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​#94 【無免許運転でも労災認定?】うっかり失念の無免許はセーフ?「通勤災害」の意外な境界線と逸脱・中断のルール

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​「通勤途中のケガ」を守ってくれる通勤災害の規定ですが、過去問を解いていると、僕たちの直感とは少しズレるような、法律ならではの驚きの境界線に出会うことがあります。

​先日、労災保険法の過去問を解いていたとき、このような問題に遭遇しました。

​問:
自用車で通勤していた労働者が通勤途中、他の自動車との接触事故で負傷したが、免許の更新を失念していたため無免許運転の状態であった。この場合は、諸般の事情を勘案して給付の支給制限が行われることはあるものの、通勤災害と認められる可能性はある。

​「無免許運転中の事故なのに、通勤災害と認められる可能性があるの?」と、初見では思わずバツをつけたくなってしまいますよね。

​しかし、この問題の正解は**「◯(正しい)」**なのです。
今回は、この問題の裏側にある法律のロジックと、合わせて整理しておきたい通勤の「逸脱・中断」のルールについて、自分のための復習メモとしてまとめてみたいと思います。

​1. 「本当の無免許」と「うっかり失念」の大きな壁

​なぜ、無免許運転という重大なルール違反をしているのに、通勤災害として認められる余地があるのでしょうか。

​ここで僕たちが真っ先に手を止めて整理しておかなければならないのは、法律が定める**「本当の無免許」と「うっかり失念」の明確な違い**です。

​法律の通達(基準)を深く読み込んでみると、次のように厳しく切り分けられていることが分かります。

  • ​そもそも最初から免許を持っていない(純粋な無免許運転):自動車を運転する資格そのものが最初からないわけですから、これは「合理的な方法による通勤」とは最初から一切認められません。つまり、**100%通勤災害の対象外(アウト)**になります。

  • ​免許は持っているけれど、うっかり更新を忘れていた(失効・失念):今回の過去問のパターンです。元々は運転資格を持っており、たまたま1週間前に期限が切れていたような場合は、いつも通り会社に向かう正しいルートを走っている限り、国は「通勤の途中であったこと自体は否定しない(セーフの可能性がある)」というスタンスを取ってくれます。

​つまり、法律は「それが通勤にあたるかどうか」という入口の話と、「実際にいくら保険給付を行うか」という出口の話を分けて考えているのですね。

​うっかり失念の場合は通勤として認めたうえで、ただし法律違反をして事故を起こしている以上、後から「給付の支給制限(もらえるお金を一部カットする)」というペナルティを課す仕組みになっています。

最初から資格を持たない無免許運転は一発アウトですが、うっかりの失念であれば一概にすべてを切り捨てないところに、労働者を保護するための法律の奥深さを感じます。

​2. 合理的なルートを外れる「逸脱」と「中断」の基本

​通勤災害を勉強するうえで、もうひとつゴチャゴチャになりやすいのが、会社帰りに寄り道をしたときの「逸脱」と「中断」のルールです。

​逸脱: 通勤のルートそのものからガラリと外れること(例:映画を見るために遠くの映画館へ向かう)

​中断: ルート自体は合っているけれど、途中で通勤とは関係ない行為をすること(例:帰り道にある居酒屋に入って数時間過ごす)

​法律の大原則としては、この「逸脱」や「中断」をしてしまった場合、その瞬間はもちろんのこと、**その後に元のルートに戻って歩き出したとしても、もう二度と通勤災害としては認めてもらえなくなります。
**一回でも完全にレールを外れたら、その日の「通勤」はそこで終了、という厳しいルールになっているのですね。

​3. 働く人を守るための「優しい例外規定」

​しかし、これでは「仕事帰りにスーパーで晩ご飯の買い出しもできないのか」ということになってしまい、現実的ではありません。

そこで、法律には以下のような**「日常生活上必要な、やむえない行為」**であれば、最小限の寄り道に限り、元のルートに戻った後は再び通勤として認める、という優しい例外が用意されています。

  • ​日用品の購入(スーパーでの買い物など)

  • ​独身の人が食堂でご飯を食べる行為

  • ​病院での受診や、選挙の投票

  • ​要介護の家族の介護

​ここで大切な試験対策のポイントは、**「寄り道をして買い物をしている『その最中』は通勤にはならないけれど、買い物を終えて元のルートに戻った『その後』は、再び通勤災害の対象として復活する」**という点です。

​一般企業の会社員の方でも、「保育園に子供を迎えに行った帰り道で転んでしまった」「夕飯の買い出しの帰りに事故に遭った」という身近なハプニングの際、この例外を知っているかどうかで、万が一のときの安心感が大きく変わってくるのかもしれません。

​おわりに

​今回は、過去問の引っかかりをきっかけに、通勤災害における「本当の無免許との違い」や「寄り道のルール」について整理してみました。

​ただ単に「ルールを破ったらダメ」「寄り道をしたらダメ」と一括りにするのではなく、「資格そのものがない場合はそもそも通勤ではない」という前提を敷いたうえで、細かくロジックを切り分けていく視点は、社労士試験の勉強において非常に面白い部分だなと感じています。

​まだまだ勉強中の身ですので、実際の現場での細かい個別判断や例外のすべてを断定することはできません。

だからこそ、こうした過去問のストーリーを大切にしながら、働く自分たちの身を守るための正しい知識の引き出しを、これからも地道に増やしていきたいと思っています。

​みなさんの職場では、お仕事帰りのささやかな寄り道、どんな風に過ごされていますか?

​今日もお仕事、本当にお疲れ様でした!

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