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ヨーロッパ的なるもの:小話34 学校休みの時期なんか関係ない?

【学校休みの時期なんか関係ない?】

  ヨーロッパで子供を育てているわけじゃなし、ヨーロッパの学校休みなんか関係ないというのが多くの人々の反応かもしれません。

  ただ、もし「こないだ、ヨーロッパ旅行に行った。最近はオーバーツーリズムだから、わざわざ夏休みとかゴールデン・ウイークを避けて行ったのに、予想外に観光客が多くて少し当て外れだった」という感想を聞いたら、「学校休みはチェックした?」と小声でつぶやくかもしれません。

 ヨーロッパの学校には、一般的に、大きな3つの休みがあります。イースター休暇、サマーホリデー、クリスマス休暇です。それぞれ日本の春休み、夏休み、冬休みに相当します。ところが、ヨーロッパの学校にはこれ以外にも学校休みの期間があるのです。ここでは英独仏の事情を簡単に紹介しましょう。

  まず、ちょっと呼び名が変わっているのが英国。上の3つに加えて、学校には「スクール・ハーフ・ターム」と言う休みがあります。英国人は縮めて「ハーフ・ターム」と言います。外国人が意外にも旅行先が混んでいた嘆くのを聞いたら、英国人はすかさず「ハーフ・タームに行ったんじゃないの?」とクールに突っ込むかもしれません(多分するでしょう)。

  学校の学期のことは英語では「ターム」です。ハーフ・タームは学期の半ばを指し、ひいては学期半ばの休みのことを言います。日本では中学校や高校では学期半ばは、中間試験の時期です。英国では、そこが試験とは真逆の休みになるのです。

 期間は地域や学校によって異なります。新学期は9月から始まり、最初のハーフ・タームは10月末の平日5日間。前後の土日を入れて9連休です。クリスマス休暇は12月20日ごろから2週間ほど。すぐに次のハーフ・タームが来て、2月後半にやはり9連休。イースター休暇が終われば、今度は5月末にまた9連休。年間に6回も学校休みがあるのです。

 ではフランスはと言うと、やはり9月に新学期が始まり、11月1日の万聖節を挟んで2週間休み。クリスマス休暇の次に、冬休み(Vacances d`hiver)が2月の中旬か下旬に2週間。そのあとは4月下旬の2週間の春休み、そして7月からの夏休みで、年間5回の学校休みがあります。

 ドイツはその歴史から各州の独立性が強く、学校休みの期間も州によってかなり異なります。ここではベルリンの学校休みです。9月の新学期始まりの後は、10月下旬に2週間休み。クリスマス休暇のあとは、2月初めに1週間(9連休)の冬休み。5月は1日か飛び飛びの2日の休み。ただ州によっては、2月の冬休みを無しにし、聖霊降臨祭に合わせて5月から6月にかけて1週間ほど休みにしていることもあります。そして7月の夏休み。概ね年間5回の学校休みです。

 前の「スクール・ラン」の記事を読んで下さった方からは、即座に「学校休みの間の子供のケアはどうするんだ?」と鋭い質問が出るでしょう。「さすがです。良い質問です」

 それは、学校の提供するホリデー・クラブ、チャイルドマインダー(子供預かり)、ホリデー・キャンプ、ベビーシッター等などあの手この手で、四苦八苦しながら対応します。そして、一番手っ取り早いのは家族みんなで旅行に出てしまうこと。

 子供を持つヨーロッパ人は、いわゆる春休み、夏休み、クリスマス休み以外の英国で言う「ハーフ・ターム」の休みにも旅行に出ます。当然、観光地は大混雑、道路は大渋滞になります。クリスマスは日本の正月に当たり、家族で過ごす時間なので、意外にヨーロッパ人は観光地よりも親や親せきの家に集まっています。だから、最初の「夏休みとかゴールデン・ウイークを避けて行ったのにー」は、ヨーロッパ人から見れば、「混んでいる時期を自分で選んでいるよ」と言われるかもしれません。もちろん、これはそれぞれの季節と観光地の性格によることは、言うまでもありません。

  英国のホテル・チェーンにはホームページに、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの年間の「ハーフ・ターム」一覧を載せ、その上に予約欄を設けて、さあ予約しましょうと誘いかけているものがあります。旅行業者にとって、「ハーフ・ターム」は稼ぎ時なのです。当然、その時期はホテル代を高くしています。

 それならばと、子供に学校を早めに休ませて、安めに旅行しようと考える親もいるかもしれません。ところがこれは厳しく禁止されており、英国では学校や区、または警察からの警告や罰金、ドイツでは最大1,000ユーロの罰金を科されることになります。前の記事で軽く触れたコロナのロックダウン違反への罰金などと同様、ヨーロッパはこういう違反に厳しく対応する社会です。

ヨーロッパの学校には、中間試験の代わりに中間休みがあることを知っていれば、適切な旅行期間が選べるかもしれません。ただ、最近のオーバー・ツーリズムはちょっと常軌を逸しているので、それ以外の日々でも、ヨーロッパは内外からの旅行客であふれていますがー。

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  「ヨーロッパ 個性的な古楽器たち(入門)」
  「ヨーロッパ 「絵の中に絵」の面白さ」
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  「ヨーロッパ ちょっと楽しい迷信とことわざ」
  「近代ヨーロッパをつくった知的ギャザリング」
  「ヨーロッパ 本棚のつくる異空間」
  「ヨーロッパ アンティーク都市図の楽しみ」
  「ネオロンドンの足音」

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