1954年の今日(7月22日)、パリで綴られた薔薇の手紙 ― ジャンヌ、マドレーヌ、そしてカミーユ。
「1957年、夏の約束」から3年遡る、もう一枚の薔薇のカードが見つかりました。
今日、7月22日。
最近は、「●年前の今日」というシリーズで、古いポストカード(手紙)をご紹介しているのですがー
先日、1957年7月20日に書かれた薔薇のヴィンテージカードを覚えていらっしゃいますでしょうか。
パリに住むジャンヌから、田舎に暮らす、いとこのマドレーヌ(そしてカミーユ)へと送られた、夏のバカンス直前の温かいお便り。
実は今日、7月22日の日付入りカードが確かあったような、、、
と、在庫整理をしていたら、あったのです。
そして、よく見ると、あれ…?!
流れるような青いインクの筆記体、差出人の名前ジャンヌ、そしてマドレーヌ宛。なんと、すべてが、先日ご紹介したあのカードと全く同じ。
そこに記されていた日付こそが、
今から72年前の今日――「1954年7月22日」でした。
📜 1954年7月22日、パリで綴られた手紙
今から72年前の今日。
パリにいたジャンヌは、深い青いインクでこう綴っていました。
1954年7月22日、パリにて
聖カミーユの日、そして聖マドレーヌの日に寄せて。
お二人へ、私たちの心からの祝福をお贈りします。
何よりも健康でありますように。
そして伯母様にも同じように(健やかでありますように)。
ありったけの愛を込めたキスを贈ります。
あなたのいとこ、ジャンヌより
💡 3年の時を超えて繋がった「7月の解像度」
2枚のカードが揃ったことで、ジャンヌとマドレーヌたちの間に流れていた「変わらない7月の習慣」が、くっきりと浮かび上がってきました。
フランスには、365日の各日に守護聖人が割り振られていて、自分の名前にゆかりのある聖人の日(Fête)を祝い合う美しい風習があります。
7月14日:聖カミーユの日
7月22日:聖マドレーヌの日
今日7月22日は、まさに「聖マドレーヌの日」なのです。
今日見つかった1954年の手紙で、ジャンヌは言っています。
「聖カミーユの日と聖マドレーヌの日に寄せて、二人まとめておめでとう!」と。
そして、先日ご紹介した、これより3年後(1957年7月20日)の手紙を思い出してみてください。 ジャンヌはこう書いていました。
「マドレーヌのお祝いを伝えたくて。カミーユにも、少し遅れちゃった(7/14が過ぎちゃった)けれどお祝いをね」
……3年の時が流れても。 7月後半がやってくると、ジャンヌは「あ、カミーユとマドレーヌのFêteだわ」と思い出し、遠く離れた二人を想って薔薇のカードを選んでいたのです。
1954年は「二人まとめて」、
1957年は「カミーユには遅れちゃったけど」と添えて。
誰かを想う温かなリズムが、変わらず流れていました。
🌹 「マドレーヌ」という名に込められた祈り
私の手元に、1950〜60年代の7月20日前後に書かれたカードが多いのはなぜだろう、と思っていました。
実は1900年〜1930年代のフランスで、「Madeleine(マドレーヌ)」という名前は大爆発的な人気を誇り、当時毎年何万人もの女の子がそう名付けられたのだそうです。 そのため、1950年代のフランスには「大人のマドレーヌさん」がたくさんいたことになります。
語源となった聖マドレーヌ(マグダラのマリア)は、香り高い香油を携え、一途な愛を捧げた女性。「気高く凛とした強さ」の象徴です。
🎨 絵本のマドレーヌちゃん
実は、有名な絵本『マドレーヌ』の歴史を辿ると、当店で今扱っているヴィンテージカードの世界と完璧に重なっています。
第1作『マドレーヌ(Madeline)』:1939年出版
パリの寄宿学校に暮らす「12人の小さなおんなのこ」の中で、一番小さくて勇敢なマドレーヌちゃんの物語。
第2作『マドレーヌといたずらっこ(Madeline's Rescue)』:1953年出版
野良犬のジュネビエーブを寄宿学校で飼うお話。アメリカの絵本賞(カルデコット賞)を受賞したのが1954年でした。
マドレーヌちゃんの続編が描かれ、世界中で大ヒットしていたのは、まさにこの1954年〜1957年のジャンヌからのカードと全く同じ時代なのです。
黄色の帽子に紺のコートを着て、ふたりずつ並んでパリの街(エッフェル塔やノートルダム大聖堂、セーヌ川のほとり)をお散歩する、あの可愛らしいイラスト。
1930年代〜1950年代のパリの空気感、そして「マドレーヌ」という名前が当時の人々にどれほど愛され、親しまれていたアイコンだったのかがよく分かります。
✨ 時間を置くことの豊かさ
スマートフォンをタップすれば一瞬でメッセージが届く現代。 でも、今から72年前の今日、パリの窓辺で万年筆を走らせていたジャンヌの心には、「手紙が届くまでの時間」や「相手の健康を静かに祈る時間」という、とても豊かで美しい余白が流れていました。
後から見つかったこの1954年のカードは、3年後の1957年の手紙へと続く、愛おしい物語の始まりの一片。
「毎年この季節になったら、あなたのことを思い出しているよ」
そんな風に、時を超えて大切な人を想う優しさを、今日のあなたへ。
72年前の今日の風と、いとこの温もりを宿したこのカード、
先日ご紹介した1957年のカードと共に、
ショップにて大切にお披露目しております。
7月20日時点では単品でご紹介しておりましたが、
本日より薔薇の美しいカード2枚セットとして販売開始します。
忙しい毎日のなかでそっと心を休める、
あなただけの「お守り」になりますように。
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