正義が、法律違反になる日~クロスロード第3話を見て~
録画保存しておいた『クロスロード』第3話を見ていました。
このドラマは、救急救命の現場を描いたドラマですが、途中から「これは救急医療だけの話じゃないな」と思いました。
森崎ウィンさん演じるアインは、ベトナムにルーツを持つ医師です。
技能実習生として来日し、劣悪な職場から逃げ出し、不法滞在になった同胞たちが、病気になっても医者にかかれず、症状を抱えたまま身を潜めています。
そこにアインが、同胞だからと手を差し伸べに行きます。
でも、その行為自体が、法律違反になってしまいます。
正義を信じて動いた人間が、その正義のせいで追い詰められる。
見ていて、素直にそう思いました。
引っかかったのは、そこからでした。
このドラマが描いていたのは、誰か一人の問題じゃありません。
技能実習生として夢を持って来日し、職場環境の酷さに耐えかねて逃げ出し、不法滞在になり、病気になっても診てもらえず、やがて感染が広がっていく。
その負のスパイラルの周りには、たくさんの立場の人間がいます。
現状を理解しないまま、制度を整えたつもりでいる政治家や官僚。
外国人を労働力としてしか見ていない受け入れ企業。
不遇を感じても、それを伝える手段を持たない外国人本人。
そして、そんな彼らを利用して稼ぐブローカーや犯罪グループ。
最後に、なんとなくおかしいと思いながら、何の行動も起こせない、私たち日本人。
「日本の制度を守っていたら、外国人は救われない」
このスパイラルの構図に、私は覚えがありました。
警察にいた頃に見ていたものと、今、行政書士として関わっている部分が、そのまま重なって見えたからです。
不正は、誰かが最初から悪意を持って作るとは限りません。
むしろ、誰も気にしていない場所に、少しずつ育っていきます。
技能実習生を巡るこの構造も、たぶん同じです。
そういえば、と思い出した記事がありました。
以前読んだ、ある新聞の特集記事です。
技能実習生や特定技能で来日した人たちが、職場から逃げ出し、不法滞在になり、それを商売にする人間たちに搾取されていく過程を、いくつもの取材で追いかけたものでした。
アインが画面の中で見せた葛藤は、フィクションではなく、今この国のどこかで、実際に起きていることなんだろうと思います。
そういえば、船越英一郎さん演じる麻酔科医が、アインの筆跡にふと気づく場面がありました。
今回も、静かにそこにいる人でした。
私が読んだある新聞の特集記事の話は、また今度書こうと思います。
