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奥多摩で見たものが、残る記録になった

短報ノートの投稿から公開までの間は時間がゆっくりと流れていた。
リジェクトされる不安を持ちつつ、2週間ほど進捗状況をチェックせずにいた。
気持ちの余裕がある頃にふと状況を見てみると、既に公開されていた。
しかもダウンロード数が2桁になっていた。
ホッとした、ネガティブな感情に支配されていた心がほころんでいった。

観察のきっかけ

最初は霊長類に興味があり、自然観察をするようになった。
ニホンザルの観察も長年続けていた。
しかしながら同じ対象・場所で長年観察を続けていると、
思い込みや軽く流してしまうことがある。
今回も流れるように移動するサルの群れをただ眺めているうちに、
ふとした違和感を覚えた。
モミノキのような木にぶら下がり、サルが何かを食べている。
しかも1頭だけではない、子供、若メス、大人オスへと続いた。
サルたちが立ち去るまで、そっとビデオをまわした。
そしてサルたちが食べていたものを確認した。
それはイチイという常緑針葉樹で、秋に実る赤い実(仮種皮)は、食用にできる。
但し、種子には有毒のタキシン(taxine)が含まれており、飲み込むと中毒を起こす。
10年以上も利用していた駐車場内にイチイの木があること、
イチイという樹木のことも、このとき初めて知った。

短報ノートになるまで

ニホンザル×イチイの事例について調べてみると、志賀高原と金華山では見つかったが奥多摩町ではなかった。
そもそもイチイの木がニホンザルの生息域で自生している事例が少ない。
イチイの実を採食する論文も野鳥が多く、他の生き物はごく僅かだった。
短報ノートを書きながら、公開までいきつけるかの不安、思い入れがあるニホンザルの投稿ができる喜びが入り混じっていた。
投稿までは順調に進んだが、公開までは約2ヶ月がかかった。
周囲には、何をやっているのか分からない、何が楽しいのか理解できない、そんな反応もあった。
数少ない応援者から貰った激励は嬉しかった。
「頑張ったが、形になるかわからない」と弱気な私に、
「あなたのやっていることは形に残すべきだ。
 楽しみにしているんだから、いくらでもチャレンジしなさい。」
と背中を押された。

公開された短報ノート

「東京都奥多摩町におけるニホンザルのイチイ果実採食行動の一事例」
DOI: https://doi.org/10.51094/jxiv.2706
東京都奥多摩地域にてニホンザルが種子に有毒物質を含むイチイの果実を採食していた記録である。

今後について

今回の短報ノートはニホンザルがイチイの実を食したという事例のみだった。
有毒物質を含む種子を飲み込んでいるのか、
糞に排出されるのか、
実成の季節以外にイチイを利用しているかなど継続観察をしている。
これらの内容が次の短報ノートに続くことを願っている。

その他の観察記録:

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