感。コットン地で触り心地、通気性もいい。

微妙に長さが合わない場合は、間に結束バンドをかませて調整するとよい。お手軽にできるDIY改造なので、ぜひ試してみてほしい。

なおヒンジがあるヘッドストラップでも、物によって可動範囲はまちまち。YipuVRのは90度以上曲がるが、KIWI designのH4はこれくらいが限度(これでも枕の位置次第ではちゃんとV睡できる)。改造前に確認しよう。

なおストラップとして評判がいいBOBOVRのヘッドストラップでの同様のカスタムがこちらの記事で紹介されているので、ユーザの人は参考に。


【C. 交換不可(Quest系以外)の場合】

これはヘッドストラップはどうしようもないので、枕を替えるのが最適解。VR睡眠用途に特化して作られた枕「ぶいすいーと」を使うのがおすすめだ。ヘッドセットをうまく受け止めてくれる特殊な形状で、寝返りが打ちづらい難は残るが、普通の枕よりはずいぶんV睡が快適になる。
仰向け寝派の人はこっちの「ぶいすいーと スイフト」を。

横寝派の人はこっちの「ぶいすいーと Your Side」を選ぼう。


追加で、これはカスタムではないが、V睡で地味に困る充電の問題。
Quest3は充電器の相性次第で給電が追いつかず、ケーブルを繋いでいても充電が減りV睡中に落ちてしまうことがある。
これを避けるには大前提として、PowerDelivery (PD)規格対応の両側Type-Cのケーブルでの接続が必須(片側Type-Aでは電力不足)。長さも枕元から伸ばすにしても最低2m、できれば3mほしい。ケーブルは柔らかいものを選ぼう。
そして給電側の機器もPD対応かつ、ロス込みで30W程度の出力がほしい。まあゴチャゴチャ言われても困ると思うので、とりあえず自分が問題なく使えている機器を貼っておく。
特にAnkerの充電ケーブルPowerLineは柔らかさと品質が両立されているので非常におすすめ だったが、大変残念ながら3mの販売がなくなってしまったので代替品を掲載。
(スペック的には100W対応とかのが良さそうに見えるけど、その分太く取り回しやすくなるのでこのクラスが最適)

なお、V睡で一番傷みやすいのがケーブルだ。寝返りを打った時などに強く曲がったり挟み込まれたりして、断線したりコネクタが曲がったりする。これが最初にL字コネクタとケーブル固定は必ずやってほしいと書いた理由だ。

特にDisplayPort接続のHMDやQuest3の有線接続は通信+電力のために結構ケーブルが太く、その分、曲げに弱い。特に5mのMeta Quest Linkケーブルは光ファイバーのため断線しやすい。またViveやBigscreen BeyondでもケーブルのHMD接続部付近の破損は多く見られる故障で、こちらも専用ケーブルなのでまあまあいいお値段がする。
無線化しても電源ケーブルは必要なのだが、通信ケーブルよりは細く柔軟で断線しにくく、断線しても安い。こうした故障リスクも、無線化を推す理由だ。

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※以下旧バージョンのストラップMODを参考に残しておく。読み飛ばしてOK。
固定は↑よりもいいが、額に圧がかかる。ただしQuest3本体に固定するので組み合わせるストラップを選ばない。
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やり方;細めのスポーツヘアバンドをQuestに固定し、後頭部へ回す。固定力は弱いが、寝るだけならこれで十分。

寝てるとこんな感じ。
ヘッドバンドは上側ストラップの根本に固定


◆ヘッドセットを軽量化?する

さて、ヘッドセットが重いと固定もしっかりする必要がある。すると締付けやムレで装着感が悪化する。つまり快適化にあたり最大の対策は軽量化である。
ただ電子機器を改造して軽くするなど素人にはムリ…なので、ここでとんでもない力技での軽量化を紹介する。

上から吊る。

聞いて驚け見て笑え

Quest3はフロントヘビーなのが欠点だが、災い転じて福となす、おかげで本体を釣り上げてやるだけで劇的に装着感が軽くなる。使うのはVR機器のケーブルを吊るためのリール

これを2本使って引き上げると、実測600gのQuest3が200gまで軽くなる。これはまさに革命
Quest3側の受けは、上面部の純正ストラップのベルトの通しを使う。KIWI designのリールはベルトがちょうどここに通せる。ただし自分は取り外しが面倒なので、切って使える面ファスナーを通してカラビナを引っ掛けている。

最大の問題は、このリールを部屋のどこに引っ掛けるか。リールの動きが軽くなる&変な方向に引っ張られないように、できるだけ自分のホームポジションの直上にリールがくるのが望ましい(1敗)
理想的なのは、天井に前後方向に突っ張り棒かレールを設置。ここにぶら下げること。一番スムーズに動く。

突っ張り棒からヘッドセットを吊っている様子

もしくは窓際なら、カーテンレールにこんなアングル材をタイラップで固定し、その先にS字フックでリールをぶら下げるなど。住環境に合わせて色々試行錯誤してほしい。

また上から吊り下げて軽量化できていれば、ヘッドバンドはもっと緩い(=楽な)ものでも大丈夫。自分が使っているのはこれ。

設置は面倒だが、効果は絶大。今までずれないように締付けて固定していたヘッドセットが、ヘッドストラップをユルユルにしても安定する。すると締め付けによる疲労感もムレもなくなるので、素晴らしく快適になる。丸一日つけて過ごせる。

いや、そうはいっても絶対邪魔でしょ…と思うだろうが、これで既に2年以上過ごしているが非常に快適。夜もこの環境でグッスリ。特に椅子やベッドからほとんど動かない人は、騙されたと思ってぜひ挑戦してほしい。

とはいえこれは比較的ハードルの高いMOD(?)なので、どうしても軽くしたい人だけ試してほしい。実際1年くらいはこれナシで寝てたので。


◆睡眠の環境を整える

快適なV睡で一番重要なことはなにか?
ちゃんとベッドで寝ること。これに尽きる。

V睡が疲れる理由の大半はベッドで寝てないから。椅子で寝るのはNGだ。最低でも横になって体をリラックスできる環境でないと、人は眠っても疲れが取れないようにできている。
なのでV睡で快眠したい人は、まずベッドで寝られる環境を構築しよう

◇無線化

とはいっても、PCがベッドの真横にあるなんて好条件の人ばかりではない。そこで無線接続だ。無線でPCに繋げられれば、あとはベッドの近くに必要なのはコンセントだけ。一気に場所の自由度が上がる。
しかし無線接続は、Wi-Fiの電波環境に大きく依存する。電波が弱いと画面がガクガクしてとても不快。アンテナが3本立っていない場合は要改善だ。

ではどうするかというと、まずベッドがある部屋に有線LANを引いてきて、そこにWi-Fiアクセスポイントを設置してやるのがいい。同じ部屋で5GHzで接続すれば、ほぼ確実に無線接続は安定する。
自分も使っているこの機種は、モードを切り替えれば無線アクセスポイントとして使える。比較的安く、コンセントにも直挿しで使えておすすめだ。

いや、部屋に有線LANがきてなくて…という人は、見栄えさえ気にしないならルーターからLANケーブルを部屋まで這わせてしまえばよい。フラットケーブルだとドアの下の隙間から通せるので、ちゃんとドアも閉められる。

見栄えや同居人に配慮するなら、廊下の隅や壁をこうした配線隠しの中で這わせたりするのがお手軽。

ちなみに自分もPCルームと寝室が少し遠いので、PCから寝室まで有線LANを20m引っぱってAPを立てている。
(現在はWi-Fi 6Eで繋いでおり、安定して500Mbps出ている)

◇PCの近くで寝たいなら

ただ、今のHMDが有線オンリーだとか、V睡はたまにするだけだしそこまでは…という人は、PCの近くにこういう折りたたみベッドを設置するという手がある。

これも実際に自分がキャンプ用品として使っている一品で、想像以上に寝心地が良いし体も冷えない。収納すればコンパクトで、防災や車中泊にも使える。ケーブルや住環境の制約から、床や椅子で無理やりV睡してる民は検討してみてはいかが。

◇部屋を暗くして寝よう

実は部屋はキチンと暗くした方が睡眠にはよい。夜お手洗いに立つなどしてHMDを外した時、部屋の明かりがぱっと目に入ると一気に眠気が覚めてしまう。これではV睡が台無しだ。ただ、QuestなどのインサイドアウトのHMDは、部屋の電気を消すとトラッキングが失われてしまう
そこで、暗くてもトラッキングが飛ばなくなる赤外線ライトを部屋に設置する。

この赤外線ライトの設置位置は、試行錯誤の結果、視界外に設置するのが一番トラッキング精度が良いと結論が出た。自分が普段HMDを被っている時向いている方向に対して、背後&上方向に設置するのがベスト。
(ライトの位置を下図の3パターンで比較した結果、トラッキング精度が良かったのはパターン③だった)

(QuestなどのHMDは、赤外線で周囲の様子を見て、今どう動いているかを判断している。なので暗闇でも赤外線があればトラッキングできるわけだが、人間が電球を直接見ると目がくらむのと同じで、明かりを直接見てしまうとかえって周りが見えにくい。そういう理屈だと思う)

部屋のレイアウトにもよるが、カーテンレールなどに設置するとかなり都合がいいだろう。画鋲に引っ掛けて壁固定する手もある。
またトラッキングが安定しない場合、無地orパターン系の壁紙やカーテンでカメラトラッキングが混乱している場合がある。壁に「目印」となるポスターやTシャツをかけたりすると安定しやすい(自分もQuest Touch Proコンがトラッキング不安定だったのが直った)。

◇うまく空調を使う

V睡はヘッドセットという発熱源が頭の上に乗ってる。冬場はホットアイマスクなんて冗談も言えるが、夏場のV睡では当然暑さやムレが気になってくる。肌荒れや不快感の元なので、クーラーはちゃんと使おう。
ただガンガンにクーラーを効かすと体にもお財布にもよくない。そこでオススメなのがUSBの小型扇風機。仰向けに寝ている自分の頭のちょっと上にむけて、ヘッドセットをかすめるような風向きで置いてやると、うまく熱や湿気を運び去ってくれる(直風は肌や健康に良くないので避けよう)。

◇寝具にこだわる

睡眠なんだからここが一番重要に決まっている。「VR-HMDは寝具」とかうそぶいて20万使いながら、肝心の枕やマットレスが安物ってのはどういう了見だ。

と喧嘩を売るのもほどほどにして、V睡をするならぜひ買って欲しいのが抱き枕
これがあると、横向きに寝る時、ヘッドセットの重みを預けて寝ることができる。HMDがズレない上、仰向けに寝ている時のように顔にHMDの重みがかからない。これが楽。
普通の抱き枕でもいいが、個人的にマジでおすすめなのがこのりぶはあとの抱き枕、柴犬のコタロウ。この鼻がQuestの重みを預けて寝るのにちょうどいい高さ。そして肌触りと抱き心地がめちゃくちゃいい。添い寝している時に使うと最高の一言。

また、少し予算がかかるがマットレス検討の価値がある。特にV睡は横向き寝が多くて肩が痛くなりやすいし、寝返りが減るので体が蒸して寝苦さを感じやすい。
そこで自分はZinusのコイルマットレスはを使っている。寝心地も通気性もよく、通販専門で安い。せんべい布団は20代も後半になるとデバフがヤバいからさっさといいのを買おう。大丈夫、Haritoraより安いんだから。

また既に触れたとおり、PicoやViveといったストラップ交換が不可の機種なら、V睡用まくらのぶいすいーとスイフトと、横寝用のぶいすいーと Your Sideがおすすめだ。
いい寝具は腐らないので、VIVEトラッカーだのHaritoraXだの買う前にまず寝具にお金をかけよう



◆ソフトウェアを使いこなす

ここまできたら、現実世界側の環境はかなり快適になっているはずだ。というわけで次はVR側の環境を整える話をしよう。

◇まずは無線化

繰り返しで恐縮だが、無線化は優先度が高い。PCから離れてベッドで寝やすくなる、断線リスクの低減などメリットが目白押しだ。
無線化のソフトは、QuestならAir LinkPicoならPico Connectが無料で使えるし、最近はSteamLinkも登場した。しかし依然、おすすめするのは機能・安定性の両面でそれよりも一段上を行くVirtual Desktopだ。

ヘッドセットの電源が切れてもVRChatが落ちず、再接続で復帰できる安心感。接続やエンコードの安定性。デスクトップモードとの速やかな切り替え。有料だが、確実に3000円分の価値はあると保証しよう。
Virtual Desktopの導入、使い方については↓の記事から。

◇Quest 3のスリープ設定

次にとりあえずしておきたい設定が、スリープ時間の延長。
設定の「電源」から「ディスプレイ:オフ」「スリープモード」の時間を4時間に。これが短いと、V睡している間にQuest3の電源が落ちてしまい、接続方法によってはVRChatも落ちて悲しい朝を迎えることになる。

Quest 3の設定画面

同じくユーザーが多いPico 4/Pico 4 Ultraの場合はこれが最大5分なので、実はV睡すると切断されてしまいやすい。Picoユーザーの場合は、有料にはなるが切断されても復帰ができるVirtual Desktopを購入して無線接続にするのがいいだろう。

◇音量と画面の輝度調整

ヘッドセットの音量調整輝度調整機能も覚えておこう。音量と画面の明るさは、どちらも睡眠の深さや覚醒しやすさに大きく影響する。熟睡したいならこだわったほうが良いポイントだ。
音量はもちろんボタンで調整。輝度はQuest系だと左下のクイックメニューから調整できる。これは後述のOyasumiVRでも可能なので、導入している人はぜひそちらを使おう。

左下クイックメニュー⇒右上の明るさから調整

◇フルトラの代わりに睡眠ギミック

個人的な考えとして、V睡でフルトラは非推奨。小さなHaritoraXであっても寝る時は当然邪魔だし、快眠のために外せるものは外すべきだ
とはいえ、トラッキングが飛んで変な姿で寝ているのも気分が良くない。そこで3点トラッキングを前提に、睡眠ギミックをアバターに導入して寝る方法を推奨している。
3点トラッキング向けの睡眠ギミックは色々あるが、比較についてはこちらの記事がとても良くまとまっている。

おすすめの選び方は、
・無料で済ませたい⇒ ごろ寝システム
・Quest単機 or デスクトップ ⇒ VRC睡眠システム
・お手軽&多機能 ⇒ 可愛いポーズツール
・一番いいのを頼む ⇒ RBS SuiminSytem 2(らずべりー式)可愛いポーズツール

自分は当然「一番いいの」。RBSは姿勢に合わせて寝返りを打てるので寝姿がとても自然。コライダーのない場所でも使える上、様々な姿勢が取れる可愛いポーズツールと併用OKがアナウンスされている。極めつけにどちらもModular Avatar対応で導入も簡単と、この組み合わせは隙がない。

この辺のツールの使い方ノウハウは、こちらの記事も参考に。

調整は手間取るが、何回かやれば慣れる。OVR Advanced Settingsを使うと微調整がしやすいのでおすすめ。導入はこの記事を参考に。

◇寝姿を気にする

あとはアバター次第だが、表情固定で目を閉じられるギミックもあると嬉しい。目がかっ開いてると、傍で見ていて落ち着かないのだ。
たかが寝姿というなかれ。V睡という「雰囲気」が眠気を作る場では、そういう見た目上のカタチは結構重要になる。特に誰かと一緒に寝るなら見た目上スヤスヤ寝てる方が、見てる方も気持ちがいいんである。

こうして寝姿が綺麗になったらぜひやってほしいのが「自分の寝姿がミラーで見えるようにして寝る」。VRというのは催眠に近いので、「鏡の向こうの自分が寝ている」様子が目に入ってくると、自然と眠くなってくるのだ。
ベッドミラーがワールドにあれば積極的に使い、そうでない所でもVRChatの標準機能である「Personal Mirror」を使えばOK。これでどこでもスヤスヤだろう。

◇OyasumiVRでV睡は進化する

そして、アバターギミック以外で必ず導入して欲しいツールが「OyasumiVR」だ。

これは入眠を検知して各種設定を自動で変更してくれるソフトで、例えば、

  • ナイトスライダー不要でいつでも画面の明るさを調整できる

  • 本格的に寝落ちしたらマイクを自動ミュート

  • 特定のフレンドのリクインを自動承認

など、V睡用の機能が満載。VRChatの中からもオーバーレイで起動できてとても使い勝手がよい。無料ツールなので、気に入った人はぜひ作者のRaphiiさんにPatreonで投げ銭をしておこう。
またPCの電源(節電)設定もあり、V睡の電気代が30%ほども安くできる。節電設定と効果についてはこちらの記事をどうぞ。

そしてOyasumiVRの機能で安眠で特に重要なのが、画面輝度を落とす機能。
VR睡眠で睡眠の質が悪い原因の一つが、画面が明るいこと。寝る時はちゃんと暗くして寝るのは思った以上に大事で、途中で目が覚めた時も寝直すのが難しくなる。特にQuest系やPico系は液晶ディスプレイのため画面が明るい。安眠のためにこれは絶対に使おう

設定しておくべき項目だが、まずはSteamVRとセットでの自動起動。これはSteamVR⇒設定から「スタートアップオーバーレイアプリを選択」でオンにできる。
VRChat内でオーバーレイを起動する方法はジャンプボタン2回。手動での睡眠モードONや画面の明るさ調整ができる。

次に明るさの自動化睡眠時:40%起床時:100%としておこう。寝落ち検出 or 手動での睡眠モードONで自動的に暗くなる。これで寝落ちしても安心。

またもう一つ、指定時刻での無効化設定を設定しておくと、朝が来た時にあたかも朝日が差し込むような具合に画面輝度が上がり、自然と目を覚ましてくれる。目覚ましの15分くらい前に設定しておくとよい。

他にも様々な設定があるので、ぜひベストな安眠設定を探ってみて欲しい。



まとめ

さてここまで見てきた『完全V睡マニュアル』。いかがだっただろうか。
大層なタイトルだが、まとめるとちゃんとベッドで寝よう。画面と部屋をちゃんと暗くしよう。外せる物は外そう。いい寝具を買え。である。
ならまずその頭の変なのを外せ、という指摘はごもっともだが聞かなかったことにする。

総合的に見て、やはりQuest3はV睡に向いている。
面倒が少ないインサイドアウトのトラッキングな点。VDで無線化可能で寝る場所を選ばない点。消耗しやすいケーブルが安い点。メジャーな機種で、ヘッドストラップなどアフターパーツが充実している点。
登場から2年半だが、いまだにこれを超えるV睡向けヘッドセットはないし、もし今のQuest3が壊れてもきっと買い直すだろうと思う。

そしてQuest 3とともに2年半の試行錯誤を重ねてきた今の睡眠環境は、一つの「答え」だと思う。他のHMDを使う人にも役に立つところが必ずあるし、きっと将来もっと優れたHMDが出てきても役に立つだろう。
これを読んだあなたが、何かそういう「V睡の勘所」を見つけられたなら、この記事を更新し続けた意味もあったのだろう。

ただ最後に念のため。
VR睡眠するよりは普通に寝たほうがいい。自分は環境が整っているので大丈夫なだけで、VRヘッドセットを被って寝るのはデバフ前提。寝心地の良い環境でないなら、頻度はほどほどにしないと体に悪い。お酒や煙草と一緒だ。

それでも、フレンドの「おはよ~」という書き置きで心が温かくなる瞬間や、起きた時に誰かが目の前にいてくれる嬉しさ。
あるいは、自分の好きな美しいワールドに包まれて寝る心地よさ、誰かといるパブリックな場所が睡眠というプライベートな時間と混じり合うメタバースならではの自由な可能性
そういったものを確かに感じさせてくれる不思議なV睡の魅力を、ぜひ一緒に世界に広めていってほしい。

では、用法用量を守ってよいV睡ライフを。

以上!

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P.S. 毎週木曜日24時~27時にV睡ができる睡眠バー『Baby's Breath』というイベントを開催しています。興味がある方はぜひXのフォローグループSBBB.0289へご参加ください。
V睡について聞いてみたいことがあれば気軽に聞いて下さい。

では、どこかの睡眠ワールドでご一緒しましょう

著者近影

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