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【居酒屋議論】酒の前でしか起きない、判断の同期

別記事に書いたが、noteで知り合った人と、
地獄谷で「居酒屋議論」をした。
初対面だったが、不思議なほど話が早かった。
その夜、ひとつはっきりわかったことがある。

あってしばらくして、お互いのアイデアややり方について、遠慮なく口を出していた。
「それ、もう誰かやってそうだよね」とか、「正直、儲からなさそう」とか。
初対面で言うには、少し踏み込みすぎた言葉だったと思う。

でも、空気はまったく悪くならなかった。
否定された感じもなければ、説得しようとしている感じもない。
「それでもいい」「それでもやりたい」という話が、そのまま続いていった。

なぜ、初対面なのにあんな会話ができたのか。
仲良くなろうとしたわけでも、距離を縮めようとしたわけでもない。
むしろ、その逆だった気がする。

相手を説得しようとしていなかったし、
自分の考えを理解してもらおうともしていなかった。
ただ、思ったことがそのまま口に出ていた。

酒の場という場所も大きかったと思う。
正解も評価もなく、考える「間」もない。
言葉を整える前に、判断だけが先に出る。

だから、意見がぶつかっても拗れなかった。
「違うね」で終わらず、
「それでもやる」「それはやらない」が、その場で見えた。

会社では、あの会話はまず起きない。
言葉を選び、順序を整え、
「それを言っていいか」を一度考えてから話す。

“山籠り”でも、まだ少し難しい。
考える時間は十分にあるけれど、
その分、ちゃんとした問いや、ちゃんとした言葉を探してしまう。
結果として、判断は胸の奥に残ったままになる。

酒の場では、そのどちらも起きにくい。
正解を出す必要もなければ、
評価される場でもない。
考える前に、もう会話が先に進んでいる。

だから、
「それはやらない」
「それはたぶん違う」
「でも、これはいい」
といった判断が、理由より先に表に出る。

この感覚を、うまく言葉にするとしたら、
「判断の同期」だったと思う。

意見が一致していたわけじゃない。
アイデアの評価が同じだったわけでもない。
でも、
「やるか、やらないか」
「進むか、引くか」
その判断の速さと置きどころが、自然と揃っていた。

だから、
「もう誰かやってそうだよね」
「正直、儲からなさそう」
といった言葉も、否定にならなかった。
相手の判断を変えようとしていないからだ。

「もう決めているなら、やるんでしょ」
そんな言い方が成立するのも、
判断がすでに同期していたからだと思う。

居酒屋議論は、
理解し合う場でも、仲良くなる場でもない。
お互いが、どこで判断している人間なのかを、
短時間で並べて確認する場だ。

たぶん、これが起きるのは居酒屋だけだ。
会社では立場が入り、
山籠りでは思考が入りすぎる。
判断だけが、そのまま出てくる場はほとんどない。

アイデアを磨いたわけでも、
将来の計画を立てたわけでもない。
判断が同期していた、それだけなのだ。

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