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[214]【実例②】休んでいる時より、夢中の方が心は軽い。25年ぶりに漫画を公開したとりはらさんの「本人史上最小摩擦」をmckで読む


これは、目に見えない心の動きを可視化して、
「構造」「理屈」で心の揺れを紐解く試みです。

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「なんでこんな質問で、そこまで分かるの?」
問いはシンプル。
でも、測っている場所は深い。
まずは試してみてください。
※診断後、コメントに「詳細解析希望」と添えてください。
ここから先は、ちょっと不思議です。楽しんでください。



夢中とは、心の燃費がよくなる状態


こぐまパパです。

あなたが何かに没頭しているとき、
夢中になっているとき、
心はどんな揺れ方をしているのでしょうか。

見てみたくありませんか。

それは、
無理に力を入れているのではなく、「自然に整ってしまう」状態。

心の燃費がよくなり、
少ない摩擦で、集中して、深く動けている状態です。

子どものころは、
もっと簡単に夢中になれていました。

でも大人になるにつれて、
義務や責任、役割が増えていく。
その中で、
夢中の入口を忘れてしまっているだけなのかもしれません。

夢中を追求することは、ただ好きなことを探すことではありません。
本来の自分の心の性能を知り、
それを使い切って、

生きている感じ
自分を使えている感じ
ゾーンやフローに近い感じ

その感覚に近づくための、
心の運転条件を見つけることなのだと思います。

同じ人でも、
心の運動は一つではありません。

公(パブリック)の自分。
私(プライベート)の自分。
夢中の自分。
・・・・・・

その心の揺れ方の違いを、
数値・理屈・構造で説明できるのが、mck診断です。

前置きが長くなりましたが、
今回の心の揺れの実例は、前回に引き続き、とりはらさんです。
とりはらさんは、20代で少女漫画家としてプロデビューし、その後、長く漫画から離れていました。
そのとりはらさんが今回、25年ぶりに漫画を完成させ、公開されました。

▼とりはらさんの記事はこちら

前回の記事では、とりはらさんの「公(パブリック)」と「私(プライベート)」の心の揺れを数値と体感から読み解きました。


前回までの整理――公では整う。私では重くなる。

とりはらさんは
公(パブリック)では整う。人前では感情を荒立てず、確認し、役割の中で動ける。
私(プライベート)では重くなる。一方で、家に戻ると自分との約束だけでは、動き出しが重くなる人です。

そしてそのmckの診断数値が、驚くほど、とりはらさんの体感とも一致していました。
ここまでが、前回までの内容です。

では、とりはらさんが、漫画に向かっているときは、心はどう動いていたのか。
ここからが、今日の本題です。

とりはらさんは、漫画を描くことについて、
今描くのは楽しい。
10代の頃に戻ったみたい。
そう話してくださいました。

今日は、とりはらさんの夢中時mckを見ていきます。
とりはらさんの場合、漫画に向かっているとき、心の運転が変わっていました。


漫画に向かったとき、心の運転が変わった

夢中時mck――mは下がり、cは残り、kは作品へ向かう

とりはらさんの夢中時のmckは、こうでした。

漫画に向かっているとき。
m = 2.50
c = 4.13
k = 3.00
タイプは、②柳に風タイプ

まず、mについてです。
公(パブリック)は2.70。
私(プライベート)は3.40。
夢中時のmは、2.50。

漫画に向かっているときのとりはらさんのは、
公(パブリック)よりもさらに軽く、私(プライベート)よりもはっきり軽くなっています。
始動抵抗が明らかに下がっています。

ここに、とりはらさん本人も長く引っかかっていた構造があったのだと思います。
休めば動けるわけではない。
時間があれば始められるわけでもない。
自分との約束だけでは、火がつきにくい。
でも、漫画に接続すると、mは2.50まで下がる。
とりはらさんに必要だったのは、もっと気合いを入れることではなく、もっと休むことでもありませんでした。
夢中へ入る入口を持つことだったのだと思います。

次に、cです。
公(パブリック)は4.75。
私(プライベート)は4.00。
夢中時のcは、4.13。

夢中時のcは、公(パブリック)ほど高くはなく、
私(プライベート)より少し高い値でした。
この状態は、
仕事場のように、気を張りつめて心を整えているわけではなく、
だからといって、家の中で安心しきって、ほどけきっているわけでもない。
心を整える力が、ちょうどよく創作に残っている状態と読めます。

同じ「心を整える力(c)」でも、とりはらさんの中で、使い道が違っています。
公(パブリック)では、「壊れないために必死にブレーキを踏む」状態から、夢中時では、作品を形にするために「自然に整ってしまう」状態へ移行しています。

次に、kです。
公(パブリック)は3.50。
私(プライベート)は2.50。
夢中時のkは、3.00。

夢中時のkは、公(パブリック)ほど高くはありませんが、私(プライベート)より高い値です。
とりはらさんは、漫画に向かうと、作品の違和感を拾う力が上がるのです。
ただし、公(パブリック)のように他人へ向かう感度ではなく、作品へ向かう感度が上がります。
この場面は少し違う。
この流れはまだ弱い。
この表情をもう少し決めたい。
この空気をちゃんと出したい。
この見せ方なら、読者はこう受け取るかもしれない。

夢中時のkは、自分を削る刃ではなく、作品を磨く刃になっていました。

夢中摩擦係数が、本人史上「最小」になった

そして今日、最も注目すべき夢中摩擦係数m×k÷c)の値です。
この数値が小さいほど、心の内部摩擦が少ないという意味です。
とりはらさんの夢中摩擦係数はこうでした。

公(パブリック)は、1.99。
私(プライベート)は、2.13。
夢中時は、1.82。
夢中時が、一番低い
漫画に向かっているとき、とりはらさんの心は、本人史上、最も内部摩擦の少ない運転に入っていました。

※夢中摩擦係数 = m × k ÷ c について

mは、動き出しの重さ。
kは、違和感を拾う力。
この2つを掛け合わせた m×k は、心の中で「引っかかり」が生まれる量です。

つまり m×k が高いほど、
重い。
気になる。
考える。
止まる。
という摩擦が起きやすくなります。

cは、心の揺れを整える力です。
cが高ければm×kで生まれた
「重い」
「気になる」
「引っかかる」
という反応を、進めるための力に調律することができます。

だから、m×kcで割ります。

cが高ければ、心の内部摩擦は小さくなりやすい(=夢中摩擦係数は小さくなりやすい)。
cが低ければ、重さや違和感がそのまま心に残り、摩擦が大きく止まりやすくなるのです(=夢中摩擦係数は大きくなりやすい)。

夢中時が、本人史上最小。
夢中には、再現できる条件があるのかもしれません。


夢中とは、心が対象に接続し、内部摩擦が下がる状態

僕は、ここに一つの心の法則があると見ています。

夢中摩擦係数が下がるのは、偶然ではない
とりはらさんだけに起きた特殊な反応でもない。

夢中とは、心が対象に接続し、内部摩擦が下がる状態
です。

私たちの心には、常に
m(慣性)
c(調律)
k(復元)
の力が働いています。
そして、何かに夢中になる時、心の力の向きが変わる。
mは下がる。
動き出しの重さが軽くなる。

kは対象へ向かう。
違和感を拾う力が、自分を責める方向や、他人の評価を気にする方向ではなく、作品を直す方向へ向かう。

cは、動きを止めるブレーキではなく、進みながら自然に整える力として働く。
だから、夢中摩擦係数m×k÷c)は下がる。

夢中摩擦係数が低いということは、
その人の心の中で、重さ(m)・感度(k)・調律(c)が噛み合っているということです。
夢中時は、自己監視、他人の目、評価への不安といった「雑音(ノイズ)」が減り、極めて澄んだ心の運動状態に入るのです。

もくもく作業会は、夢中への入口設計だった

とりはらさんの代名詞のようになっている、もくもく作業会。
とりはらさんは、4月にほぼ毎日、もくもく作業会を開いていました。
現在も盛んに開催されています。

最低でも1日1時間は作業する。
その積み重ねで、漫画は完成まで進んでいきました。

僕は、このもくもく作業会を、単なる作業時間の確保とは見ていません。

これは、夢中への入口設計だったのだと思います。
私(プライベート)のとりはらさんは、m = 3.40(大)
安心してほどけると、動き出しが重くなる。
自分との約束だけでは、火がつきにくくなる。
自分の意志だけで毎回エンジンをかけようとすると、重い。

つまり、私(プライベート)では、点火装置が外れやすい。

だから、とりはらさんは、自分で点火装置を作った。
それが、もくもく作業会だったのだと思います。

もくもく作業会は、公(パブリック)のような強い外圧ではありません。
怒られる場ではない。
評価される場でもない。
作品を審査される場でもない。

でも、完全な私(プライベート)でもない。
時間がある。
場がある。
誰かがいる。
始める理由がある。
この軽い外部構造が、夢中への入口になっていました。

公(パブリック)ほど張りつめない。
私(プライベート)ほど安心しきってほどけない。
その中間に、火がつきやすい場所を作ったのです。

そして、いったん漫画に接続すると、夢中時のmは2.50まで下がります。
私(プライベート)ではm = 3.40。
夢中時ではm = 2.50。
つまり、最初の点火さえ越えれば、漫画に入ったあとの心は軽くなる。
もくもく作業会は、その最初の点火を助ける装置だったのだと思います。

とりはらさんには、以前まで、こんな感覚があったそうです。
「人目や外圧を使って動くことは、どこかずるい」
自分ひとりで始められない。
外の力がないと動けない。
予定がなければ、平気で11時まで寝てしまう。
でも、バイトの出勤には遅刻したことがない。
できないわけではない。
それなのに、自分ひとりのことになると動けない。

とりはらさんは、ずっとそこに引っかかっていました。
でも、自分の心の性能を見ていくうちに、とりはらさんの認識は変わっていきました。
「扱いにくい機体なら、それなりに操縦すればいい。」

「外部の力を使う自分はずるい」
ではなく、
「外部の力を設計できる自分は、自分の機体を分かってきている」
そう変わっていった。

気合いで、私(プライベート)の重さを消すのではなく、
重さがある前提で、入口を作る。

夢中を待つのではなく、
夢中に入りやすい条件を、自分で用意する。

もくもく作業会は、その実例でした。

「気分が乗ったら描く」ではなく、
「描ける状態に入るための場」を先に作る。
重いエンジンを、気合いで手回しし続けるのではなく、
火が入りやすい場所を作る。
その先で漫画に接続したとき、
mは下がり、
cは残り、
kは作品の違和感へ向かう。
心の摩擦(夢中摩擦係数)が下がり、作品が完成まで進んでいくのです。

夢中は、偶然降ってくるものではない。
入口は、設計できる。
とりはらさんのもくもく作業会は、そのことを示していたのだと思います。

次回――夢中で描けても、外に出す瞬間に心は濁る

とりはらさんの夢中を追求する話は、ここでは終わりませんでした。

夢中時mckでは、漫画に向かっているときの心の運転が見えました。
心の摩擦(夢中摩擦係数)が下がり、手が動き、作品が形になっていく。

でも、漫画は描いて終わりではありません。
完成が近づく。
人に見せる。
外に出す。
その直前で、とりはらさんの中から、別の言葉が出てきました。
「これを面白いと思っているのは、自分だけかもしれない」
「客観的に見たら、陳腐なのかもしれない」
漫画に向かっていたはずの感度(k)が、作品ではなく、
自分を疑う方向へ向きはじめる。

その奥にあったのは、20代の頃の記憶です。
少女漫画家として描いていた頃、
編集者から言われた言葉。

読者は漫画をそこまで理解できないから、それっぽく書けばいい

自分が面白いと思って描くのではなく、
それらしく見えるものを描く。
自分の中にある「こっちだ」という感覚でハンドルを切るのではなく、
外側の正解に合わせてハンドルを切る。
20代の頃、とりはらさんの中にあった“面白い”のハンドルは、一度、外へ持っていかれたのかもしれません。
25年ぶりの漫画公開。
あの言葉で失ったもの。
そして、自分の“面白い”のハンドルをもう一度握り直す過程。
次の記事では、そこへ進みます。

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「なんでこんな質問で、そこまで分かるの?」
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ここから先は、ちょっと不思議です。楽しんでください。

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