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■大河ドラマ『豊臣兄弟!』第4話「桶狭間!」―さぁ鐘を鳴らせ 力振り絞れ

えりたです。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』第4話が放送されましたね。先日、藤吉郎・小一郎兄弟の生誕の地である、名古屋市中村区で大河ドラマ館「豊臣ミュージアム」も開館しました。オープニングセレモニーと共に、ミュージアム内も観覧し、これからの展開がますます楽しみになりました。

そのあたりのお話はまた後日書き記すとして、今回は第4話「桶狭間!」の感想です。人前ではあまり表情を動かさない小栗信長さまの、人間味あふれる部分も描かれ、とてもよかったです。…過去に刻み付けられたトラウマも含めて「今」のあることが明確に描かれていました。

さて、今回は桶狭間合戦の本編が描かれましたが、その前日譚は第3話にありました。こちらも合わせて見ていただくと、よりわかりやすいと思います。

そんなこんなで、今回も元気よく大河ドラマ『豊臣兄弟!』第4話の感想に行ってみましょう!

ではでは、レッツゴー。


■今週のとの

■桶狭間合戦―高揚感をもたらすもの

思へばこの世は常の住み家にあらず
草葉に置く白露、
水に宿る月よりなほあやし
金谷に花を詠じ、
栄華は先立つて無常の風に誘はるる
南楼の月を弄ぶ輩も
月に先立つて有為の雲にかくれり

人間五十年、
下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり
一度生を享け、滅せぬもののあるべきか
これを菩提の種と思ひ定めざらんは
口惜しかりき次第ぞ

太字は引用者による

ご出陣の直前に、信長さまが舞われた「幸若舞」。厳粛で、静かな時間がそこにあって。その人間味あふれる時間を全身で受け止める市さまがいらっしゃって。織田兄妹がほんとうにすてきでした

ですが、もうひとつ、信長さまは舞の前にも謡われていましたよね。それは何だろうと思ったんです。そうして調べてみたら、それも幸若舞だったのですね(上の引用、太字部分)。「人間五十年…」の部分が有名すぎて、まったく念頭になかったのですが、その前後にもフツーに詞はあるわけで。その前段部分を信長さまは謡われていたのでした。

・ ・ ・

この場面を見ながら、私は信長さまの祈りにも似た気持ちを感じていました。それは、戦勝祈願とか、そんなシンプルなものではなく。自身のなかにある怖れや不安、すべてを背負うための覚悟、その他言葉にならないごちゃごちゃしたもの全部を、腹のなかのあるべき場所に収めて。「カリスマである自分」を、それが仮初であろうと信じて。信じ切って。前面に押し出していくための祈り、儀式。そんなことを感じていたのです。

その後、信長さまは甲冑を身につけながら茶漬けを召しあがる、「桶狭間出陣前と言えば!」な場面を見せてくださいました。……が、一飲みて……一瞬「お茶?」と思いましたが、ほんのり口をもぐもぐさせていらっしゃったので、召しあがったのはほぼお湯に近い、めちゃくちゃ薄い粥―重湯だったのかな?と。

考えてみれば、お腹を満たしてしまうと判断力とか普通に鈍りますよね。満腹の幸せ感を以て、死地に赴くってちょっと違和感ありますし💦 でも、すきっ腹で出てしまうと、たとえば絶賛演説中にお腹が鳴るなど、いろいろ台無しな場面が想像できます。そのため、その間をとっての重湯なのかなぁとも思っていました(謎の熱量で分析)。

そんな主君の儀式が行われる一方で、家臣のみなさまもいろいろ思うところはありながらも、準備に勤しまれます。

彼らの気持ちは、個々に熱量の濃淡はあれ、寧々さまの父上であられる浅野長勝さまのこの言葉が言い尽くしているのではないでしょうか。

たとえ、分のない戦でも、殿が出陣すると決めたなら、それに従い、命を懸けて戦うのみ。それが武士(もののふ)としての務めである。

そんななか、熱量MAXなのが、我らが山口勝家さま。ガルガルと戦功を立てるぞ、殿のお役に立つぞ、そして認めていただくぞ、といろいろダダ漏れさせながら、他の方と一線を画す、すさまじい勢いの熱量を若干斜めな方向に全力で領域展開します。

一方、その熱量がもっとも弱いのがきっと足軽さんたちですよね。そして、そんな足軽さんたちのなかでの例外が、藤吉郎・小一郎の豊臣兄弟。熱量は勝家さまレベルに肉薄するものの、彼らだけ狙う首が異なります。

でもきっと、実際の戦場もこんな感じだったのだろうなと思うですよ。戦功を立てて褒美をもらおうと思う人もいれば、豊臣兄弟のようにどさくさに紛れて何かしようと考える人だっていたに違いない。人の数だけ思惑があり、それらがつぶさにあからさまに露呈するのも、戦場の本質のひとつだったのだろうなと思います。

そして、そんなふうに山ほど込められている数々の思惑を練り上げ、集団をぎゅぎゅっと一塊にまとめるのが主君の役目です。今回あった信長さまの演説も彼らに、己らの思惑の枠を超えて、その高揚感を最高値に持って行かせるためのものでした。

考えてみれば。

人に向かって「人の命を奪ってこい」と命じているわけで。また、しれっと「おまえのその命を俺に差し出せ」とも言っているわけで。そんな理不尽で不条理な命令全員に迷いなく遂行させるためには、訳の分からないほどの高揚感でぶち上げるのが手っ取り早いわけで。「鬨の声(=鋭々・応)」ってそのためのものなんだなと改めて感じました。

あと。これは今川軍との対比でもありましたが、軍に属する人の数が少ないからこそ、雑兵のレベルまで信長さまの威光=カリスマ性が轟くことも味方の士気をさらにぶち上げる要因になっていると思います。

「この人に命を預ける」「この人のために懸命に働く」

たとえば、「この人」が自分にとって物理的にも精神的にも遠い人であれば、その現実にあるはずの存在感は簡単に失われます。ですが、「この人」が目の前に実際に居たら。そうして、自分たちをその声で言葉で鼓舞してくれたら。そりゃもう頑張るしかないですよね。しかも、「勝って清須に戻った者には必ず、この信長が報いる」とまでおっしゃっている。勝って帰ることができれば、「この人」が褒めてくれる。褒美も保証してくれている。そりゃもう、がんばるしかないですよね。

というわけで、織田軍・今川軍双方の準備が万端に?整ったところで、桶狭間合戦の本編へ突入していきます。


■桶狭間合戦―えげつなく伏線を張ってみる

今回の桶狭間合戦で、もっとも「ふぁっ⁉(; ・`д・´)」となったのはやはり「佐久間盛重」さまの扱いです。

第3話で、佐久間盛重さまは丸根砦へ赴き、いい按配のところで今川軍に寝返ることを梁田政綱さまに告げます。

もしかすると。

この佐久間さまの思惑を、梁田さまが信長さまに告げ、信長さまが盛重さまの首を使うことを思いついたのかも知れません。

ともあれ、「まずは丸根砦の盛重に賭けようではないか」とおっしゃった言葉に含まれていた真意と、家臣の皆さまが受け取った意味の食い違いがめちゃくちゃ怖い場面でした((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

裏切るかも知れない家臣の首(物理)によって、大将=今川義元公の居場所を正確に知り、最大の懸念であった人数差を埋めて、奇襲を掛ける。

こんなちょっと何言ってるか分からない作戦を思いつき、秘密裡に実行する。やはり信長さまのアタマん中にある宇宙や、えげつないほどの胆力は果てしないものであるとダイレクトに伝わりましたし、ついでにこれを伏線含めて描き切る脚本家さんのアタマん中の宇宙も覗いてみたい気持ちでいっぱいでした。

さらに、もう一つ「伏線」として張られていたことに驚いたのが、第3話での小一郎の「天気予報」です。あの言葉って、たしか、その場しのぎにはったりをぶちかましただけであり、しかも若干のてへぺろ感(/ω\)まで醸していた会話だったはずなのに……ここに来てまさか桶狭間合戦に一役買うとは‼‼‼

この『豊臣兄弟!』(だけではないのですが)は、あらゆる言葉や動作、行動が伏線の可能性を持っており、それが蜘蛛の巣のように縦横無尽に張り巡らされ、物語の厚みを担っている。そのことをまざまざと見せつけた感さえある、第4話でした。


■桶狭間合戦その後―孤独のRunaway

桶狭間合戦では、何もかもが対照的な今川軍と織田軍が、尾張鳴海領を巡って争い、奇襲戦を仕掛けた織田軍が勝利しました。

『豊臣兄弟!』での信長さまは、カリスマ性を遺憾なく発揮する人物というだけでなく、その身の内に孤独や弱さをも抱えこんでいる人物として描かれます。

今回描かれた桶狭間合戦でも、信長さまがその勝利をじわじわと実感し、ひとり喜ぶ様子がありました。その表情は、初めて充実した「何か」を掴んだ少年のようでもあり、天下一統を望み、鋭さを増していく後年の様子からは想像できないほど、無邪気なものでした。

桶狭間合戦の勝敗は、織田・今川両氏にとって、数多ある合戦のうちの一つといった範疇におさまらず、その後の動きに大きく影響していった。

柴裕之『織田信長』平凡社刊p.56より引用

おそらくこの戦を始めたときには、信長さまにとっても義元公にとっても「数多ある合戦のうちの一つ」であったことでしょう。

たとえば、この戦いが義元公の勝利で終わったのなら、その評価のまま歴史は進んでいっただろうと思うのです。あるいは、実際に勝利した信長さまにしても、「天下」とかそんな大きな見果てぬモノを見据えているのではなく、ただひたすら父の悲願であった「境目」鳴海領を自分の領国に確定したい気持ちだけだっただろうと思うのです。

ですが、3万もの軍勢を率いた「海道一の弓取り」とも呼ばれるほど戦上手、しかも、長い間大国を治め続けている大大名を、守護の陪臣でしかなかった家の、10分の1ほどの軍勢を率いた(ある意味ぽっと出の)大名が破った。この事実は全国を駆け巡り、否応なしに信長さまを「天下一統」の動きへと巻き込んでいきます

そのうねりにも似た動きのなかで、信長さまの抱える孤独はどう作用していくのか。どう描かれるのか。とても楽しみでもあり、胸の痛みを感じるほどせつなくもあったりします。


■まとめにかえて―今週の兄弟は

大河ドラマ『豊臣兄弟!』第4話「因果応報」の網があちこちに張り巡らされていました。

たとえば、上に書いた佐久間盛重さまの末路もその一つです。また、先週「狙うは城戸の首ただ一つ!」と明後日な方向に熱を向け、盛り上がった兄弟のした行為―城戸が獲った大将首で褒美を受け取ることもそうでした。ですが、それは城戸が兄弟の父にしたことの「反復」に見せかけながら、そうではなく、ちゃんとずらしていた。そして、そのことにより、城戸とは異なる運命を引き寄せる兄弟の姿を描いてもいたのです。

秀吉公の逸話でよく出てくる「草履」の逸話も、ここまで引っ張るんだぁと感動したり。しかも、互いに一つずつ持っているということは、先の先の話―秀長/小一郎が秀吉/藤吉郎をこの世に置いて逝ってしまったとき、この「草履」はきっと象徴的な役目を果たすのだろうと…悲しくもなったりして。

戦国時代の物語って、基本的に壮大なネタバレが前提になっています。だからこそ、楽しさだけでなく、色濃いせつなさや微細な悲しみをも行間から感じ取ってしまうのだろうなと……そして、それさえも戦国時代の物語を堪能する醍醐味なのだろうなと……そんなことを改めて考える第4話でした。

・ ・ ・

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

第5話は、ひそかに桶狭間で活躍したのに(大将首3つ)、帰参を許されず寧ろ怒られた前田利家さまがとうとうご出演です♡ そんな第5話もご一緒に楽しめたら、嬉しいです。

んじゃ、また。


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