V睡まくら「ぶいすいーと Your Side」を年200日V睡する人がレビューする
V睡用枕というまことニッチな製品を意欲的に世に出しているROOX様から、新製品の枕が出るという。
先日「ぶいすいーと スイフト」をレビューさせていただいた直後に話を聞き、ワクワクしていたところ、ありがたいことに今回も製品を提供いただける運びとなった。
というわけで今回は、この横寝対応をうたうV睡枕、「ぶいすいーと Your Side」をレビューしていく。なにしろV睡のことなので、今回も忖度なしでレビューしていく。ぜひ参考にしてほしい。

◆特徴と長所
さて、この「ぶいすいーと Your Side」(以下Your Side)の最も重要な特徴は、なんといっても横向き寝でのV睡に対応している点。そもそも睡眠という使い方を想定していないヘッドセットにとって、こうした枕側のサポートがどれほどありがたいかは、前回の「ぶいすいーと スイフト」のレビューでも触れた通り。
参考として引き合いに出すと、前作「ぶいすいーと スイフト」は、そもそも不安定なヘッドセット装着状態を、枕の凹形状で突起部を受け止めて左右から支えることで安定化。またヘッドセットの重量自体もストラップを介して受け止めることで、締め付けを大幅に緩められるのでV睡が快適になる。そしてこういうなぜV睡が快適になるか?のポイントは「スイフト」も「Your Side」も同じ。

よって今回のレビューでは、Your Sideが横向き寝(側臥位)でのV睡をどれだけ快適にしてくれるか…特に「不安定さ」「圧迫・締め付け」といった疲労要素をどこまで減らせるかに注目していく。
ではそもそもYour Sideはどのようにして「横向き寝に対応」しているのか?横向きに寝る際に邪魔になるヘッドセットの部位は大きく分けて三つ。
前方張り出し:表示部、バッテリー(一体型)など
側方張り出し:ストラップ、ヘッドホン、ツル部分など
後方張り出し:バッテリー(分離型)、調整ダイヤルなど

通常の枕で寝ようとした場合、①③はストラップを締めると圧迫や蒸れが不快感を招く。かといってストラップを緩めるとヘッドセットが不安定になってズレ、視界のぼやけや、局所的に重量がかかる、擦れるといった問題が生じる。重量物が端によっている構造だからこれはどうしても起こる。
②は寝るのに邪魔なのは当然として、形状によっては頭+ヘッドセットの重量が左右のストラップ部に集中し、破損する可能性がある。特に交換不可な一体型HMDでは気を使う点で、これを避けようとすると姿勢が限られ寝苦しくなる。
Your Sideはこれを、「独特の形状」と「素材と厚みによる柔軟性」の2つによってクリアしている。順番に見ていく。
特徴① 独特の形状
まず前者「独特の形状」。写真を見てもらうと分かるが、Your Sideは全体的に中央部が緩やかに凹んだ形をしている。これが①③のHMD前後部張り出しを、上手い具合にフィットして支える。すると重量が逃がせる分、ストラップの締め付けも緩めることができ、圧迫感や蒸れが改善される。

そうなると心配なのは型崩れだが、ここは後述の高機能素材でカバーしているものと思われる。ROOXもここは懸念しているらしく、HPには「時々外で干して、叩いて形を戻してあげましょう」と記載されている。
しかしVRヘッドセットの形状は千差万別で、側方の張り出し方も機種ごとに大きく違うし、そもそも個々人でも頭のサイズ(=前後長)によってぴったりなカーブは違う。
こうした相性問題をクリアしているのが、もう一つの特徴になる。
特徴② 素材と厚みによる柔軟性
Your Sideは、帝人の高機能中綿素材「フワリーヌ」を、さらに20cm以上という極厚サイズに詰め込むことで機材・個人差を吸収できる変形幅を確保している。
実際、本体は枕というよりしっかりしたクッションのような柔らかさと適度な弾力があり、ヘッドセットの突起をすっぽり飲み込んでくれる。先程の模式図で出来ている枕とヘッドセットの隙間を、枕が変形してホールドしてくれるのだ。
実際に手持ちのQuest3・Quest3S+ストラップ数種(後頭部に予備バッテリーがあるタイプも含む)、そして一体型のPlay for Dream MRなどで試してみたが、どの機種でもピタッとフィットした状態で横寝できた。特に側頭部のストラップが結構剛性が高いPlay for Dream MRは正直壊さないか心配だったが、全く問題なく包みこんでくれた。
ヘッドセットの重量をほぼ全て枕に預けられるので、なるほどこれは快適。ヘッドセットがYour Sideの上に「自立」しているこの写真を見れば、どれほどの安定感か分かるだろう。

特徴③ 微調整の余地
また「Your Side」にはもう一つ調整しろがある。横寝の「角度」だ。
これも図で見てもらうのが分かりやすい。枕のカーブに沿って左右方向に頭の置き位置を変えると、HMDの仰角・俯角が微妙に調整できる。①③の前後部の張り出し具合が特殊でも、うまくバランスが取れる。

というわけで「ぶいすいーと Your Side」は、「不安定さ」「圧迫・締め付け」といったV睡の疲労要素を、実に上手い設計で取り除いているといえる。ヘッドセットの形状を選ばない点では「ぶいすいーと スイフト」以上だろう。
また枕カバーを外して洗濯できるという当たり前の衛生管理ができる点や、カバーの肌触りの良さ、良質な中綿素材ゆえの通気性の良さといった地味な部分にも、個人的には大きなプラス評価を与えたい。
◆不満点
しかしやはりこの設計ゆえの欠点もまた確実に存在する。
弁護しておくと、そもそもヘッドセットを装着したまま寝ること自体、通常の睡眠より寝心地はマイナスになる。ぶいすいーとはそのマイナスを緩和してくれるが、決してプラスに戻すことまではできない。なので多少の諦めも必要なことは踏まえつつ、ここは読んでほしい。
不満点① 寝返りが打ちづらい
まず難点の一つは、やはり寝返りが打ちづらいことによる疲労だ。
ヘッドセットが自立するくらいぴったりフィットして支えてくれるということは、裏を返せば身動きがとりづらいということでもある。疲労を減らすために締め付けを緩めればなおさらで、寝返りを打とうとしても、ヘッドセットが付いてこず頭だけ中途半端にもぞもぞすることになる。
この寝返りが打てない点は「ぶいすいーと スイフト」とも共通の欠点だが、そもそもヘッドセットをつけて寝返りは打ちづらいし、不安定だと疲れるからこれらの製品があるわけで、ここは諦めるしかない。
一応、一度位置がキマってしまえばほぼ動けないスイフトと違い、よいしょ、と完全に頭を浮かせて反対を向けば寝返りは打てるので、そういう意味で自由度は改善しているともいえる。

なお寝返りには、同じ箇所が圧迫されることによる血流悪化を防いだり、こもった熱を逃したりする意味がある。体重分散のいいマットレスや、通気性の良い敷きパッド、空調などをきちんと使えば問題は、寝返り問題はある程度緩和できるだろう。
不満点② 枕の高さ
もう一つ、この製品の評価を難しくしているのが、枕の高さだ。
「Your Side」は極厚の中綿を使う関係上、厚みが中央部で13cm、外縁部で19cm(いずれも2ヶ月弱使った後の実測値)とかなり分厚い。一般的に側臥位に適するのは厚みが10−13cmの枕とされていて、装着しているヘッドセットによる嵩上げも加わると、凹型の形状を差し引いても、少し高いと感じる人が多いだろう。
実際自分は柔らかめのマットレスを使っている&高枕が苦手なのもあり、寝起きに首が痛くなった。ただ、ここは個人差やマットレスとの相性も大きい点はエクスキューズを入れておく(詳しくは後述)。
じゃあ高枕派以外は使えないのか?そうでもない。解決方法はある。
肩口にバスタオルを折って敷くのだ。こうすると枕との段差が緩和されるので、高い枕が合わない人でも比較的快適に眠れる(眠れた)。ぜひタオルの厚さを調整して試してほしい。

実際こうした段差を付けた一体型の枕も販売されているので、割と実績のある方法。
さて、マットレスとの相性についても触れておく必要がある。
マットレスが柔らかいと(特に側臥位では)沈み込みが大きいので、枕は低い方が合う(実際、自分は標準の10-13cmに対してより低い9cmの枕を使っている)。だがマットレスが硬いと逆に高枕の方がしっくりくる。適切な枕の高さはマットレスでも変わるのだ。
横向き寝を前提とするYour Sideでも同じ問題が起きる。硬いマットレスやせんべい布団なら、何も心配はいらないし、むしろ「ぶいすいーと Your Side」はぴったりだろう。
自分のように柔らかいマットレスの場合だが、これも実はタオルを敷けば調整できる。タオル、あるいは薄い枕でもいいが、肩口に敷くと体重が分散してマットレスへの沈み込みが減る。結果、高枕への適性が上がるわけである。買ったけどなんか合わないな…という人はぜひ試してほしい。
参考までに、自分は普段V睡で使っている枕(仰向き/横寝兼用。肩枕付きで高さ9cm)を肩口に敷くくらいでぴったりだった。マットレスは厚さ30cm のポケットコイルで、少し柔らかめ。肩幅は43cmと平均程度である。
とまあこのように、そもそもからして枕の高さは個人差・環境差が大きい製品で、合う合わないがどうしても出る。Your Sideは高枕なのでなおさらで、タオルを敷いて調整するなど、ちょっとした調整が必要な可能性があることは頭に入れておいてほしい。
…まあ本来、最初から高さが自分に合う製品を使うべきなのだが、そもそもV睡用なんてニッチな製品が出ている事自体が奇跡なので、ここはぴったりならラッキーくらいの気持ちで買うべきだろう。
なお、ヘビーユーザーのフレンドいわく「2ヶ月毎日使ってると真ん中が凹んできて高さが減ってきた」とのこと(毎週日干しはしているそう)。というわけで、数ヶ月も使えば若干のヘタりで高さはいい塩梅になってくるらしい(当人は高枕派なのでヘタり分はタオルで嵩上げしているそうだが)。
ちなみにROOXの担当者の方からも、ヘタリを考慮して少し高めにしているとの話を伺っている。長期使用もちゃんと考えた製品で好感が持てる。
最後に。仰向けで寝るのはかなり難しい、というか避けるべき。
「スイフト」の記事で解説した通り、健康的な睡眠には頸椎アーチがゆるやかに上に凸になる必要があり、妥当な枕高さは5-7cmとされる。Your Sideは低い部分でも13cmあるので、これは健康上問題がある。横寝専用で使うのがベターだろう。

◆まとめ
総評として、若干合う合わないの個人差はあるものの、そこは調整可能で、V睡用枕として十分実用的な製品といえるだろう。
高枕なため、個人差・環境差に合わせてタオルを噛ませたりなど調整が必要な点は注意すべきポイント。特に柔らかいマットレスを使っている場合は首に負担がかかっていないかチェックすべき。
だが衛生面や通気性、触り心地などは好印象で、何よりV睡の醍醐味でもある横向き寝での添い寝が、幅広いVRヘッドセットで安心してできることは大いに評価できる。一緒に寝ようよ派の人には他では代え難い価値がある。
一方、自分を含む一人寝派に勧めるなら「ぶいすいーと スイフト」とは甲乙つけ難い。スイフトも、ココ!とぴったりポジションがハマる感じや、コンパクトな点(V睡専用のサブ枕なのだから省スペースなのは嬉しい)など、手軽さの面でかなりポイントは高い。

この辺り、Your Sideは人によっては肩枕などの調整が手間、大ぶりでスペースをとるなどのマイナスもあるが、一方で衛生面や寝返りが一応打てるなど、枕としての当たり前性能で優る。正直ここは好みの領域。
まあYour Sideは極厚なのが幸いしてクッションと十分言い張れる。最悪腐らないと考えれば、迷うならこっちから買ってもいいかもしれない。
購入はこちらのページから。
というわけでレビューは以上。
皆さんも用法要領を守って素敵なV睡ライフを!
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