【DAY4】あなたの人間関係、今どのくらいの火力で煮えていますか
鍋を火にかけたまま、納品が来た。 数分だけのつもりで持ち場を離れた。戻ると、鍋が煙を吹いていた。
ほんの数十秒でも、火にかかった鍋の温度は一気に上がる。 あの日から決めている。離れるときは、一度火を切る。
料理では、まず火力を見る。それがすべての基本。
強火のまま放置すれば一瞬で焦げ、弱すぎればいつまでも生煮え。プロの厨房で最初に叩き込まれるのは、切り方でも味付けでもなく、鍋の下の火を常に見る習慣だ。
でも人間関係になると、なぜか火力を見るのを忘れてしまう。
人間関係も、火力を見ないまま煮続けてしまう
人間関係がしんどいとき、目の前の鍋をかき混ぜることに必死になる。
あの人の不機嫌そうな顔。どうすればこの場が丸く収まるか。吹きこぼれないように、焦げ付かないように、お玉を握ってただ手を動かし続ける。
ここまで見てきた、煮詰まりの形。
ずっと沸騰しっぱなしで、休んでも張りつめが取れないストレス。
とろ火で延々と煮込まれ、終わりが見えないまま動けなくなるしんどさ。
これらはすべて、火力が見えないまま、鍋が火にかかり続けているときに起きること。
料理なら、吹きこぼれそうになればダイヤルを回して弱火にする。でも人間関係では、関係が吹きこぼれそうなのに「もっと頑張って関わろう」とする。返事を速くする。笑顔を増やす。機嫌を先回りする。火力を見もしないまま、混ぜ方だけを変えようとする。
必要なのは、かき混ぜる手を一度止めること。そして、火力そのものに目を向けること。 では、火力はどこで見ればいいのか。
火力の見方は2つある。鍋の中と、コンロ
火力を確かめる場所は、大きく分けて2つ。
鍋の中を見るか。コンロを見るか。
前者は、中身がどれだけ熱を受け、水分がどれだけ残っているかを確かめる見方。自分の疲れや感情の状態を観察すること。 後者は、熱を送り出す火元を疑う見方。職場や相手との関係という環境が、強すぎないかを疑うこと。
どちらが正しい、という話ではない。問題は、いまの自分が先にどちらを見るか。
疲れの正体がまだ分からないなら、鍋の中。 自分の弱さばかり責めているなら、コンロ。
ここから先は、今の自分に近いほうへ進んでほしい。
鍋の中を見たい人へ
鍋の中を見る。それは、自分の疲れ具合を見つめる作業。
最近、自分がどれくらいすり減っているか分からない。 何が原因かはっきりしないけれど、とにかく心が重い。 寝ても疲れが取れない。
そう感じるなら、まずは鍋の中の水分量から。 長く火にかけられた鍋ほど、煮詰まり具合は自分では分かりにくい。いま、自分の鍋に水分はどれだけ残っているか。
今の疲れ具合を、いくつかの項目で静かに確かめられる記事を用意した。鍋の中をのぞきたい人は、こちらへ。
→ 人間関係に疲れていませんか?今の火力をチェックしてみよう
コンロの火力を疑いたい人へ
コンロを見る。それは、自分を包む環境の強さを疑う作業。
自分が弱いから、耐えられないのではないか。 もっと我慢すれば、丸く収まるはずだ。 うまく関われない自分が悪い。
そうやって自分ばかり責め続けているなら、見るべきは鍋の中ではない。コンロのダイヤルだ。
そもそも、火元が強すぎないか。 どれだけ丁寧にかき混ぜても追いつかないなら、疑うべきは混ぜ方ではなく、火力のほうかもしれない。
環境の強さを疑い、自分を守る方法を知りたい人は、こちらへ。
→ 職場の人間関係がしんどいのは、あなたが弱いからじゃない。火力が強すぎるだけだ
まとめ:まず、火を見るところから
どちらを先に読んでも間違いではない。大切なのは、いまの自分がどちらの問いを必要としているか。
まずは3秒、直感で選んでほしい。今の自分が見るべきは、鍋の中か、コンロか。
火を見る。それが、自分を守る最初の技術だ。
次は、火を止める選択と、距離の話。
このシリーズでは、調理師歴15年の経験をもとに「人間関係と火加減」を重ねて書いています。 更新を追いたい方は、noteのフォローで通知が届きます。

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