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#13【教育書】石井英真(2020)『授業づくりの深め方:「よい授業」をデザインするための5つのツボ』


【目次】

  1. はじめに – 本書の概要と目的

  2. 授業づくりをめぐる現状と課題

  3. 「5つのツボ」とは何か? – 授業デザインのフレームワーク

  4. 授業の本質とは – 文化の創発的コミュニケーション

  5. 本書の意義と活用方法

  6. おわりに – 教師が学び続けるために




1. はじめに – 本書の概要と目的

『授業づくりの深め方 良い授業をデザインするための5つのツボ』は、教育方法学者であると石井英真先生による、授業づくりの本質を探求する実践的な書籍である。日本の教育現場では、若手教師の増加や研修の形骸化、授業方法の流行の変化により、伝統的な授業づくりの技術や哲学の継承が難しくなっている。本書は、そうした現状に対し、授業づくりの「5つのツボ(判断の節目)」を整理し、教師が授業を構想・実践・省察するためのフレームワークを提示するものである。

本書の特徴は、単なる授業のノウハウ集ではなく、授業とは何か、どのようにデザインすべきかを根本から問い直す視点を持っている点である。授業は単なるスキルの問題ではなく、教師の判断力が問われる場であるという考えが本書の核となっている。



2. 授業づくりをめぐる現状と課題

本書では、現在の教育現場における問題として、以下のような点が指摘されている。

  1. 教師の世代交代と技術・哲学の継承困難

    • ベテラン教師が減少し、若手教師の指導力育成が急務となっている。

    • 校内研修が形式化し、教師が授業を深める機会が減少。

  2. 授業の流行に振り回される教育現場

    • 「アクティブラーニング」「コンピテンシーベースの学習」などの新しい概念が次々に登場するが、それが実際の授業の質向上につながっていない。

    • グループ学習の導入が進むが、従来の「創造的な一斉授業」の良さが見直されていない。

  3. 授業研究の形骸化

    • 研究授業が「儀式化」し、本質的な議論ができていない。

    • 形式的な評価基準では、教師の判断力や授業の創造性が評価されにくい。

こうした課題を乗り越えるために、本書では「授業づくりのフレーム」として「5つのツボ」が提案されている。



3. 「5つのツボ」とは何か? – 授業デザインのフレームワーク

本書の核心となるのが、「5つのツボ」と呼ばれる授業デザインのフレームワークである。これは、授業を構想する際に重要となる5つの判断の節目を整理したものだ。

  1. 目的・目標を明確化する

    • 何を教え、どのような学びを目指すのか。

    • 学習指導要領に縛られるのではなく、子どもたちの実態に応じた目標設定が必要。

  2. 教材・学習課題をデザインする

    • 教科書にある素材をそのまま使うのではなく、子どもたちが「意味づけ」しやすい形にアレンジする。

  3. 学習の流れと場の構造を組織化する

    • 授業の展開を、単なる活動の羅列ではなく、子どもたちが思考を深める流れにする。

    • 「一斉授業 vs グループ学習」の対立を超えた授業デザインを目指す。

  4. 技とテクノロジーで巧に働きかける

    • 教師の声のトーン、視線、身体の動きなど、細かな技術の重要性。

    • ICTの活用も含め、効果的な授業技法を取り入れる。

  5. 評価を指導や学習に生かす

    • 形式的なテストや成績付けではなく、子どもたちの学びを促進する評価方法を考える。

これらのつぼを押さえることで、授業の質が向上し、教師の判断力も養われると本書は説く。



4. 授業の本質とは – 文化の創発的コミュニケーション

本書では、「授業とは何か?」という問いに対し、「文化の創発的コミュニケーションの過程である」と定義している。

授業は、単なる知識の伝達ではなく、教師と子どもたちが共に学び、知を創造する場である。従来の日本の授業には、「練り上げ型授業」という強みがあり、子どもたちの思考を深めるプロセスが重視されてきた。しかし、近年の教育改革では、その価値が十分に理解されず、単なる「グループ学習」や「対話型授業」が重視されがちである。

重要なのは、子どもたちの思考の質を高めることであり、そのためには教師の判断力が不可欠である。本書は、この判断力を磨く方法として、「5つのツボ」を実践的に活用することを提案している。



5. 本書の意義と活用方法

本書は、特に以下のような読者にとって有益である。

  • 若手教師 – 授業づくりの基本を体系的に学べる。

  • ベテラン教師 – これまでの経験を整理し、より深い授業づくりを目指せる。

  • 教育管理職・指導主事 – 校内研修のあり方を見直し、実践的な指導に生かせる。

本書を読むことで、単なる授業の方法論ではなく、教師としての根本的な判断力を高めることができる。



6. おわりに – 教師が学び続けるために

本書は、授業づくりの技法やノウハウに留まらず、教師としての在り方や、授業の本質について深く考えさせられる内容となっている。授業は決して「マニュアル通り」に行うものではなく、教師自身の判断によって形作られるものだ。その判断力を養うために、本書が示す「5つのツボ」は非常に有益な視点を提供してくれる。

教師として成長し続けるために、本書を手に取り、授業づくりを見直すきっかけにしていきたい。


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