ほのかちゃんに ほのかに恋して♥ー12ー〈最終回〉
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「ほのかちゃん……」
僕は、また恋心募る想いでほのかちゃんを見ていた。
ほのかちゃんは、マ○ドナルドで、忙しく働いている。
「あんた、まだ ほのかのこと好きなんやね?」
薫さんは、僕の様子を見ていう。
「ほのかのとこは、お父さんもお母さんもおらん。以前は、ほんとのお嬢さんやった。せやけど、今は貧乏でお姉さんだけや」
僕が、その言葉にびっくりしていると、
「ほのかが小学生の頃で、お姉さんが高校1年生の頃、ご両親が事故で亡くなって、ほのかのことお姉さんが一人で育てたんよ」
薫さんは、哀しそうにいった。
「お姉さんは高校辞めて……私は、その頃からほのかの同級生やけん。今は、ほのかもバイトしちょる」
僕はひとり、薫さんと別れて、とぼとぼ帰り道を歩いていた。ほのかちゃんは、僕以上に苦労していた。お嬢さんだと思っていたら、苦労していたのだ。僕も、小さな工場の社員の息子だが………。
背伸びする必要なかったのだ………。
そして、格好つけるばかりでなく、もっと彼女を知ろうとすればよかった。よく見ようとすればよかった。少しずつでも……、と、思った。
そうすれば、こんなことにはならなかったのではないか?ほのかちゃんと別れるなんてことは……。
結局、僕は、自分がどう見られ、どんな理想の付き合いができるかばかりで、彼女をちゃんと見ようとしていなかったんだ。
僕は、雨のしとしと降り始めた土手の上で立ち止まった。カエルがゲコゲコ鳴いて僕を見ている。そして、僕は拳をあげる。やり直してみようか!僕は、ほのかちゃんが好きだ!!
やっぱり好きなんだ!!
「うおおおおおおお!」
(ゲコゲコ ゲコゲコ)(カエルの声)。
土手の上を、学生たちが行き交う登校時間。
僕は、ある髪の長い少女を待っていた。
その少女は、自転車に乗っていて、
いつも、なにかしら良い匂いが ふうん、とするのだ。
今日は、なんの香りだろう。
初めてデートしたときのシトラスの香りだろうか?
ぼうーっと空を見上げる。
ふと、自転車の来た気配に、
僕は、振り返ろうとして「わあ!」と、ひっくり返る。
「大丈夫?」と、聴き馴染んだ声が。
「マ○ロンあるわよ?」
(別れた人にも親切だ)
僕は、感動を覚える。
振り仰ぐと、
ロングヘアの女の子が覗き込んでいる。
「ほのかちゃん……」
甘く、柑橘系の香り……シトラス……。
「僕は、もう背伸びしないよ。ほんとは、アロマより、僕は野球に興味ある。エスプレッソより、マックシェイクが安いから好き、そして……」
ほのかちゃんの目がまん丸。
「もう、背伸びしないよ。ほんとの自分を出していくよ。ほんとの僕を知ってよ。だからもう一度、僕のこと、好きになって」
ほのかちゃんは、優しく頷いた。
「私も。もう、自分で自分を偽らない。お金持ちのお嬢さんの真似はやめるわ」
おわり
©2023.7.8.山田えみこ
