その日の記録が、一年後の宝物になる
現役園長が実践する「AI×保育記録」の付け方
保育記録は、誰のために書いているのだろう。
そう自分に問いかけることがあります。
行政監査のため。
引き継ぎのため。
もちろん、どちらも大切な目的です。
でも、私が本当に大切にしたいのは、一年後、その子の保護者や、その子自身が読んだときに、「あの頃、こんなことがあったんだ」と思える記録です。
事務的な記録と、心に残る記録。
その差はどこにあるのか、AIを使いながら考えてみました。
記録が事務的になりやすい理由
理由ははっきりしています。
毎日、書く量が多いからです。
丁寧に書きたい気持ちはあっても、時間の制約の中で、どうしても「〇〇をした」という事実の羅列になりがちでした。
実際に使ったプロンプト
私は、その日の観察メモを箇条書きで渡し、記録の構成を整えてもらっています。
あなたは保育記録の作成に詳しい保育士です。
以下のメモをもとに、保育記録を作成してください。
【メモ】
・砂場で山を作り、崩れても何度も作り直していた
・友達が手伝おうとすると「じぶんでやる」と言っていた
【条件】
・「ねらいとの関連」「子どもの姿」「保育者の関わり」の3つの
観点で整理する
・事実の羅列にせず、その子の内面が伝わる書き方にする
3つの観点を先に決めておくことで、記録の抜け漏れがなくなりました。
使えてよかった点
① 観点の抜け漏れがなくなった
「ねらい」「姿」「関わり」を毎回意識できるようになり、記録の質が安定しました。
② 書く時間が短縮された
メモから記録に整える作業が早くなり、他の記録に使う時間を確保できるようになりました。
そのまま使えなかった点
① 表現がやや説明的になりすぎることがあった
「何度も作り直していた」という事実の説明にとどまり、その子の粘り強さや達成感まで踏み込めていないことがありました。
② 同じような子どもの姿でも、似た表現になりがちだった
複数の子の記録を続けて作成すると、言い回しが似通ってしまう場面がありました。
私が必ず直す2つのポイント
① その子の内面の動きを一言加える
「何度も作り直していた」の後に、「崩れるたびに悔しそうな顔をしながらも、諦めずに向き合っていた」のように、その場で見た表情を書き加えます。
② 一人ずつ、時間をかけて仕上げる
まとめて処理せず、一人ひとりの記録として向き合う時間を確保します。
園長メモ
保育記録は、業務ではなく、その子の育ちの記憶だと思っています。
何年か後、その子や保護者が読み返したとき、「あなたはこんなふうに頑張っていたんだよ」と伝えられる記録でありたい。
AIは、書く負担を減らしてくれます。
でも、その日、その子が見せた表情を覚えているのは、そばにいた保育者だけです。
その記憶を言葉にする時間は、これからも省略しないでいたいと思っています。
AI園長室ワーク
今日の記録を書く前に、次のことを試してみてください。
印象に残った場面を、事実だけでなく「表情」もメモする
AIに「ねらい・姿・関わり」の3観点で記録を依頼する
メモにあった「表情」の部分を、自分の言葉で書き加える
この一言が、記録を「事実の羅列」から「その子の物語」に変えてくれます。
まとめ
AIは、記録の構成を整える手伝いをしてくれます。
でも、その日、その子が見せた表情を言葉にするのは、私たち自身です。
私はAIを使うことで、記録を早く終わらせたいのではありません。
その分の時間を、子どもたちをよく見ることに使いたい。
そのためにAIを活用しています。
次回予告
「一人ひとりのために、計画を立てる。現役園長が実践する『AI×個別指導計画』のつくり方」
配慮が必要な子どもたちへの個別指導計画。全体の型を保ちながら、その子だけの計画にするために、AIとどう向き合っているかをお伝えします。
