同時じゃなくて、よかった。
ジムに着いた。さあ運動!
…の前に、毎回ボスがいる。
ボスの名前は、私の愛車『ベンツ』を停める、駐輪場。
『ベンツ』って何?って人は、こちらもどうぞ↓ (知らなくても今日の話はわかります🌸)

これ、ジムの駐輪場。
両脇ぎゅうぎゅう。 レールも、ぐいっと急角度。
健常者なら 「ちょっと狭いな〜」で終わるやつ。
でも、わたしには 毎回ちゃんとバトル。


このレール、細い。
わたし、高次脳機能障害があって、 距離感がちょっと難しい。
だから、一発で乗らない。
降ろして、もう一回。 ズレて、もう一回。
しかも、両脇の自転車を えいやっ、って押し広げながら、同時に狙う。
これがもう、しんどい。
で、やっとレールに乗ったら終わり?
…と思うでしょ。
ノンノン。
ここから、押し上げる。 しかも急角度。
そして、わたしの麻痺がある左足には——
「働かないおじさん」がいる。
肝心なときに、
「あ、僕いま手が離せなくて」
って言って、何もしない。
手は最初からないんだよ、おじさん。
結局、腕の力だけで、 軽トラ寄りのベンツを押し上げる。
これが、毎回。
そんなある日。
最寄り駅の駐輪場が、 リニューアルオープンした。

見て、これ。
レールが、末広がり。
入口が、パカっと開いてる。
「え、なにこれ…やさしいやつ?」
って思いながら、 恐る恐る乗せてみた。

すぅ〜〜〜って、上がった。
え?
なにこれ。
うわぁ、ラク!!!
びっくりした。
角度は、そんなに変わらないのに。
なんで?
しばらく考えて、気づいた。
ラクになった理由、 「力」じゃなかった。
ジムでは、
両脇をよけながら、同時に狙う。
でも、新しいやつは、
両脇をよけて、 それから、乗せる。
順番にできる。
それだけ。
それだけで、こんなに違う。
働かないおじさんに、
「今日は出番ないよ」
って言える。
おじさん、ちょっと嬉しそう(働いてないけど)。
これ、
わたしだけの話じゃないなって思った。
子ども抱えたママ。
買い物袋ぶら下げたおばあちゃん。
今日ちょっと、疲れてる誰か。
みんな、
同時にいろいろやらされてる。
でも、
「順番でいいよ」ってなるだけで、
こんなに優しくなる。
ラクになるって、 サボりじゃなくて、
設計なんだなって思った。
軽トラ寄りのベンツは、 今日もすぃ〜って上がる。
そしてわたしは、
ちょっとだけ、
やさしい世界に乗っかってる。
「働かないおじさん」って何?って人はこちら↓
[🔗 働かないおじさんと重力100倍ベット]
(重力100倍のベッドで定時勤務するおじさんの記録です)
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