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【デジタル時代のリスキリングの大本命】論理思考その2 原因と結果とコンビニの都市伝説

※論理思考その1を見ていない人はこちら

因果関係は、原因と結果の関係であり、理由をきちんと説明しようということである。人間は理由がわからないと、納得しない生きものである。子どもは小さい頃から、「なんで? なんで?」を繰り返すし、「みんなSwitch持ってるよ。だから僕にも買って」と理由を納得させると、それが行動につながることを本能的に知っている。

さらに、小学生の作文の書き方に「いりたま」の法則というのがある。「意見」「理由」「体験」「まとめ」の頭文字をとったのもので、この順番に書くと説得力の高い作文が書けるというやつである。
2つ目に「理由」が出てきており、「理由」をきちんと説明することの大切さは、論理性を問われる作文でも主張されている。
なお、「いりたま」中の「意見」と「体験」は、抽象と具体のイコールの関係になっているのも見逃せない。なかなかいい法則である。

因果関係と近い意味の言葉として、相関関係がある。この2つの言葉の使い分けは、論理思考力を高めることおよび、投資を本質的に理解することの2つの観点で重要である。

下記図の下部に因果関係と相関関係の関係をベン図で示している。

因果関係と相関関係

これを見るとわかるように、因果関係は相関関係に完全に包含される。これより示唆される重要なことは以下の2点である。

1.相関関係が成り立つが、因果関係が成り立たない領域があること
2.相関関係は、因果関係が成り立つための必要条件であること

1がよくビジネスの現場で誤った解釈による混乱が生じる原因となっている。具体例を挙げよう。これは、コンビニの都市伝説のひとつである。

あるコンビニの店長「今日は肉まんの売れ行きがいいから、客数は厳しいぞ」
その店の店員「たしかに、過去の記録を見ると、肉まんが売れている日は、例外なく客数が少ないですね」
店長「肉まんは客数を落とす元凶なんだよ。もういやんなっちゃうな。肉まん置くのやめようかな」
店員「オペレーションもラクになるんで、賛成です!」

この会話の何がおかしいだろうか? 肉まんの売れ行きと客数は負の相関関係にある。ここまではOK。

では、肉まんが売れることは、客数が減ることの元凶(=原因)なのか? ここが×である。もし本当にそうなら、すべてのコンビニエンスストアで肉まんを置き続けることはあり得ない。

では、肉まんの売れ行きと客数の負の相関関係は何で説明できるのか? このケースは、おそらく別に原因があり、その原因が肉まんの売れ行きと客数減にそれぞれ影響していると考えられる。たとえば、気温である。気温が低いと肉まんが売れる。気温が低いと、外に出るのが面倒になるので、客数が減る。同じ気温という原因に影響された結果同士に相関関係が生じているのである。

これ以外にも、よくあるのが営業くれくれ問題が挙げられる。営業の数と売上に相関関係があり、うちの部署は営業が少ないから売上が上がんない、もっと営業の数を増やしてくれといった主張である。営業の数が原因で売上が結果、というロジックである。

「営業増やせば売上が必ず上がるんなら、喜んで営業増やすけど、それ本当?」と私が経営陣なら問うであろう。「まず売上上げてみろよ。そしたら営業増やしてやるから」これが経営陣の自然な発想であろう。

これは原因と結果の向きが反対のケースである。時系列のグラフを書くと、このケースでは、売上の変動が営業の数の変動に先んじて起こっている。

以上のような例を参考に、相関関係があるからといって、それを安易に因果関係に拡大解釈しないことを意識してほしい。

ここで論点になるのは、では因果関係があるのはどうやったらわかるのか、である。結論からいうと、以下の3点を満たすことである。※Aが結果、Bが原因とする

1.AとBに相関関係がある。
2.AとBに時間的な順序関係がある。Bが変化したあとに、Aが変化する。
3.B以外の原因と考えられるものはAと無関係である。無関係とは、相関関係がない、もしくは時間的な順序関係がない、ということ。

問題は3である。さらっと書いてあるが、よく読むと実質的に証明が不可能なことを主張している。

原因にはさまざまなものがある。たとえば、先述したコンビニの都市伝説のケースで、肉まんの売上に影響を与えるものとしては、気温以外にも、たまたま近くでイベントをやっていたとか、隣のコンビニで肉まんが売り切れていたとか、肉まんパーティーを計画していた人が大量買いしたとか、無限に原因の候補は考えられる。これらすべてが無関係であることを1つひとつ証明しないといけない。それは普通無理だろう。

こんなことをいっていると話が進まないので、普段の会話の中では、ある程度の確からしさがあるなら、それが原因だということで話を進めるのがいいと思う。

ただ、ビジネスはそうはいかない。結果を出すために、原因に対してアクションをするのがビジネスの基本であり、手を打ったあとで、実は因果関係がありませんでした、では通常は済まされない。

それでは、厳密に因果関係があることを証明する手段があるのか? 答えはYESである。それがABテストである。ABテストは、ランダムにサンプリングした2つのグループを用意し、因果を証明したい条件のみをグループ間で変えて、実際にテストを行い検証する手法である。Webマーケティングではよく使われ、たとえばバナーの色のみを変更して、クリック率という結果と、色との因果関係を検証するといったケースである。

ただリアルビジネスでは、なんでもかんでもABテストができるとは限らない。ABテストができない場合は、原因追及に最善を尽くした上で、最終的には自身でリスクをとって因果関係を主張することになる。この、最善を尽くした上での勇気が大変重要である。

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